ビットコイン支配率が半年ぶり低水準「アルトコインの逆襲」鮮明に|BNB・イーサリアムが相場を牽引

ビットコイン支配率が半年ぶり低水準「アルトコインの逆襲」鮮明に|BNB・イーサリアムが相場を牽引(Bitcoin dominance hits 6-month low as altcoins like BNB and Ethereum lead the market)
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ByteTree「実需伴うアルトコインのみが上昇持続」

英国の仮想通貨調査企業ByteTree(バイトツリー)は2025年8月20日、ビットコイン(BTC)の市場占有率(ドミナンス)が約6か月ぶりの低水準まで低下し、主要アルトコインの台頭が顕著となっていることを明らかにしました。

同社が公開した市場分析レポートによると、アルトコイン市場はイーサリアム(ETH)ビルドアンドビルド(BNB)が牽引しています。

BNBは過去1週間で約10%上昇して史上最高値となる875ドル(約13万円)を記録し、イーサリアムも直近の急落から7%以上反発して4,350ドル(約64万円)まで価格を戻しています。

一方でビットコインの上昇は限定的にとどまり、8月中旬に株式市場が下落基調を強めた中でもアルトコインは相対的な強さを示しました。

ByteTreeのアナリストであるシェリアー・アリ氏とチャーリー・モリス氏は、今回の動きをアルトコインシーズン到来の兆しと捉えつつも、次のようにコメントしています。

アルトシーズンの兆しかもしれないが、過去のような狂乱的ラリーにはならない。

選別されたファンダメンタルズ重視の成長となり、実体のないプロジェクトは報われないだろう。

アルトコイン市場が転換点「投機から質重視へ」

成熟進む仮想通貨市場とアルトシーズン兆候

ByteTreeのレポートによれば、近年の仮想通貨市場は成熟が進み、かつてのように単なる憶測や宣伝で幅広いアルトコインが高騰する状況は見られなくなっています。

実際、Google検索における「Altcoins」の検索量は過去最高水準に達しており、市場参加者がビットコイン以外の仮想通貨にも分散投資する意欲が高まっていることが示唆されています。

アルトコイン市場の中核であるイーサリアムは、今年4月の安値から約250%急回復し、この劇的な反発を契機に分散型金融(DeFi)など広範なセクターへの資金流入を促したとされています。

DeFi全体のロック資産総額(TVL)は3,400億ドル(約50兆円)を突破し、2021年12月の前回ピークである約3,000億ドル(約44兆円)を上回る水準となっています。

こうした成長の中核はイーサリアムを基盤とするエコシステムで、ソラナ(SOL)やBNBチェーンなど他のブロックチェーンもシェア拡大に貢献したとされています。

実需重視の市場構造が示す新たな選別局面

一方でByteTreeは「真のアルトシーズン」はまだ本格化していないと分析します。背景として、実需や収益を伴うプロジェクトが相対的に評価され、投機主導だけでは広範な上昇が起こりにくい点が挙げられています。

例えばトロン(TRX)やアーヴェ(AAVE)、イーサリアムのようにオンチェーン活動や収益基盤が堅調な銘柄は価格上昇が顕著とされる一方、XRPカルダノ(ADA)スイ(SUI)などは実需に照らして過大評価されていると指摘しています。

同社は、従来の「短期間で数十銘柄が5〜10倍に急騰する」型のラリーは起こりにくく、上昇が見込まれるのは基本面に優れた選抜銘柄に限られるとの見解を示しました。

ソラナ高騰の背景にある利用拡大と基盤成長

著しい成長を遂げたソラナは、2023年10月以降に約12倍の上昇を記録しましたが、その背景にはオンチェーン取引量やユーザー数の急拡大といった基盤強化があったとされています。

ByteTreeは、ソラナの完全希薄化後時価総額(FDV)が約1,100億ドル(約16.2兆円)に達していることを踏まえ、同ペースの成長継続には異例の利用拡大が必要で、現実的には緩やかな伸びに落ち着く可能性が高いと分析しています。

このため、収益源やユーザー基盤が確かな高品質プロジェクトをポートフォリオの中核に据える傾向が強まり、根拠に乏しい話題性のみのトークンは淘汰されるとの見方が示されています。

「史上最大級アルトシーズン」期待と現実

市場関係者からも、アルトコイン市場の見通しに関して強弱さまざまな見解が示されています。

仮想通貨取引所BitMEXの共同創設者アーサー・ヘイズ氏は7月11日、X(旧Twitter)で「モンスター級のアルトコインシーズンが間もなく始まる」との見解を示しました。

ビットコインが当時の過去最高値(約11万8,900ドル)を更新し、イーサリアムが追随する局面に触れ、同氏は「今こそ莫大な富を得るチャンスだ」と強気の姿勢を示しています。

また同氏は、米財務省のTGA口座(政府一般勘定)資金補填に伴う流動性低下を懸念していたものの、BTCの上昇を受けてその懸念は後退したと説明しました。さらに「弱気見通しはもはや当てはまらない」との認識を示しています。

このように一部では「史上最大級」のアルトコインラリーへの期待が語られる一方、ByteTreeは過度な楽観に警鐘を鳴らし、今後の上昇は質の高いプロジェクトへの資本集中が進む選別相場になるとの見解を示しています。

なお、米仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)の最新分析でも、今年5月に約65%だったビットコインの市場占有率が8月時点で約59%まで低下していることが確認されており、資金がビットコインからアルトコインへ循環し始めている可能性が指摘されています。

これは一般的にはアルトコインシーズン初期のサインとみなされるため、今後数ヶ月の市場動向に注目が集まります。

機関投資家資金が流入、アルトコイン市場に注目集まる

BNBが最高値更新、投資需要高まる

直近の市場では、主要アルトコインに強気の動きが見られています。

なかでもビルドアンドビルド(BNB)は、企業需要の増加やネットワーク活動の活発化を背景に880ドル近辺(約13万円)まで上昇し、過去最高値を更新しました。

NASDAQ上場のWindTree Therapeutics(ウィンドツリー・セラピューティクス)や香港の半導体企業Nano Labs(ナノ・ラボ)が財務資産としてBNBを採用する動きも見られ、BNBチェーンのエコシステム拡大と機関投資家の需要増加が、年初来の上昇を支えた要因とされています。

ETH反発で市場を牽引 SOLやAAVEも堅調推移

また、イーサリアムも堅調で、前週比で一時8%前後上昇し直近の下落分をほぼ取り戻しました。

他の主要アルトにも買いが波及し、ソラナは約6%上昇、チェーンリンク(LINK)やアーヴェ(AAVE)もそれぞれ約10%高・7%高と、軒並み水準を切り上げています。

LINKが急伸、アクティブユーザー数が過去最高水準

特にLINKは過去1週間で約15%急騰し、一時26.7ドル(約3,900円)まで上昇する場面も見られました。

オンチェーン分析企業Santimentは、8月中旬にLINKのアクティブユーザー数と新規ウォレット作成数が2025年の最高水準を記録したと報告しています。

この利用者増加がLINK価格上昇の一因と分析されており、直近1週間でクジラ(大口投資家)による約110万LINKの買い増し(約2,740万ドル/約40億円相当)が確認されています。

こうしたアルトコイン市場の活発化により、ビットコインが伸び悩む状況でもアルトへの資金循環が鮮明になっています。専門家からは「主要アルトへの選別投資が進む新たな局面」との見方が示されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.41 円)

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Source:ByteTreeレポート
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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