ステーブルコインで「融資135兆円縮小」米銀行2団体がGENIUS法規則に反発

ステーブルコインで「融資135兆円縮小」米銀行2団体がGENIUS法規則に反発

この記事の要点

  • ABA・ICBA、OCC最終規則の利回り規制「抜け穴」を批判
  • ICBA試算、預金流出で地域融資135兆円縮小の恐れ
目次

利回り禁止に「抜け穴」、米銀行業界が反発

米国銀行協会(ABA)と独立コミュニティバンカーズ・オブ・アメリカ(ICBA)は2026年10月21日、米通貨監督庁(OCC)が公表したステーブルコイン規制「GENIUS法」の最終規則について、それぞれ声明を発表し、規制内容への懸念を示しました。

両団体は、仮想通貨(暗号資産)取引所やステーブルコイン発行体の関連会社などを通じて、法律上の利回り禁止を実質的に回避できる余地が残されたと指摘しています。

ABAは、こうした規制上の抜け穴によって銀行預金がステーブルコインへ流出し、銀行の融資能力が損なわれるおそれがあると警告しました。

預金流出が地域金融に及ぼす影響について、ICBAはコミュニティバンクの融資活動が8,500億ドル(約135兆円)縮小する可能性があるとの経済分析を示しています。

OCCの最終規則は2027年1月18日に発効する予定で、間接的な利回り提供をめぐる銀行業界と規制当局の見解の隔たりが残されています。

保護措置削除と融資縮小、規制当局は制度意義を強調

ABA、利回り禁止の抜け穴の封鎖を要求

ABAのロブ・ニコルズ社長兼CEOは10月21日の声明で、OCCが当初の規則案から削除した保護措置について、発行体の関連会社・取引所・流通パートナーを介した間接的な利回り提供を防ぐための規定だったと説明しました。

GENIUS法は発行体がステーブルコイン保有者に利回りを支払うことを禁止しており、ABAは第三者を介した実質的な利回り提供を十分に制限しなければ、法律が意図した禁止措置が機能しなくなると主張しています。

ニコルズ氏は、この問題がステーブルコインと伝統的な銀行預金の間に議会が設けた区分を損ない、銀行の融資原資となる預金を脅かすと警告しました。

ABAは2025年12月にも52の州銀行協会と連名で議会に共同書簡を提出しており、利回り禁止の対象を取引所や発行体の関連会社などにも明確に拡大するよう求めています。

ICBA、地域融資135兆円縮小の可能性を試算

利回り規制の抜け穴が銀行の融資能力に及ぼす影響について、ICBAは2025年12月15日に公表した経済分析で、コミュニティバンクの預金が1兆3,000億ドル(約205兆円)減少する可能性を指摘しました。

同分析は、仮想通貨仲介業者などによるステーブルコインへの利回り提供が続く場合を想定しており、預金の減少に伴って融資活動が少なくとも8,500億ドル縮小すると試算しています。

こうした影響が地域経済に及ぶ理由として、ICBAはコミュニティバンクが米国の農村部にある銀行支店の71%超を占め、50万ドル以下の農地向け融資の約90%を担っていると指摘しました。

この資金供給が細れば、中小企業や農業従事者への融資が圧迫されるとICBAは警告しています。

ICBAのレベカ・ロメロ・レイニー社長兼CEOも10月21日の声明で、コミュニティバンクの融資や地域社会、金融安定を守る規制措置の必要性を訴え、引き続き当局への働きかけを続ける考えを示しています。

OCC・財務省、デジタル資産の制度基盤を強調

銀行業界が預金流出や地域融資への影響を警戒する一方、OCCと米財務省は公式発表で、最終規則が米国のデジタル資産分野における制度基盤を確立する意義を強調しました。

OCCのジョナサン・V・グールド通貨監督官は、準備資産の裏付け・償還体制・リスク管理について明確で実践的な基準を設けることで、決済用ステーブルコイン分野の責任ある成長とイノベーションを支えるとの見解を示しています。

財務省のスコット・ベッセント長官もGENIUS法を1863年のリンカーン大統領による国法通貨法になぞらえ、デジタル時代の決済用ステーブルコインに連邦レベルの規制枠組みを確立するものだと評価しました。

利回り規制が争点、2027年1月発効へ準備進む

GENIUS法の施行に向けては、米連邦預金保険公社(FDIC)が2026年4月に関連規則案を公表したほか、連邦準備制度理事会(FRB)も9月に2つの規則案を発表しました。

こうしたなか、ABAは10月20日にも規則案の修正を要求し、ステーブルコイン発行体や仲介業者による規制回避を防ぐ措置や、金融当局間の連携強化を求めています。

OCCも10月21日付の追加指針で、発行体の認可申請などの受付時期を別途発表すると説明し、2027年1月18日の発効に向けて準備を進める方針を示しました。

一方、銀行業界が懸念する間接的な利回り提供への規制は依然として争点となっており、ABAは預金流出による損害が生じる前に対処すべきだと主張しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.17 円)

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Source:ABA声明 / ICBA声明 / OCC発表
サムネイル:AIによる生成画像

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