「投機から実装へ」豪州でステーブルコイン実用化が加速
オーストラリアのデジタル資産カストディ企業Zodia Custody(ゾディア・カストディ)は、同国で進むステーブルコインの実用化状況を整理した調査レポートを公表しました。
同レポートでは、ステーブルコインが投機的な存在ではなく、支払いや財務管理、取引決済、国際送金、トークン化資産の実証実験を支える金融インフラとして機能していることが示されています。
ゾディアによると、オーストラリアでは地理的条件や時差、貿易依存度の高さから、24時間稼働する決済・流動性手段への需要が高まっており、ステーブルコインがこれらのニーズに応えていると指摘しています。
さらにレポートでは、財務・流動性管理、国際ビジネス決済、取引インフラ、フィンテック・Web3決済、トークン化利回り管理という五つの主要ユースケースが提示されました。
これらはいずれもすでに実運用段階にあり、オーストラリアの金融システムの中で実際に機能していると位置付けられています。
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オーストラリア金融市場で実運用が進むステーブルコイン活用
取引・送金業務で広がるステーブルコイン利用
調査レポートによると、取引所やOTCデスクでは、ステーブルコインが日中流動性や即時決済残高として利用されており、主要取引の過半がステーブルコインを介して行われています。
ゾディアは、こうした利用形態により、従来の銀行送金に伴う時間的制約や資本拘束を軽減できると指摘しています。
また、国際送金分野では、オーストラリア企業が海外拠点や外部委託先へ支払う際、ステーブルコインによる即時決済が活用されているといいます。
同社は「従来数日を要していた国際送金が短時間で完了することで、為替コストやオペレーション負荷の低減につながっている」と説明しています。
トークン化資産を支える決済レイヤーとしての機能
一方、トークン化資産との関係では、ステーブルコインが決済レイヤーとして機能し、トークン化債券やマネーマーケットファンドなどの受渡しを支えている点を強調しました。
レポートではこうした動向を踏まえ「トークン化金融商品の拡大に伴い、法定通貨に連動した安定したオンチェーン資金の重要性が高まっている」と指摘しています。
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トークン化時代を支えるステーブルコインの役割
今回の調査レポートでは、ステーブルコインがオーストラリアにおいて一時的な技術実験ではなく、すでに企業活動や金融取引を支える実用的な基盤として機能している実態が示されました。
特に、24時間稼働する決済手段や即時流動性の確保といった特性は、地理的制約や国際取引の多い同国の経済構造と親和性が高く、既存の金融インフラを補完する役割を果たしています。
ゾディアは今後の見通しとして、規制整備と制度的明確化が進むことで、銀行や機関投資家によるトークン化資産やデジタル決済への参加が本格化し、ステーブルコインが金融インフラの中核として位置付けられると分析しています。
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Source:Zodia Custodyレポート
サムネイル:AIによる生成画像




























