仮想通貨に関する内容も、金融庁「2025年度の税制改正要望」を公表
金融庁「令和7年度の税制改正要望項目」を公表
金融庁は2024年8月30日に、仮想通貨業界からも注目が集まっている「2025年度(令和7年度)の税制改正要望」を公開しました。
税制改正要望とは、政府機関や関連団体が税制度の見直しや改正を求める提案や意見のことであり、これまでには日本ブロックチェーン協会(JBA)、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)などの業界団体からも税制改正要望が提出されています。
金融庁が公開した税制改正要望は、NISA・年金・株式・相続などといった様々な内容を含む包括的なもので、その中の一部として暗号資産(仮想通貨)に関する内容も記載されています。
今般、#金融庁 では「令和7年度 税制改正要望項目」を取りまとめ、公表しました。
— 金融庁 (@fsa_JAPAN) August 30, 2024
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仮想通貨・暗号資産に関する記載内容は?
仮想通貨・暗号資産に関する内容は「1.資産所得倍増プラン及び資産運用立国の実現」という節に含まれる「金融所得課税の一体化」という項目に記載されています。
ただし、他の業界団体から提案されていたような具体的な要望は記載されておらず、「暗号資産取引に係る課税上の取扱いについては、暗号資産を国民の投資対象となるべき金融資産として取り扱うかなどの観点を踏まえ、検討を行っていく必要がある」とだけ記載されています。
仮想通貨についての言及がみられる「金融所得課税の一体化」に関する項目は「損益通算の範囲拡大」に関する内容となっており、要望事項の欄には以下のように記載されています(農林水産省・経済産業省が共同要望)。
【要望事項】
証券・金融、商品を一括して取り扱う総合取引所が2020年7月に実現したことを踏まえ、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備を図り、家計による成長資金の供給拡大等を促進する観点から、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大すること。
要望の中に記載されている"検討"が具体的にどのような範囲まで及ぶかは不明であるものの、暗号資産が「国民の投資対象となるべき金融資産」と判断された場合には、暗号資産の税制改正や仮想通貨ETFの解禁などにも繋がる可能性があるため、今後の進展には注目が集まっています。
なお、税制改正要望は各機関や団体から提出されるもので、その後は財務省や国税庁が中心となって要望を集約・検討、毎年12月頃に各要望を踏まえた「税制改正大綱」が策定される流れとなっています。
税制改正大綱は、翌年度の税制改正の基本方針と具体的内容を定めるものであり、政府の公式な税制改正案として国会に提出され、国会で審議して最終的な改正内容が決定されます。
2024年度の税制改正大綱
仮想通貨業界からの税制改正要望について
金融庁が公表した2025年度の税制改正要望には、暗号資産に関する具体的な内容が記載されていないものの、仮想通貨業界団体からは以下のような様々な要望が提出されています。
- 所得区分の見直し
- 申告分離課税・損失繰越控除の導入
- 暗号資産の寄附に関する税制整備
- 暗号資産の相続に関する税制改正
- 暗号資産同士の交換を非課税にする仕組み
上記の要望は、仮想通貨を保有する個人投資家にも深く関係するもので、仮想通貨同士の交換が非課税になった場合には「仮想通貨と法定通貨を交換した時にまとめて課税される仕組み」が採用され、確定申告などの作業が簡単になると期待されます。
これら全ての税制改正要望が2025年度に採用される可能性は低いものの、このような税制改正要望は以前から強く望まれていたものであるため、日本政府の今後の対応には注目が集まっています。
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執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
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