ビットコイン市場、恐怖と確信の分岐点に
米仮想通貨運用会社Bitwise(ビットワイズ)CIOのマット・ホーガン氏は2025年11月22日、CNBCのインタビューで、今回の仮想通貨市場の下落について「短期的な恐怖と長期的な確信という二つのマーケットの物語だ」と述べました。
同氏によれば、短期投資家がリスクオフの動きに反応して売りを強める一方で、長期志向の機関投資家は現在の価格水準でビットコイン(BTC)などを少しずつ買い増し始めているといいます。
一方、同インタビューにゲスト出演した米金融大手Cantor Fitzgerald(カントール・フィッツジェラルド)の株式・マクロ戦略責任者エリック・ジョンストン氏は「最終的な振り落としはまだ終わっていない」と警戒を示しています。
BTCの価格下落は意味を失う
ビットコイン下落局面で見える新たな視点
過去水準との比較で見る下値余地と支持線
ホーガン氏はまた、世界有数の機関投資家であるハーバード大学基金やアブダビ政府系ファンドなどが今回のビットコイン調整局面を「新たな投資機会」と捉えていることを明らかにしました。
同氏はビットコイン相場について、7万ドル(約1,100万円)台半ばまでの下落もあり得ると認めつつ「プルバック(調整)の始まりよりも底に近い」との見解を示しています。
市場では3月の下落局面で付けた8万4,000ドル(約1,320万円)近辺を支持線と見る向きがあります。また、10月の史上最高値約12万6,000ドル(約1,980万円)で参入した投資家が振り落とされる場合、米大統領選挙前の水準である7万ドル台まで値を戻す可能性も指摘されています。
ホーガン氏は下落要因について「どれか一つの要因に注目するのは見当違いだ」と指摘し、世界的な流動性収縮やリスクオフに伴う投機的ポジションの解消などが今回の下落の背景にあると分析しました。
クロスアセット売却が示す市場の整理
こうした市場の動きの中で、ビットコインやAI関連株に及んだ急激な資産売却(クロスアセットの売り)は市場全体のリスク削減サイクルの一環だとジョンストン氏は指摘しました。
同氏は「市場には相当のレバレッジ(借入による投資)が存在していたものの、大幅なデリスク(リスク資産圧縮)が進んだ結果、今の市場はより健全になった」と述べています。
また、ジョンストン氏は現在のビットコイン市場について、これまで55~80%もの大幅下落を伴った過去のサイクルとは構造が大きく異なる点を強調しました。
機関投資家による保有割合の増加やステーブルコインの台頭、関連法整備の進展などにより、市場のボラティリティ(価格変動性)は低減傾向にあるといいます。
マクロ環境が仮想通貨市場に与える影響
ジョンストン氏は今後の展望について、FRB(米連邦準備制度理事会)が2026年にかけて利下げや量的緩和(QE)に踏み切る可能性に言及し、これはビットコインに「非常に好ましい環境」をもたらすとの見解を示しました。
ジョンストン氏の見通しを受けつつ、ホーガン氏は目先の清算売りによる下押し圧力が続いているものの、各国通貨の価値毀損(デベースメント)に対するヘッジ手段としてのビットコインの投資テーマは揺らいでいないと強調しています。
両氏とも本格的な底打ちが形成されるまでさらなる下落の可能性を否定しておらず、ホーガン氏は多少の下振れ余地はあるとしながらも「2026年以降を見据える長期投資家にとって、現在の価格帯は極めて魅力的な参入ポイントだ」と述べました。
「仮想通貨市場が下落し続ける理由」
ビットコインETF資金流出が示す仮想通貨市場の変調
直近では、ビットコインの急落を受け、世界最大のビットコイン現物ETF「iShares Bitcoin Trust」から過去最大規模となる5億2,300万ドル(約820億円)の資金流出が発生しました。
この資金流出の影響もあり、ビットコイン価格は11月21日までに一時80,553ドル(約1,260万円)まで下落し、約7カ月ぶりの安値水準に達しています。
市場では8万ドルを割り込めば損失回避のために機関投資家や企業による投げ売りが加速し、さらなる急落を招く可能性があるとの専門家の指摘もあります。
こうした懸念は実際の市場にも現れており、この6週間で仮想通貨市場全体から約1.2兆ドル(約188兆円)が時価総額ベースで消失しています。市場心理の悪化と損失確定売りが続く中で、今後も警戒感が拭えない状況です。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.12 円)
価格予想関連の注目記事はこちら
Source:CNBCインタビュー
サムネイル:AIによる生成画像




























