資産運用大手フィデリティ、DeFi・トークン化証券の規制枠組みをSECに直訴

資産運用大手フィデリティ、DeFi・トークン化証券の規制枠組みをSECに直訴

この記事の要点

  • フィデリティが2026年3月21日、SECに仮想通貨規制の整備を正式要請
  • トークン化証券・DeFi・DLTの3領域で規制の空白が存在すると指摘
  • 整備が実現すれば機関投資家の仮想通貨市場への本格参入が可能に
  • 制度整備の進展が機関投資家の市場参入に影響
目次

仮想通貨規制の整備へ、フィデリティがSECに直接要請

米フィデリティ・インベストメンツは2026年3月20日、SEC(米国証券取引委員会)に対し、ブローカーディーラーによる仮想通貨資産の提供・カストディ・取引に関する規制枠組みの整備を求めるレターを提出しました。

レターは、ATS(代替取引システム)上でのトークン化証券取引とDeFi(分散型金融)統合に向けた規制ガイダンスの明確化を求めるもので、米国第3位の資産運用会社が機関投資家を代表するかたちで公式に整備を迫った内容となっています。

これまでブローカーディーラーは、仮想通貨資産をATS上で取り扱うための統一された規制基準が存在せず、参入判断を下せない状態が続いていました。

DeFiプラットフォームに至っては中央管理者が存在しないため、SECの求める財務報告義務を履行できない構造的な問題も指摘されています。

こうした背景を踏まえ、フィデリティは「トークン化証券の取引ルール策定」「DeFi向け報告要件の見直し」「DLT(分散台帳技術)を用いた記録管理ガイダンスの発行」の3点をSECに求めており、整備が実現すれば機関投資家が仮想通貨市場へ本格参入できる制度的な土台が整うとしています。

SECはポール・アトキンス委員長の下で24時間365日の資本市場実現を掲げており、フィデリティの要請がタスクフォースの規制策定をどこまで加速させるか、今後の審議が焦点となっています。

トークン証券・DeFi・DLT、フィデリティが整備を求める3領域

発行構造・法的性質・評価モデル、従来証券との3つの違い

フィデリティは、トークン化証券は発行構造・法的性質・評価モデルが従来の証券と大きく異なるとし、「包括的な規制枠組みの策定が不可欠」との見解を示しました。

同社のゼネラルカウンセルであるロベルト・ブラセラス氏は、保有モデルによってホルダーの権利が根本的に異なると指摘しています。

同氏は「一部モデルでは仮想通貨資産が原資産証券への間接的な持分を表す証券的権利として機能し、別のモデルでは適格契約参加者にのみ提供可能な証券ベーススワップを構成するケースがある」と述べ、同一の規制を適用することの難しさに言及しました。

さらにトークン化されるRWA(現実資産)は株式・不動産・債券・プライベートクレジットなど多様な資産クラスにまたがっており、第三者が発行するトークン化証券の取引ルールを含む詳細な整備が求められるとしています。

DeFiに既存ルールを適用できない、規制の構造的な矛盾

またフィデリティは、DeFiプラットフォームを含む「非仲介型」取引システムについて、SECの財務報告義務との整合性に課題があると指摘しました。

中央管理者が存在しないDeFiの性質上、既存の報告規則をそのまま適用することは非現実的であり、ブラセラス氏は「技術的実態を反映するかたちで報告要件を見直すことで、分散型システムへの不当な負担を取り除くことができる」と述べています。

さらに同社は、ブローカーディーラーがATS上の記録管理にDLT(分散台帳技術)を利用することを認めるガイダンスの発行も要請しており、中央集権型と分散型が共存できる規制環境の整備をSECに求めています。

金融3当局の共同声明がトークン証券規制の土台を固める

ポール・アトキンス委員長の下、SECは24時間365日の資本市場実現への支持を表明しており、金融機関によるトークン化取引の試験的導入への規制上の承認も与えてきました。

2026年3月にはFRB(連邦準備制度理事会)・FDIC(連邦預金保険公社)・OCC(通貨監督庁)が共同政策声明を発表し、「証券の発行や取引に使われるテクノロジーは、資本上の扱いに影響しない」との見解が示されています。

この声明は、トークン化証券を原資産と同一の銀行資本要件で扱う方針を示したものであり、フィデリティの要請と方向性が一致する内容となっています。

規制整備の遅れが機関投資家の流出リスクに

欧州やアジアでも規制当局は、トークン化証券やDeFi統合に向けた独自の枠組み策定を進めており、米国の制度整備の遅れが機関投資家を他市場へ向かわせるリスクとして認識されています。

フィデリティによる今回の要請は、こうした競争環境への危機感をSECに直接届けるものとして位置付けられています。

SECがフィデリティの要請を踏まえてATSや記録管理におけるDLT利用を正式に認めた場合、仮想通貨資産を扱うブローカーディーラーが参入判断を下しやすくなり、機関向け市場の構造が大きく塗り替わるとみられています。

大手機関のフィデリティが公式に規制整備を求めたことで、SECタスクフォースの議論の具体化と、今後の政策動向に注目が集まっています。

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Source:フィデリティ提言
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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