この記事の要点
- CLARITY法案クローチャー動議「49対50」で否決
- デジタル資産の包括的な規制整備は先送りに
クラリティ法案、民主党賛成ゼロで否決に
米上院は2026年9月15日、仮想通貨の市場構造を定める「CLARITY(クラリティ)法案」について、審議入りに向けたクローチャー(討論終結)動議を賛成49・反対50で否決しました。
可決には60票が必要でしたが、民主党会派から賛成票が出なかったほか、53議席を持つ共和党からもコリンズ、ホーリー、モラン、ティリスの4議員が反対に回り、賛成は49票にとどまりました。
法案を主導してきたシンシア・ルミス上院議員(共和党・ワイオミング州)は否決後、X(Twitter)で、1年以上にわたる交渉で民主党側の要求に応じるたびに新たな条件を示されたと主張し、「ゴールポストを動かされた」と批判しています。
ルミス議員はさらに、民主党が消費者保護や米国の競争力維持に本気ではなかったとの見方を示し、政治家個人の仮想通貨(暗号資産)投資への制限や詐欺対策を含む法案に反対したと不満を示しています。
This afternoon, Senate Democrats proved they were never truly serious about protecting consumers and preserving American leadership. I sat at the table with Senate Democrats working in good faith to get this done while they played games.
— Senator Cynthia Lummis (@SenLummis) September 15, 2026
For over a year, they presented demands…
きょう午後、上院の民主党議員らは、消費者を守り、米国の主導権を維持することに本気で取り組んでいなかったことを明らかにしました。私は法案を成立させるため、上院民主党議員らと誠実に協議を続けてきましたが、彼らはその一方で、駆け引きに終始していました。
この1年以上、民主党側はさまざまな要求を突きつけてきました。こちらがその要求に応じるたびに、今度は新たな条件を持ち出し、合意に向けた条件を次々と変えてきたのです。
そして今日、彼らは政治家自身による仮想通貨への投資を実質的に制限する措置に反対票を投じました。また、この法案が成立すれば排除できたはずの詐欺師や不正業者から、米国の消費者を守ることにも反対しました。さらに、米国がこの分野で主導権を握ることにも背を向け、中国やその他の海外の競争相手が望んでいた状況をそのまま与える結果となりました。
この否決により、デジタル資産をめぐるSEC(米証券取引委員会)とCFTC(米商品先物取引委員会)の権限区分を包括的に定める法整備は足踏みし、仮想通貨事業者や投資家を取り巻く規制上の不確実性が残ることになりました。
「不成立なら民主党の責任」
最終案に126項目反映も与野党合意ならず
倫理条項と開発者保護の最終案
採決前日の9月14日には、ルミス議員がブーズマン上院農業委員長、スコット上院銀行委員長とともに、民主党側の要求を受けた126項目の変更を反映した全635ページの最終テキストを公表していました。
最終案の倫理条項はティリス議員とガジェゴ議員による提案をほぼ全面的に採用し、連邦公職者やその配偶者による仮想通貨事業への関与を制限する内容となっています。
また最終案には財務長官にステーブルコインに伴う預金流出への対策権限を与える規定や、ブロックチェーン開発者を送金業者の登録義務から保護する条項も盛り込まれました。
ルミス議員は最終案の公表にあたり、「民主党は求めたものを手に入れた」と述べ、長期交渉を通じて要求を大幅に取り込んだとの認識を示しました。
ウォーレン氏「大統領が利益を得続ける」
これに対し、上院銀行委員会のエリザベス・ウォーレン筆頭理事(民主党)は採決前、最終案でもトランプ大統領が仮想通貨事業から利益を得続ける余地が残るとして、共和党側の倫理条項に反発しました。
ウォーレン議員は上院本会議での演説で、大統領本人に対する執行判断が連邦司法長官に委ねられる一方、州司法長官は大統領に直接執行措置を取れないとして、規定の実効性に疑問を呈しています。
同議員はさらに、保有資産をブラインド・トラストに移管しても本人が資産内容を把握できる余地があるとして、利益相反を防ぐ仕組みとして不十分だと主張しました。
最終案の修正後も双方の隔たりは埋まらず、倫理条項の執行方法や利益相反を防ぐ仕組みへの評価が分かれたまま採決を迎えました。
共和党から4人造反、党内にも亀裂
民主党との倫理条項をめぐる対立に加え、共和党内から反対票が出たこともクローチャー成立を阻んだ要因となりました。
上院の公式記録によると、共和党ではコリンズ、ホーリー、モラン、ティリスの4議員が反対票を投じています。
ステーブルコインの利回りや報酬をめぐっては、コミュニティバンクからの預金流出を懸念する声が共和党内や銀行業界から上がっており、最終案には財務長官が預金流出に対処するための規定も追加されました。
一方、ティリス議員は法案そのものへの反対ではなく、否決後に再審議を求める動議を提出するための手続き上の理由から反対票を投じたことが上院記録に明記されています。
民主党のクリス・クーンズ議員(デラウェア州)が投票を見送ったことも重なり、民主党会派から賛成票を得られないまま共和党の反対も加わった結果、賛成は49票にとどまりました。
「SCで預金流出なら権限行使」
再審議の道残るも中間選挙前の日程は限られる
再審議の道は残されているものの、クローチャー成立には60票が必要となるため、共和党側には民主党議員からの支持を上積みするとともに、ステーブルコインなどをめぐる党内の懸念を抑えることが求められます。
ただし上院は10月上旬から中間選挙に向けた休会に入る見通しで、選挙前に本会議で法案を再び扱える時間は限られています。
こうしたなか、SECは2026年8月18日、一定の暗号資産関連投資契約に証券登録の適用除外などを設ける「Regulation Crypto Assets」を提案し、議会での法整備と並行して既存の権限に基づく規則づくりを進めています。
クラリティ法案の再審議が実現するかはなお不透明なものの、米国では議会による市場構造法制と規制当局によるルール形成の双方で、デジタル資産をめぐる制度整備が続く見通しです。
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Source:ルミス議員X投稿 / 上院デイリープレス
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