世界最大手ブラックロックが新たな仮想通貨ETFを申請
世界最大の資産運用会社であるBlackRock(ブラックロック)が、ステーキング報酬を含めた新しいイーサリアムETFである「iShares Staked Ethereum Trust ETF(ETHB)」の承認を求めて、米国証券取引委員会(SEC)に申請書類を提出したことが明らかになりました。
2025年12月5日付でSECのEDGARシステムに公開されたS-1登録届出書によると、新たなファンドの名称は「iShares Staked Ethereum Trust」とされています。このETFは、現在すでに取引されている「iShares Ethereum Trust(ETHA)」とは異なる投資商品として設計されており、ティッカーシンボルには「ETHB」が使用される予定です。
ブラックロックは2024年にビットコインETF(IBIT)とイーサリアムETF(ETHA)を相次いで成功させ、仮想通貨市場に莫大な資金流入をもたらしました。今回の申請は、単に価格に連動するだけでなく、イーサリアム(ETH)が持つ本来の機能である「ステーキングによる利回り」を投資家に提供しようとする、野心的な試みとなります。
Ticker $ETHB
— Eric Balchunas (@EricBalchunas) December 8, 2025
「iShares Staked Ethereum ETF」に関する正式な目論見書が提出されました。これは同社にとって4件目の暗号資産関連の申請となります。現物ビットコイン、イーサリアム、ビットコイン・インカム、そして今回のこれです。
ティッカーはETHB。
「ETHB」の仕組みとステーキング機能の詳細
提出された書類によると、「iShares Staked Ethereum Trust」は、ファンドが保有するイーサリアムの一部をステーキングプロバイダーに委任し、そこから得られるステーキング報酬を信託資産に組み入れることを目的としています。これにより、投資家は自分で複雑なノード運営やバリデータ管理を行うことなく、イーサリアムのネットワーク報酬を享受できる可能性があります。
具体的には、以下のような仕組みで運用される見込みです。
- 現物の保有と委任
ファンドはカストディアン(管理会社)を通じて現物ETHを保有し、その一部をステーキングに回す。 - 流動性の管理
全ての資産をロックするのではなく、償還(換金)の需要に応えられるよう、適切な流動性を維持しながら運用を行う。 - 報酬の扱い
ネットワークから得られた報酬は、ファンドの資産価値(NAV)に反映されるか、あるいは配当として分配される形式が想定される。
これまでSECは、現物ETFの承認にあたり「ステーキング機能の除外」を暗黙の条件としてきました。これは、ステーキングサービスが証券法上の「投資契約」に該当する可能性があるという懸念や、出金までのロック期間(アンボンディング期間)がETFの流動性を損なうリスクを警戒していたためです。
しかし、業界最大手であり政治的・規制的な調整能力に長けたブラックロックがこの領域に踏み込んだことで、規制当局の判断に変化が生じる可能性が高まっています。
承認されれば市場のゲームチェンジャーに?
もし「ETHB」が承認されれば、機関投資家にとってイーサリアムは単なる「値上がり益を狙う資産」から「利回りを生む生産的な資産」へと評価が一変することになります。債券や配当株と同様に、インカムゲインが得られる金融商品として認識されれば、ポートフォリオへの組み入れ需要は飛躍的に拡大することになると期待されます。
また、この動きは他のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)銘柄にとっても重要な意味を持ちます。ブラックロックの申請が通れば、ソラナ(SOL)やカルダノ・エイダ(ADA)など、ステーキングがエコシステムの根幹をなす他のブロックチェーンにとっても、同様のETF商品への道が開かれることになるからです。
現在の仮想通貨市場では、ビットコイン(BTC)の現物ETFが圧倒的なシェアを占めていますが、ステーキング利回りという明確な差別化要因を持つ「ETHB」が登場すれば、イーサリアムへの資金回帰を促す強力な触媒になると期待されています。SECの審査プロセスは通常数ヶ月を要しますが、2026年に向けてこの「ステーキングETF」は最大の注目テーマの1つになると予想されます。
ETF関連の注目記事
source:SEC資料
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用
























