米銀行団体「反仮想通貨広告」を開始、ステーブルコイン規制強化を要求

米銀行団体「反仮想通貨広告」を開始、ステーブルコイン規制強化を要求

この記事の要点

  • ICBAが仮想通貨批判の広告を開始、CLARITY法案審議を前に業界対立が表面化
  • ステーブルコイン報酬条項を巡り、銀行業界は預金流出リスクを訴え規制強化を要求
目次

ICBA、仮想通貨の脅威を広告で訴え

米国の業界団体ICBA(独立コミュニティ銀行協会)は2026年6月11日、仮想通貨(暗号資産)の急速な普及に伴うリスクへの対応を訴える広告キャンペーンの開始を発表しました。

キャンペーンの第1弾となる新広告では、コミュニティ銀行(地域密着型の中小銀行)が地域経済を支えていると強調する一方で、仮想通貨業界については説明責任の緩和やリスク拡大を進めていると批判しています。

ICBAのレベカ・ロメロ・レイニー会長兼CEOは発表のなかで「コミュニティ銀行はメインストリート(地域経済)の屋台骨だ」と述べ、米国民の多くが仮想通貨企業の優遇に伴うリスクに気付いていないと指摘しました。

米上院で審議中の仮想通貨市場構造法案「CLARITY(クラリティ)法案」では、ステーブルコイン保有者への報酬付与の扱いが争点の一つとなっており、銀行業界と仮想通貨業界による主張の応酬が続いています。

「銀行vs仮想通貨」ステーブルコイン利息条項で衝突

「預金1.3兆ドル流出」ICBAの試算

ICBAは、デジタル資産事業者にステーブルコインへの利息・利回りの付与を認めた場合、最大1.3兆ドル(約208兆円)の預金が銀行から流出するとの試算を論拠として示しました。

同団体はこの試算の中で、預金流出にともない8,500億ドル(約136兆円)の融資減少が生じ、中小企業や農家向けの信用供与が縮小しかねないと警告しています。

ICBAによると、コミュニティ銀行による消費者・中小企業・農業向け融資は計4.1兆ドル(約656兆円)にのぼり、100万ドル未満の米中小企業向け融資の約60%、農業融資の80%超を占めています。

同団体はあわせて、銀行選びの際に地域に根ざした融資判断を重視する米国民が79%にのぼる一方で、仮想通貨ルールの整備は有権者の関心事項の中では下位にとどまるとする世論調査の結果も引用しました。

保有報酬禁止・利用報酬容認で妥協

これらの主張が向けられているCLARITY法案(H.R.3633)は2026年5月14日、米上院銀行委員会で賛成15・反対9の超党派投票により可決され、上院本会議へ送付されました。

採決後の声明でティム・スコット委員長は「消費者保護とイノベーション支援、金融の未来を米国にとどめるという共通の目標のもとに結束した」と振り返り、約1年に及ぶ超党派協議の成果を強調しています。

最大の争点となったステーブルコインへの報酬付与をめぐっては、保有するだけで利息や利回りを受け取る仕組みを禁止する一方、取引や支払いなど実利用に連動した報酬は認める妥協案が採決に先立って取りまとめられていたとされています。

可決後も銀行業界が修正要求

この妥協案に対し、ICBAを含む米銀行業界6団体は委員会可決と同じ5月14日、保有に対する利息類似の報酬の禁止をさらに厳格化すべきだとする共同声明を公表しました。

共同声明では、委員会を通過した法案に以前の案からの大きな改善が盛り込まれたと評価する一方、必要な歯止めがなければステーブルコインが銀行預金を奪い、全米の地域融資と経済活動を脅かすと訴えています。

そのうえで6団体は、こうした預金流出への懸念に対処し、法案の内容と本会議での可決の可能性をともに高めるため、上院議員との協議を誠実に続ける方針を示しました。

今回の広告キャンペーンでもICBAは、仮想通貨に適切な規制を適用するよう政策立案者に求めており、上院本会議の審議を前に銀行業界側の働きかけが続いています。

CLARITY法案、60票確保が鍵

こうした議会での協議と並行して、行政側ではステーブルコイン規制を定めたGENIUS(ジーニアス)法の施行ルール整備が進んでおり、FDIC(米連邦預金保険公社)は2026年4月に監督枠組みの規則案を承認しています。

一方のCLARITY法案は委員会可決を経て上院本会議へ送付されており、成立には本会議での可決に加え、下院案との一本化や大統領の署名といった手続きを経る必要があります。

このうち本会議の可決には60票の確保が必要とされており、委員会採決で賛否が分かれた民主党側からどこまで支持を得られるかをめぐり、与野党の協議が続いています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=160.18 円)

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Source:ICBA公式発表
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集長。2016年にBITTIMESを創業し、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域の取材・執筆を10年近く継続。ビットコイン・イーサリアムをはじめとする主要銘柄の動向から、国内外の規制・税制・DeFi・NFTまで幅広くカバー。

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