暗号資産組入れ投信を国内大手6社が検討開始
2025年11月18日、SBIグローバルアセットマネジメントなど、国内大手の資産運用会社6社が暗号資産(仮想通貨)を組み入れた投資信託の組成を検討していることが明らかになりました。
日本経済新聞によれば、野村アセット、SBIグローバルアセット、大和アセット、アセットマネジメントOne、アモーヴァ、三菱UFJアセットの6社が、暗号資産対応の投信開発を検討中であると回答したと伝えています。
特にSBIグローバルアセットでは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)に連動するETF(上場投資信託)や、複数の暗号資産を組み合わせた投信の可能性も検討しているといいます。
金融庁が暗号資産を含む投資信託の解禁検討や米国でのETF拡大を受け、日本でもこうした商品の登場への期待が高まっています。
暗号資産105銘柄が金商法の対象に
暗号資産を巡る国内運用会社の新たな商品戦略
暗号資産投信を巡る国内法規制と課題
現行の国内法では投資信託に暗号資産を直接組み入れることは認められていませんが、金融庁は規制緩和に向け、暗号資産の組み入れを容認する方向で検討を進めています。
これが実現すれば、国内でも規制下で暗号資産を扱う金融商品が誕生する道が開かれます。ただし、暗号資産を投資信託に組み入れるには税制面での改革が不可欠とされています。
現在、暗号資産の売買益は最大55%の総合課税となっていますが、株式と同様に20%の申告分離課税へ引き下げる案が検討されています。
直接取引と投資信託で異なる税率のままでは、投資マネーが低税率の方へ流れて市場の歪みが生じる恐れもあります。
6社はいずれも個人投資家向けだけでなく機関投資家向けの商品開発も模索しており、こうした取り組みの実現によって日本国内への投資マネー流入が増加すると期待されています。
SBIと大手運用会社が進める暗号資産商品戦略
SBIグループは暗号資産ファンド提供に向けた準備を進めています。
2024年7月、米大手運用会社フランクリン・テンプルトンと共同で国内に資産運用会社を設立し、法改正によって暗号資産ファンドの提供が解禁され次第、その知見を活かした商品を投入する計画を示しました。
他の運用各社も暗号資産分野への取り組みを加速しており、大和アセットマネジメントはETF特化子会社のグローバルXジャパンと連携し、新たな暗号資産関連商品の戦略を議論中であると報じられています。
また、アセットマネジメントOneやアモーヴァ、三菱UFJアセットマネジメントも社内に専門チームを立ち上げ、商品組成を検討しているといいます。
なお、アセットマネジメントOneは今年7月より、暗号資産関連事業を手掛ける企業の株式に投資する「暗号資産関連株式ファンド(シークレット・コード)」の運用を開始しています。
金融庁、3メガバンクの実証実験を支援
国内で進む暗号資産制度整備とETF解禁の行方
金融庁が進める税制改正要望とETF環境整備
政府や規制当局は、暗号資産を取り巻く制度整備を進めています。
金融庁は2025年8月、2026年度税制改正要望において暗号資産取引の20%申告分離課税適用など課税見直しを求め、暗号資産ETF創設を後押しする環境整備を要請しました。
同庁は、これまで決済手段として扱われてきた暗号資産を金融商品として位置付けるため、2026年に金融商品取引法の改正案を国会に提出する方針としています。
暗号資産ETFを巡る慎重姿勢と投資家保護議論
一方で、投資家保護の観点から慎重な意見も出ています。
金融庁の井藤英樹長官(当時)は2024年8月のインタビューで暗号資産ETF承認について「慎重に検討する必要がある」と述べ、暗号資産が長期的な安定資産形成の目的に合致するか疑問との見方を示しました。
一方、同長官はテクノロジー推進の姿勢も維持したいと述べ、暗号資産ETFの可能性を完全には否定しない考えも示しています。
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Source:日本経済新聞報道
サムネイル:AIによる生成画像




























