暗号資産の「利益・損失・翌年持ち越し」にかかる税金は?【確定申告の基礎知識】
仮想通貨(暗号資産)の取引・使用・売買などを行なっている方が知っておくべき税金・確定申告の基本的な知識をわかりやすく説明します。
この記事では「仮想通貨の売買で利益がでた場合・仮想通貨の売買で損失がでた場合・仮想通貨を翌年まで持ち越した場合」の税金・確定申告に関する内容を解説しています。
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仮想通貨の取引で利益がでた場合
会社員など給与による収入がある人の場合、仮想通貨取引などで得た利益(雑所得)の合計が1月1日〜12月31日の期間で「20万円」を超えた場合には、2月16日〜3月15日までの期間に確定申告を行う必要があります(主婦や学生など扶養されている方は33万円以上)。
"仮想通貨の売買で利益がでた"というのは単に「仮想通貨を日本円に交換して利益が出た」というケースだけでなく、「仮想通貨の売却・仮想通貨決済による商品の購入・他の仮想通貨との交換」などのタイミングで利益が発生した場合も対象となるため注意が必要です。
具体的な例を挙げると、以下のようなケースに該当する場合には確定申告を行う必要があることになります。
- 20万円で購入した1BTCを50万円で売却(利益が30万円)
- 20万円で購入した1BTCを30万円で売却、その後25万円で購入した1BTCを50万円で売却(利益が合計35万円)
- 20万円で購入した1BTCを80万円で売却、その後90万円で購入した1BTCを60万円で売却(利益が合計30万円)
- 20万円で購入した1BTC全てを使用して商品や他の仮想通貨を購入、購入時のBTC価格が80万円だった(利益が60万円)
このように1年間の仮想通貨取引による利益が「20万円」を超えた場合には申告を行う必要があります。③のケースでは一度「30万円の損失」が出ているものの、それ以前に「60万円の利益」が出ているため、「60万円-30万円=30万円の利益」ということになり、申告の義務が発生します。④のケースではBTCを売却してはいないものの、支払いで使用することによって「60万円の利益」を得ているため、こちらも申告の義務が発生します。
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仮想通貨の取引で損失がでた場合
仮想通貨(暗号資産)の売買・取引によって損失が出た場合は、仮想通貨取引分の確定申告は不要となります。ただし、仮想通貨取引によって発生した損失の扱いについては、以下のような決まりがあるためこれらの内容も理解しておくようにしましょう。
「雑所得内での損益通算」は可能
暗号資産取引によって発生する利益は「雑所得」に分類されますが、"雑所得内での損益通算"は可能となっているため、1年間の仮想通貨取引で『A取引所で50万円の利益を得て、B取引所で40万円の損失が出た』という場合には「50万円−40万円=合計10万円の雑所得」とすることができます。
また、同じ取引所内で取引した場合であっても「1月1日〜12月31日までの利益・損失」は相殺することができるため、『XRPの価格高騰時に決済して100万円の利益を得たが、その後利益全額をXRPに再投資した後に暴落したため、120万円の損失が生まれて最終的には20万円の損失となった』という場合には、"1年間の合計で20万円の損失"となり確定申告は不要となります。
「他の所得との相殺」は不可能
ただし、暗号資産取引による損失は「他の所得」とは相殺することができないため、「給与所得・事業所得などの利益」を「仮想通貨取引による損失」で相殺することはできません。これに関しては『あくまでも雑所得内での損益通算が可能なのだ』と理解しておくことが重要です。
「暗号資産取引による損失の繰越控除」は禁止
また、暗号資産取引による損失は「繰越控除禁止」となっているため、2020年に発生した損失を2021年以降に繰り越すことはできません。上場株式の売買によって生じた損失は3年繰り越すことができ、翌年以降に発生した利益から控除することができますが、このような方法は暗号資産には適用できないため注意が必要です。
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仮想通貨を翌年まで持ち越した場合
仮想通貨取引によって発生する雑所得は「仮想通貨の売買時・仮想通貨の決済利用時」に発生するため、仮想通貨を購入して一度も売却せずに保有し続けている場合には、所得が発生していないことになり、確定申告が不要となります。
これに当てはまるわかりやすい例は『2020年3月に50万円で1BTCを購入して、1度も売却せずに保有し続けている』といったケースが挙げられます。2020年12月30日時点でのBTC価格は「1BTC=約280万円」となっているため、"230万円の含み益"が出ていることになりますが、この利益が確定するのは"1BTCを全て売却した時"であるため、保有し続けて2021年を迎えた場合には利益は出ていないことになります。
この場合には「1BTCを50万円で購入した」という記録が翌年に持ち越されることになるため、翌年に「1BTC=300万円」で全てのBTCを売却した場合には、その年の仮想通貨取引による利益が250万円ということになります。
なお、仮想通貨取引による所得金額を求めるための譲渡原価の計算方法には「総平均法(1年間の取引を買・売に分けて説明する方法)」と「移動平均法(取引の順に説明する方法)」の2つがあり、計算方法によって1年間の売買損益額は異なるため注意が必要です。
暗号資産取引で20万円以上の利益が出ている年に確定申告・納税を行わなかった場合には「延滞税・加算税」などのペナルティが課せられる可能性があるため、対象となる方は必ず申告するようにしましょう。
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