米財務省、北朝鮮IT偽装就職に制裁|仮想通貨交換でミサイル資金に

米財務省、北朝鮮IT偽装就職に制裁|仮想通貨変換でミサイル資金に

この記事の要点

  • 米OFAC、北朝鮮IT詐欺で個人10人・1団体を新たに制裁指定
  • 仮想通貨の変換網にも対象拡大、ロシア人仲介者2名も指定

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目次

北朝鮮IT詐欺で10人・1団体制裁

米財務省の外国資産管理局(OFAC)は2026年10月28日、北朝鮮政府が主導するIT労働者の詐欺活動に関与したとして、個人10人と1団体を制裁対象に指定しました。

同局によれば、北朝鮮は偽造書類や盗んだ身分情報を使ってIT労働者を米国などの企業に偽装就職させ、報酬の大半を政府に還流させることで、大量破壊兵器(WMD)や弾道ミサイル計画の資金を獲得していたといいます。

こうした収益の移転には仮想通貨(暗号資産)が利用され、ロシアを拠点とする仲介者が資金の変換を担っていたことも明らかになりました。

今回の制裁では、この仲介者2名に加えてIT労働者を管理する責任者や派遣組織も対象となり、不正な資金獲得から海外への送金までを支えるネットワークに取り締まりが及んでいます。

スコット・ベッセント財務長官は「こうした詐欺活動を通じて米国企業が標的となっている」と指摘し、北朝鮮の不正な収益獲得を阻止するために制裁を継続する姿勢を示しています。

北朝鮮IT労働者の資金網、仮想通貨変換も

北朝鮮系組織FFTDC、数百万ドルを不正獲得

OFACが新たに制裁対象に指定した「第一金融・技術開発センター」(FFTDC)は、少なくとも2024年からロシアで北朝鮮のIT労働者を活動させ、政府のために数百万ドル規模の収益を生み出していたとされています。

財務省によると、同センターでは高度な技術を持つIT労働者が「スーパーインテリジェンス(SI)」と呼ばれるツールや複雑な仮想通貨送金を利用し、資金洗浄を伴う収益獲得活動に関与していたといいます。

こうした活動に関わった労働者のうち6名は、2025年以降に合計75万ドル(約1.2億円)を超える収益を生み出していたことが同発表で明らかになりました。

OFACはFFTDCに加え、キム・キョンジュ氏、リ・テチョル氏、ソ・ヒョンジン氏、ハン・ユソン氏、キム・ソングァン氏、ヒョン・セイル氏の6名を制裁対象に指定しました。

「Chinyong」関係者2名、50万ドル送金に関与

ロシアではFFTDCとは別に、北朝鮮系組織「Chinyong Information Technology Cooperation Company」もIT労働者を派遣しており、OFACは同組織に関係する現地責任者2名の活動実態を明らかにしました。

Chinyongは2023年5月、傘下企業の「Alis」は2024年3月に制裁指定されており、今回の措置では両組織に関係する現地責任者にも制裁対象が広がっています。

今回指定されたキム・キヒョク氏はAlisのロシア派遣チームを率い、労働者の監視や収益目標の管理を担当していたほか、2024年以降にはチームのために50万ドル(約7,900万円)近くの仮想通貨を送金していたとされています。

もう一人のキム・ヒョドン氏も別の派遣チームを管理し、2023年12月以降、労働者への物流支援や制裁回避に関与したほか、10万ドル(約1,600万円)を超える金融資産の移転を仲介していたと米財務省は説明しています。

ロシア人仲介者2名、数百万ドルの仮想通貨変換

北朝鮮IT労働者の派遣組織による収益獲得には、資金の移転を支援するロシア人仲介者も関与しており、OFACはイリヤ・アレクサンドロヴィチ・ボイコフ氏とヴィートルド・ヴィクトロヴィチ・オベルタス氏の2名を制裁対象に指定しました。

このうちボイコフ氏は、前述の北朝鮮系企業「Alis」と関係があり、2024年以降、同社のために350万ドル(約5.5億円)相当の仮想通貨(暗号資産)を交換・変換していたほか、取引の監視や物流面の支援も担っていたといいます。

一方、オベルタス氏は別の北朝鮮企業「Amnokgang Technology Development Company」の金融取引を仲介しており、2025年1月以降、200万ドル(約3.2億円)近くの仮想通貨変換に関与していたと米財務省は説明しています。

同社は2026年3月に制裁指定されており、オベルタス氏は仮想通貨の変換に加え、北朝鮮当局者のために少なくとも125万ドル(約2.0億円)相当のその他の通貨取引も手がけていたとされています。

日本でも北朝鮮IT偽装就労、米は制裁拡大

北朝鮮IT労働者による不正な資金獲得は日本でも確認されており、警察庁は2026年9月18日、国内の支援者が遠隔操作用PCを設置する「ラップトップ・ファーム」を利用した偽装就労の実態を公表しました。

警察庁などの調査では、北朝鮮IT労働者が国内支援者の身分情報を使って業務を受注し、その銀行口座を報酬の受取先に指定していたほか、関連する捜査で暗号資産など数億円相当が海外へ送金されていたことも明らかになっています。

北朝鮮IT労働者を巡る取り締まりは海外でも続いており、米OFACは2026年3月12日、ベトナムなどを拠点に不正収益の資金変換を支援していた仲介者を含む6人と2団体を制裁対象に指定しました。

今回の発表では、米財務省が北朝鮮の資金獲得ネットワークによる国際金融システムへの浸透を問題視し、IT労働者の派遣組織だけでなく、仮想通貨の変換を担う仲介者にも制裁を科すことで、不正収益の移転経路にも取り締まりを広げています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=円)

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Source:米財務省発表
サムネイル:AIによる生成画像

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