フランクリン、仮想通貨部門を設立「オンチェーンM&A」に挑む

フランクリン、仮想通貨部門を設立「オンチェーンM&A」に挑む

この記事の要点

  • フランクリン・テンプルトンが2026年4月1日に新部門を発表
  • 機関投資家向け仮想通貨部門「Franklin Crypto」を設立
  • CoinFund系「250 Digital」の買収計画も同時に公表
  • 大手資産運用会社によるオンチェーンM&A実験が始動
目次

運用資産270兆円の巨人「Franklin Crypto」を設立

米大手資産運用会社フランクリン・テンプルトンは2026年4月1日、機関投資家向け仮想通貨運用部門「Franklin Crypto」の設立と、仮想通貨投資会社CoinFundからスピンオフした「250 Digital」の買収計画を発表しました。

今回の取引では、同社が発行する「BENJIトークン」を決済手段として使用する予定であり、大手資産運用会社としてM&A取引のオンチェーン化に踏み込む画期的な試みと位置づけられています。

買収が完了すれば、250 Digitalが持つ流動性仮想通貨戦略がFranklin Crypto傘下に移行し、機関投資家向けデジタル資産運用の規模が一段と拡大する見通しです。

この体制を率いるFranklin Cryptoの部門長には元CoinFund幹部のクリス・パーキンス氏、CIO(最高投資責任者)にはセス・ギンズ氏が就任し、デジタル資産運用担当上席副社長アンソニー・ピーコア氏が加わることも報告されています。

運用資産残高約1.7兆ドル(約271兆円)を誇る同社がデジタル資産インフラの構築を本格化させたことで、機関投資家の仮想通貨参入がさらに加速するとみられています。

フランクリンが挑むM&A革命、オンチェーン決済の可能性

即時決済と低コスト、オンチェーンM&Aが目指す姿

従来のM&A取引は、銀行送金や証券決済システムを通じた多段階の清算プロセスを経るため、決済完了までに数日から数週間を要します。

フランクリン・テンプルトンが目指すオンチェーンM&Aは、この清算プロセスをブロックチェーン上のトークン化有価証券に置き換えることで、決済の即時化と仲介コストの削減を図るものです。

具体的には、同社が提供するトークン化マネーマーケットファンド関連資産「BENJI」を活用し、伝統的金融資産とデジタル資産を橋渡しする仕組みを構築するとしています。

ただし、こうした手法の市場実装には規制対応や法的整備が前提となるため、今回はあくまで「実験段階」と位置付けられています。

同社はQ2 2026中の250 Digital買収完了を目指しており、その過程でオンチェーン決済の実行可能性を検証するとしています。

CoinFundスピンオフ買収と「250 Digital」戦略

250 Digitalは、CoinFundが手掛けてきた流動性仮想通貨戦略をそのまま引き継いだ組織で、機関投資家向け仮想通貨運用のノウハウを持つ専門チームが在籍しています。

フランクリン・テンプルトンはこの買収により、機関投資家向けの仮想通貨ポートフォリオ運用能力を大幅に拡充する方針です。

この買収に加え、同社はすでに2026年3月、オンド・ファイナンス(Ondo Finance)との提携によりトークン化ETF5本の展開を発表しており、RWA(現実資産)トークン化を軸とした事業展開を加速させています。

Franklin Cryptoの設立はこうした流れの延長線上にあり、機関投資家向けの仮想通貨運用から現実資産のトークン化、さらにM&A決済のオンチェーン化まで、一貫したデジタル資産インフラの構築を目指す戦略的な動きとみられています。

CLARITY法案とフランクリンの賭け

ただし、こうしたオンチェーンM&Aの実現可能性は、米国の規制整備にも大きく左右されます。

ホワイトハウスの仮想通貨政策アドバイザーであるパトリック・ウィット氏は以前からCLARITY法案を「現在の仮想通貨政策の目玉(crown jewel)」と位置づけており、法案成立が業界の事業モデルに直結するとの見方を示しています。

予測市場ポリマーケット(Polymarket)では、仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」の2026年内成立確率が64%と示されており、議会審議の行方が注目されています。

同法案が成立すれば、デジタル資産に関わる事業者が規制上の立場を明確にできるようになり、フランクリン・テンプルトンが目指すオンチェーンM&Aのような新たなビジネスモデルの法的な土台が整うことになります。

フランクリン先行のRWA×M&A、制度整備が焦点

こうした規制整備の動きと並行して、RWA(現実資産)トークン化をめぐる伝統的金融機関の取り組みも急速に広がっています。

フランクリン・テンプルトンの今回の動きは、資産運用にとどまらず企業取引そのものをオンチェーンで完結させる領域へと踏み込んだ点で、伝統的金融機関の中でも先行した実験と位置づけられています。

オンド・ファイナンスとのトークン化ETF提携、そして今回のFranklin Crypto設立とオンチェーンM&A実験が連動することで、同社はデジタル資産インフラの全体像を段階的に形成しつつあります。

CLARITY法案の成否とあわせ、このモデルが制度的な基盤を得られるかが、今後の展開を左右する主要な焦点となります。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.65 円)

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Source:Franklin Templeton発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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