米ドル下落で世代交代進行、ビットコインと金が主役に
市場分析企業The Kobeissi Letter(コベイシ・レター)は2025年10月5日、米ドルが1973年以来の年間下落率を記録する一方、ビットコイン(BTC)と金がともに史上最高値を更新しており、「世代交代的なマクロ経済シフトが進行している」との見解を示しました。
ビットコインの価格は直近7日間で約10%上昇し、8月中旬の過去最高値約124,480ドルを上回る125,000ドル(約1,870万円)に到達しました。
加えて、金価格も過去最高の1オンス=3,880ドル(約58万円)前後まで上昇し、安全資産とされる金とリスク資産である株式が同時に値を伸ばすという展開となっています。
こうした金と株式の同時上昇について、コベイシ・レターは「市場が新たな金融政策時代を織り込みつつある兆候」と指摘し、この動きの中でビットコインが「新しい安全資産」として台頭する可能性に触れています。
米国政府閉鎖で仮想通貨市場が全面高に
1970年代以来のドル危機が導く「ビットコイン経済」
利下げ局面で進む「非ドル資産」へのシフト
コベイシ・レターの分析によると、米ドルは年初来で10%以上下落しており、これは「1973年以来最悪のドル安」水準だとしています。
米ドルは2000年以降で購買力の40%以上を失っており、この価値目減りの背景には「FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ率の高止まりを受け、約30年ぶりに利下げへ転じる金融政策の大きな転換がある」と指摘しました。
There is a widespread rush into assets happening right now.
As inflation rebounds and the labor market weakens, the Fed is CUTTING rates.
The USD is now on track for its worst year since 1973, down over -10% YTD.
The USD has lost -40% of its purchasing power since 2000. pic.twitter.com/GLYumC33IP
— The Kobeissi Letter (@KobeissiLetter) October 5, 2025
現在、資産への資金流入が広範囲で進んでいます。インフレが再び上昇し、労働市場が弱含む中、FRBは利下げを行っています。
ドル(USD)は今年、1973年以来の大幅な下落となる見通しで、年初来で既に10%以上下落しています。2000年以降、ドルの購買力はおよそ40%失われています。
実際、FRBはコア個人消費支出(PCE)インフレ率が2.9%超と目標を上回る中で利下げに踏み切っており、コベイシ・レターは「インフレが再燃し、労働市場が弱体化する一方で利下げが行われ、ドルの信用が揺らぐ状況では実物資産への大規模な資金流入が起きている」と分析しています。
こうした動きの典型例として、金価格が2025年に入って40回も過去最高値を更新したことや、ビットコインの時価総額が過去最高の2.5兆ドル規模に達した点を挙げています。
「ドル建て資産vs非ドル資産」時代の幕開け
非ドル資産への資金シフトが進む中、投資マネーは株式などのリスク資産にも流れ込み、S&P 500株価指数は直近6カ月で約40%という歴史的な急騰を見せています。
コベイシ・レターは、安全資産の代表格である金と典型的リスク資産である株式の相関係数が2024年に0.91という異例の高水準に達した点に注目し、市場全体が「伝統的な安全資産vsリスク資産」の枠組みを超えて「ドル建て資産vs非ドル資産」という新たな構図で動いている可能性を指摘しました。
投資家は現在、資産クラスごとの差異よりも「ドルを保有するかどうか」を重視しており、ドルの価値下落に備えて多様な代替資産へ資金を移しているとの見立てです。
コベイシ・レターはこの現象を「世代交代的なマクロ経済シフト」と位置付け、資産を保有しなければ取り残されると繰り返し警鐘を鳴らしています。
市場参加者は「今回のドル安ショックは1970年代の再来と言えるが、当時と決定的に異なるのは、金だけでなくビットコインという新たなハードアセットが存在する点だ」と強調し、ビットコインが従来の安全資産像を塗り替える可能性に言及しています。
10月からアルトコイン市場が強気転換
ビットコインが示す新たな安全資産の姿とドル安の行方
米政府シャットダウンが示した通貨不安と資金流入先
10月に入ってからも、米国の政治・経済状況がビットコイン市場に与える影響が鮮明となっています。
1日に発生した米連邦政府の一部閉鎖(シャットダウン)は投資家心理を動揺させました。専門家は、この事態が「ドルの信用低下(通貨価値の希薄化)へのヘッジ=デベースメント・トレード」との見方を強め、ビットコインや金への避難需要を促したと指摘しています。
米政府の機能停止による経済指標の発表遅延や先行き不透明感を背景に、米ドル指数(DXY)は下落基調を強めました。一方、ビットコイン価格は史上最高値圏で堅調に推移しており、この状況を受けて大手金融機関もビットコインの位置付けを再評価し始めています。
機関投資家が再評価するビットコインの投資価値
米銀大手シティグループは10月2日付のリサーチノートで、ビットコインの年末予想価格を133,000ドル(約1,990万円)に引き上げたことを明らかにしました。
同社は「短期的な資金流入ペースは鈍化する可能性がある」としつつも、ビットコインの役割について「デジタルゴールドとしての地位は揺るがない」との見解を示しています。
ドル信認の低下で浮上するBTCの安全資産としての地位
コベイシ・レターの分析どおり、2025年10月初頭の市場動向は、ビットコインが従来の金融システムに対する不安のヘッジとして「新しい安全資産」と認識されつつあることを示しています。
このような動向を受け、各種専門家からは「米ドルの信認低下という逆風の中では、今後もビットコインや金などの代替資産が優位に立つ」との見方が相次いでおり、年末にかけてのビットコイン市場の動向にも引き続き注目が集まっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=149.75 円)
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Source:Kobeissi Letter X投稿
サムネイル:AIによる生成画像




























