ストラテジー社巡るMSCI案が波紋、JPモルガンに対しビットコイン支持者らがボイコット運動

ストラテジー社巡るMSCI案が波紋、JPモルガンに対しビットコイン支持者らがボイコット運動(Bitcoin supporters boycott JPMorgan over controversial MSCI proposal involving Strategy Corp.)
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MSCIの除外方針にJPモルガン不信広がる

2025年11月24日、ビットコイン(BTC)を大量に保有する米ストラテジー社(旧マイクロストラテジー)の扱いを巡って、指数算出会社MSCI(旧モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が「仮想通貨トレジャリー企業」を指数から除外する方針を検討していることが明らかとなりました。

この方針の発表を受け、ビットコイン支持者やストラテジー社の株主らの間では、米大手金融機関「JPモルガン・チェース」へのボイコットをX(Twitter)上で呼びかける動きが広がっています。

MSCIは最終的な結論を2026年1月15日に発表する予定で、仮に除外が決定すれば翌2026年2月の定期見直しで指数から除外される見通しです。

MSCIの仮想通貨企業除外案に市場が動揺

投資ファンド類似との指摘でルール再検討

MSCIは10月、ビットコインをはじめとするデジタル資産を企業資産の50%以上保有する企業を株価指数から除外する案を公開し、市場関係者から意見募集を開始しました。

同社は一部のビットコイン保有企業が投資ファンドに類似する特性を持つと指摘されていることを踏まえ、株価指数のルール見直しを検討しています。

最終的な結論は2025年12月末まで意見公募を行った上で、2026年1月15日に発表され、仮に除外が決定すれば翌2026年2月の定期見直しで指数から除外される予定です。

ナスダック100採用企業に広がる波紋

MSCIのグローバル指数から除外対象となる「仮想通貨準備企業」の筆頭として名前が挙がっているのがストラテジー社です。

同社は2024年12月にナスダック100指数に採用され、これにより指数連動型ファンドからの受動的な資金流入の恩恵を受けてきました。

JPモルガンの分析チームは、同社株がここ数カ月でビットコイン以上に急落したのは、指数除外リスクへの懸念が大きく影響していると分析しています。

資金流出最大1.4兆円との予測が浮上

JPモルガンはリサーチノートで、ストラテジー社が指数から除外された場合の市場への影響も試算しています。

試算によると、MSCI指数からの除外だけで約28億ドル(約4,400億円)の資金流出が発生し、他の指数プロバイダー(ナスダックやS&P)が追随すれば、最大88億ドル(約1.4兆円)が一斉に売却される可能性があると警告しています。

JPモルガンのストラテジストであるニコラオス・パニギルツォグロー氏は、指数除外によって「ストラテジー社の評価や流動性に打撃が及び、将来的な株式・社債の調達能力にも疑問が生じる」と述べており、事業継続面でも悪影響が懸念されています。

BTC・ストラテジー支持層がJPモルガンをボイコット

X上で拡散したビットコイン支持者のボイコット呼びかけ

こうした報告を受け、ビットコイン愛好家たちの間でJPモルガンに対する不信感が一気に高まりました。

このボイコット運動は週末にかけて急速に拡散し、グラント・カードン氏やマックス・キーザー氏といった影響力のある人物がJPモルガンから資金を引き揚げるよう呼びかけています。

カードン氏は約2,000万ドルをJPモルガンから引き上げたと明かし、キーザー氏も自身のXへの投稿で「JPモルガンをクラッシュさせてストラテジーとBTCを買うべきだ」と過激な表現で抗議しました。

これに対しJPモルガン側から公式なコメントは出ていませんが、オンライン上では大手金融機関がビットコイン企業を締め出そうとしているとの見方も広がっています。

セイラー氏「ストラテジーはビットコイン基金に非ず」

ストラテジー社のセイラー氏も11月21日、今回のボイコット運動を受けてX上でコメントを発表しました。

同氏は「ストラテジーはファンドでも信託でも持株会社でもなく、上場事業会社である」と強調し、ソフトウェア事業(年間約5億ドル規模)を中核とする実業企業である自社を単なるビットコイン投資ビークルとみなすのは誤りだと反論しました。

さらに同氏は「当社は受動的に資産を保有しているのではなく、自ら金融商品を創出・発行しており、ビットコインを裏付け資産とした新しい金融モデルを築いている」と述べ、今年に入ってからデジタル債券を通じて77億ドル(約1兆2,000億円)以上を調達した実績を挙げています。

セイラー氏は、こうした独自の戦略は他のファンドや持株会社では真似できないと主張し、MSCIの審査対象から除外されるべきではないとの考えを示しました。

仮想通貨保有強化で注目集まるストラテジー社

ストラテジー社は自社資産の大半をビットコインで保有する戦略を継続しており、直近でも大規模な追加購入を実施しています。

11月中旬には新たに8,178 BTC(8億ドル/1,300億円相当)を取得し、これにより同社のビットコイン総保有残高は約649,870 BTCに達しました。

記事執筆時点でビットコイン価格は約87,000ドル(約1,360万円)前後で推移しており、来年1月に予定されるMSCIの最終判断がストラテジー社株や仮想通貨市場に与える影響を業界関係者は注視しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.75 円円)

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Source:MSCI方針
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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