米国の戦略的BTC準備が支える15万ドル予測
2025年12月29日、米国のマーケットアナリストであるドミニク・バスルト氏は、米国の戦略的ビットコイン準備を背景に、2026年にBTC価格が15万ドル(約2,350万円)に到達し得るとの予測を示しました。
バスルト氏は、BTC価格が10月の史上最高値から30%下落し現在8万6,000~9万ドル(約1,340万~1,400万円)前後で推移しているものの、構造的な下支え要因は維持されているとして「先行きは依然楽観的だ」と指摘しています。
BTCは2025年初来で7%以上下落していますが、同氏はこの調整局面自体が過去の強気相場前と類似しているとして、2026年に約75%上昇し15万ドルに達する可能性があると分析しています。
この上昇の主要因として、バスルト氏は「米国政府の戦略的ビットコイン準備による買い増し」を挙げており、政府主体の市場支援が新たな追い風になるとの見解を示しました。
ビットワイズCIOが示す成長シナリオ
米国政策と市場環境から見る2026年BTC価格展望
ビットコインの歴史が示す反発パターン
バスルト氏は、過去の値動きを踏まえた上で、BTCが来年75%上昇するとの見立ては決して突飛ではないと強調しています。
実際、2012年以降の強気相場でBTCは年間100%以上の上昇を複数回記録しており、同氏は「弱気相場だった2015年ですら年間36%の上昇率を示している」と指摘しました。
また、2018年にBTC価格が年間74%暴落した後の2019年には95%の上昇を遂げており、低迷の翌年には大幅反発する傾向があることを示しています。
バスルト氏は2025年にBTCが7%下落している現状は過去の弱気局面と類似しており、2026年は2019年のように力強い回復局面となり得ると述べています。
同氏によれば、2019年の上昇局面で見られた「世界的な経済不透明感」や「機関投資家の関心急増」といった要因が、現在の市場環境にも重なっているといいます。
価値保存手段として問われるビットコイン
一方で、こうした強気材料が存在する中でも、2025年末時点ではビットコインを巡る「デジタルゴール」という評価軸は揺らいでいます。
バスルト氏は、BTCが年初来7%下落する一方で、金価格は73%も急騰し過去最高値を更新するなど、両資産の値動きは逆方向に大きく乖離していると指摘しました。
市場では、ビットコインが安全資産ではなく高リスク資産として位置づけられる中、法定通貨の代替として金に資金が向かう動きが見られています。
同氏はこの点について、投資家がBTCを単なるリスク資産と捉え続ける限り「デジタルではなく現物の金が選好されるだろう」と警鐘を鳴らしました。
こうした状況を踏まえ、BTCが15万ドルに達するには、長期的な価値の保存手段としての信頼(いわゆるデジタルゴールドの地位)を投資家の間で回復することが不可欠だとバスルト氏は強調しています。
米国の戦略的ビットコイン準備が市場に与える影響
BTC戦略備蓄がもたらす国際的な連鎖
米国では2025年3月、ドナルド・トランプ大統領が戦略的ビットコイン準備の設立を定めた大統領令に署名し、政府が押収したビットコインを国家備蓄として活用する方針を打ち出しました。
この戦略備蓄は犯罪収益の没収品であるビットコイン約20万BTCをもとに創設され、将来的には「予算に中立的」な形で追加のビットコイン取得も許可されています。
当初、新規購入を伴わない方針に市場の一部は落胆を示しましたが、バスルト氏は、米財務長官であるスコット・ベセント氏が今後のBTC買い増しに含みを持たせている点に注目しています。
同氏によると、米国政府が国家戦略として大規模なBTC購入に踏み切った場合、他国も追随してビットコイン備蓄の「軍拡競争」が起こる可能性があるといいます。
この米国の動きを受ける形で、2025年5月にはパキスタン政府が国家的なビットコイン備蓄構想を表明するなど、米国以外でも戦略備蓄を検討する動きが見られました。
同氏は、各国政府による大量買いはBTC価格を押し上げ、民間企業によるコーポレート戦略購買を上回る市場インパクトをもたらす可能性があると分析しています。
これらを踏まえ、戦略備蓄の動きが本格化すれば「2026年に15万ドル」という強気予想も十分現実味を帯びるだろうとバスルト氏は述べています。
仮想通貨業界が支持するBTC備蓄構想
仮想通貨業界でも政府によるBTC備蓄の必要性を訴える声が強まっています。
米大手仮想通貨取引所Gemini(ジェミナイ)創業者のキャメロン・ウィンクルボス氏は2025年3月、各国が希少資源のようにビットコインを備蓄することについて「ゲーム理論と国家安全保障上、もはや選択ではなく必須だ」と主張しました。
さらに同氏は「他国に先んじて早く蓄えるほど、より安価に確保できるのは単純な理屈だ」と指摘しています。
また米大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)のブライアン・アームストロングCEOも、ビットコイン単独に焦点を当てた国家デジタル資産準備の創設を支持し「ビットコインこそ金の後継となり得る最も信頼性の高い価値の保存手段だ」と強調しています。
BTC相場:2020年型パターンの兆し
市場が注目する2026年ビットコイン相場の行方
米金融機関が示す2026年BTC上昇シナリオ
2026年のビットコイン相場については、こうした政策動向を背景に、他の市場関係者からも強気な予測が相次いでいます。
米大手銀行JPモルガン・チェースのストラテジストチームは12月上旬、公表した顧客向けノートで「ビットコインは今後6~12か月で約17万ドル(約2,650万円)に達する可能性がある」と指摘しました。
これは同チームが、BTCの価格変動率(ボラティリティ)が金並みに低下すると仮定したモデル分析によるもので「現在価格から84%の上昇余地が見込める」としています。
一方、強気派として知られる米投資調査会社Fundstrat(ファンドストラット)の共同創業者トム・リー氏は、BTC価格が2026年末までに最大25万ドル(約3,900万円)に達し得るとの予想を示しています。
強気予測の背景にある投資家心理と市場環境
また、英スタンダードチャータード銀行は今月、中期予測を下方修正したものの2026年末までに15万ドルに到達すると見込んでいます。
同行は当初2026年に30万ドルへ高騰すると予測していましたが、機関投資家からの資金流入ペースが想定より緩やかであるとして予想値を半減しました。
それでも長期的な強気姿勢は崩しておらず、2030年までのビットコイン価格目標としては依然50万ドル(約7,800万円)を掲げています。
なお、こうしたBTC価格予測には強気な見方が示される一方、各シナリオには市場環境や投資家心理の改善といった前提条件が伴うとされています。
バスルト氏自身は「米国政府が戦略備蓄を拡充するといった複数の条件が満たされて初めて15万ドル到達が現実味を帯びる」と述べており、2026年に向けては各国の政策動向やマクロ経済の行方が価格に大きく影響するとみられています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.24 円)
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Source:ドミニク・バスルト氏分析記事
サムネイル:AIによる生成画像





















