この記事の要点
- K Wave Mediaがビットコイン財務戦略で5億ドルを調達へ
- 調達資金はBTC購入・K-POP事業拡大・M&Aに活用
- コンテンツやK-POP関連商品をビットコインで購入に
- 韓国版メタプラネットを目指しWeb3戦略を推進
K Wave Media、ビットコイン財務戦略で5億ドル調達へ
ナスダック上場企業でK-POP関連事業を展開するK Wave Media Inc.は2025年6月4日、ビットコイン(BTC)を企業財務資産として取り入れるため、最大5億ドル(約713億円)相当の自社株式を売却できる契約を締結したと発表しました。
公式発表によると、同社はこの契約により最大5億ドル分の自社普通株式を売却できる枠を確保し、調達資金はビットコイン投資戦略の推進や、コンテンツ・K-POP事業拡大のための運転資金やM&A費用に充てる予定です。
K Wave MediaはNASDAQ上場企業として初の韓国系メディア企業です。2023年に設立された同社(本社:ケイマン諸島)は、K-POPコンテンツ制作、関連グッズ販売、エンタメ分野への投資など多角的な事業を展開しています。
同社はクリエイターの支援やブロックチェーン技術の導入にも力を入れており、エンタメと金融テクノロジーを融合した新しい顧客体験を提供する企業として注目されています。
PSG、スポーツ界初のBTC財務戦略
韓国K-POP企業「K Wave Media」が挑むBTC財務戦略
準備資産としてのビットコイン活用
K Wave Mediaの発表によると、調達する資金の大部分をビットコイン購入と長期保有に充当し、企業の資産として長期保有する計画です。
同社は今回確保した資金枠を活用し、ビットコインを主要な資産として取得・保有するするとともに、保有するビットコインで得た利益を追加のビットコイン購入や関連インフラへの投資に再投入する方針です。
さらに、ビットコインの高速決済を可能にするライトニングネットワークのノード運用や、ビットコインの決済システム基盤整備にも投資し、取引手数料収入の獲得を目指す計画も示されています。
K-POP商品をビットコイン決済可能に
加えて、K Wave Mediaのファンや顧客が自社のコンテンツやK-POP関連商品をビットコインで購入できるようにするWeb3対応も盛り込まれており、BTCを活用した新たなエンタメ体験の提供にも意欲を示しています。
同社はこうした施策により、自社のバランスシートを「世界で最もセキュアで分散化されたデジタル通貨」であるBTCで強化しつつ、グローバルなビットコイン経済やWeb3の潮流に戦略的に乗る狙いだと説明しています。
韓国版メタプラネットを目指すビジョン
K Wave Mediaは自社のビットコイン戦略について「韓国版メタプラネット」を目指すものであるとも言及しています。
メタプラネットは東京証券取引所スタンダード市場に上場する日本企業であり、2024年4月にビットコイン標準を採用して財務資産をBTC中心に切り替えた先駆者です。
同社の株価はこの戦略を契機に2024年の一年間で40倍以上のリターンを達成し、2024年の世界で最も株価上昇率が高い銘柄となりました。
K Wave Mediaはこのメタプラネットの成功モデルに倣い、公開市場での調達力とビットコイン財務戦略を組み合わせる同様のモデルがアジアおよび世界の投資家に支持されるとの考えを示しています。
経営陣が語るビットコイン戦略導入の狙い
同社の経営陣も今回の取り組みを「大胆」かつ「将来を見据えたビジョン」と位置付けています。
K Wave Media取締役会長の崔平鎬(チェ・ピョンホ)氏は次のようにコメントしています。
K Wave Mediaによるビットコインの財務資産としての大胆な採用は、デジタルメディアと分散型金融の融合が進んでいることを示す先見的な一手です。
この戦略は同社のWeb3統合を牽引し、株主に強固で長期的な価値を創造するものになると確信しています。
また共同暫定CEOのTed Kim(テッド・キム)氏も次のように述べ、今回の戦略が同社のコンテンツ制作力向上や、コンサート運営・音楽配信などK-POPエコシステム全体への事業拡大にも寄与するとの見解を示しました。
当社はメディアの未来、特に財務基盤を再創造しようとしています。ビットコインは単なる価値の保存手段に留まらず、イノベーションや独立性、グローバルなスケーラビリティの基盤を提供するものです。
BTCを当社の中核戦略に組み込むことで、分散化へのコミットメントを強化し、K Wave Mediaにとって大きな前進となるでしょう。
企業・政府「2026年までに20%のBTCを保有」
K Wave Media株価急騰、BTC財務戦略発表に市場が好感
発表直後に前日比3倍超えに
この発表を受けて、米ナスダック市場でK Wave Mediaの株価は急騰しました。同社株は発表直後に一時160%以上の急騰を記録し、取引当日には前日の3倍を超える価格を付けたと報じられています。
株価急騰は市場から今回のビットコイン財務戦略が好意的に受け止められたことを示すものですが、一方でビットコイン価格に業績が左右されるリスクも孕んでいます。
上場企業のビットコイン採用が加速
K Wave Mediaのようにビットコインを中核資産に据える動きは、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)社、テスラ社、メタプラネット社が先頭となって他企業にも広がりつつあります。
スタンダードチャータード銀行の調査によれば、2025年6月時点で少なくとも61社の上場企業がビットコインを企業財務に組み入れており、保有BTC合計は約673,897BTC(発行済みビットコインの約3.2%)に達すると報告されています。
企業のBTC保有がもたらす価格変動リスク
企業によるビットコイン準備金の増加は現在のところ市場の買い需要を押し上げる要因となっています。
スタンダードチャータード銀行のアナリストは「将来的に非効率性が解消されれば、これら企業のビットコイン準備金が価格下落やボラティリティの原因になる可能性もある」と指摘しており、企業財務戦略としてのビットコイン採用にはメリットとリスクの両面が存在すると分析しています。
実際、先行してビットコイン財務戦略を導入した企業では、ビットコイン価格の変動により利益や損失が大きく変わり、それが業績や株価に影響を与えるケースも報告されています。
それでも、ビットコイン財務戦略を採用する企業数は増加傾向にあり、業界では「企業によるビットコイン準備金への関心は現在かつてないほど高まっている」との声も上がっています。
K Wave Mediaの動きは、そうしたビットコインを巡る企業トレンドの流れに韓国企業として本格参入することを示しており、今後の動向が国内外から注目されます。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.62円)
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Source:K Wave Media公式発表
サムネイル:AIによる生成画像



























