ブロックチェーンが旅行業界に与える5つのメリット
ブロックチェーン技術の持つ分散化された性質や、大切な情報を安全な方法で適切に共有できる性質は、旅行業界に大きな変化をもたらします。その中でも特に重要な変化とそのメリットを5つ紹介します。
チケットとパスポートが不要に
ブロックチェーンの技術は、私たちのオンライン上のアイデンティティ(個人識別情報)を確保することができます。これは、指紋認証や網膜スキャンなどのバイオメトリクス(*1)を使用するだけで、国境の税関などでの検査などを簡単に通過できるようになることを意味します。
(*1)バイオメトリクス:人間の身体的特徴や生物個体が持つ特性によって人物を認識する技術
生体認証やブロックチェーンの技術を利用することで、パスポートやチケットを探すために荷物を広げたり、税関職員が時間のかかる作業をこなすのを待つ必要がなくなります。一人一人の個人識別情報はオンライン上で保存されているため、実際には職員はあなたの訪問理由について質問する必要もありません。
AI技術で最適な旅行プランを提供
ブロックチェーンの技術は、人工知能(AI)やビッグデータ処理などのチームと協力することで、より魅力的なサービスを生み出します。
実際に旅行に行く際には、多くの人がGoogle(グーグル)などの検索エンジンを利用して計画を立てるでしょう。ホテルの予約を行い、訪れてみたい観光地や飲食店を探し、必要に応じてレンタカーなどの手配を行う必要があります。しかしこれらの準備は楽しいものではあるものの、少しの手間と時間がかかる作業でもあります。特にパソコンなどの使用に慣れていない方にとっては、なかなか希望に沿ったものを見つけることができない場合も多いです。
『Siesta Cloud』や『Chozun』といった企業は、旅行先を調べるための努力を最小限に抑えるためのサービスを提供しています。あなたの訪れたい観光地を探すために、数多く存在するサイトを往復して探し回ったり、レビューをチェックして回る必要はもうありません。彼らのサービスはユーザーの過去の行動や趣味に基づいて、これまでの旅行者からの意見を元に最もあなたに最適ないくつかの旅行プランを提供します。
スマートコントラクトで決済をシンプルに
カタログを借りてホテルを選んでいた時代を覚えていれば、旅行業界にどれほどの変化が起きたのかが分かります。インターネットは数分のうちに飛行機とホテルを予約できるようにすることで、世界中の物理的な旅行代理店の多くを排除しました。
しかし、最初は魅力的であったオンラインの旅行サービスは、時間が経つにつれて徐々に独占的なものへと変化してきました。主要なオンライン旅行代理店が力をつけたことによって、小規模なホテルや航空会社の多くが失われています。旅行業界におけるこれらの集中化は、旅行者の選択肢を減らし、その業界に価格の高騰をもたらします。
真のピア・ツー・ピア(P2P)機能を持つブロックチェーン技術は、中央集権化した旅行業界のサービスを分散化することができます。ブロックチェーンは顧客の身元を確認することができるため、詳しい事情がわからない外国でも"不正な賃貸"を請求される心配もなく、その他の詐欺行為に騙される心配もありません。
スマートコントラクトによって交わされる契約は、両当事者によって保証されるため、取引で発生した価値の全てを売り手に直接支払うことができます。複数の仲介業者が関わることがないため、サービス提供者と購入者の間でシンプルかつ安全にお金の受け渡しを行うことができます。
物流プロセスの効率改善
ブロックチェーンの技術は荷物の追跡を行う際に特に大きな効果を発揮します。航空業界における荷物の紛失は非常に多く、紛失した荷物のため航空会社は年間数十億ドル(数千億円)の費用を費やす必要があります。
そして何よりも荷物を紛失してしまうことは旅行者自身にとって大きな問題となります。紛失した荷物を探すのは非常に困難であり、そのために何時間も待たなければなりません。
物流プロセスの効率を高め、荷物を正確に追跡することができるブロックチェーンの技術は、それらのすべての当事者の悩みの種を取り除くことができます。
世界中で利用できるポイント
これまではそれぞれの企業や店舗が各社で導入していた"ポイント制度"の面においては、ブロックチェーン技術を活用した複数の企業が協力することによって、専門的な知識を持っていない事業者でも"世界中のお店で利用できるポイント"を簡単に導入することができます。
ホテルや飲食店、レンタカーなどの特定の場所でしか使用することができなかった、従来のポイントを採用する代わりにブロックチェーン技術を用いたアプリを使用することによって複数の店舗で使用・交換することができる"無駄の少ないポイント"を導入することができるため、利用者はそれらを使って、地元や旅行先での経験を最大限に引き出すことができます。
あなたの地元の好きなレストランで貯めたポイントを、アメリカやインドなどの他の国や場所で取引していることを想像してみてください。ロイヤルティポイントは無駄になることはなく、世界中で使用することもできます。
ブロックチェーン技術が生活をより豊かに
ブロックチェーンは旅行業界にとって大きな可能性を秘めています。
旅行業界にとっての最大の問題の1つは、関連するデータがそれぞれの企業や機関のプライベートな空間で保持されていることです。
当事者間のコミュニケーションが全体的に不足しているため、荷物の紛失、遅延、予約超過、チケットの購入までの複数のステップといった複数の問題が生まれ、その他の関連する旅行業界とも非効率的な面がいくつか見られます。
ブロックチェーン技術は様々なプロセスを合理化することができるため、より速く安全で快適なサービスを可能にします。それは一つの企業内の問題だけにとどまらず、地域全体や世界中の人々と共に拡張し、成長していくものであるため、最終的には旅行観光業界の変化の枠を超えて、その他の業界や世界中の人々の生活をより豊かなものへと変化させることができます。
これは、すでに他の分野で活用されているいくつかの実例が証明しています。仮想通貨やブロックチェーンを実用化した様々なプロジェクトを調べてみると、その将来のビジョンをより鮮明に 描くことができるので、ぜひその他のいろいろ活用例も見てみてください。
また、オランダのアムステルダムにあるSchiphol(スキポール)空港は、現金をビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)に交換できるビットコインATMを設置したこと6月20日に発表しました。
スキポール空港の関係者は、「ビットコインATMを設置することによってユーロ(EUR)のような一部の地域でしか利用できない通貨をビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの世界中で利用できる通貨に簡単に交換することができる」と説明しています。
ビットコインATMを導入した空港はこちら
この他にもビットコインが利用できる空港は増えてきているため、もし旅行に行く計画がある方は、現地でビットコイン決済なども利用されてみてはいかがでしょうか?