この記事の要点
- ブロックチェーン協会が仮想通貨「税制10原則」を米議会に提出
- 税制改革法案は9月に下院委員会を38対5で通過
仮想通貨税制の抜本改革へ、業界が米議会に要請
米仮想通貨業界団体「Blockchain Association(ブロックチェーン協会)」は2026年10月22日、デジタル資産税制の改革を求める書簡を米議会指導部に送付しました。
書簡では、少額取引の免税やステーキング報酬の課税時期、税務報告義務の見直しなどを盛り込んだ「税制10原則」を提示し、超党派による法整備を要請しています。
同協会は、米国で6,700万人がデジタル資産を保有・利用している一方、既存の税制が納税者に不明確で過大なコンプライアンス負担を強いていると指摘しました。
米下院歳入委員会では9月16日、デジタル資産税制の改革法案「Digital Asset Tax Certainty Act(H.R.10357)」が38対5で可決されており、税制改革に向けた立法作業が進行しています。
税制改革をめぐる議論が進むなか、同協会は既存の税制が米国内の技術革新や雇用の海外流出につながるおそれを指摘し、デジタル資産の実態に即した課税制度の確立を訴えています。
暗号資産・SCの税制部会を新設
少額免税やステーキング課税見直しなど10原則
日常取引の免税と資産移動の非課税を要求
ブロックチェーン協会が10月22日に議会へ送付した書簡には、100社を超える会員企業の意見を踏まえて策定し、2026年2月24日に公表した「デジタル資産税制原則」が盛り込まれています。
同協会が最初に求めたのは、日常的な少額取引に伴う税負担の軽減で、一定額以下の仮想通貨(暗号資産)取引を課税対象から外すデミニマス免税の導入と、ステーブルコインを税務上現金に準じて扱う措置を提案しました。
課税対象となる取引の範囲に加え、課税時期の見直しも提案しており、マイニングやステーキングの報酬を自己創出資産と位置付け、受領時ではなく売却・交換などの処分時に課税する考えを示しています。
資産を受け取った時点と処分した時点を区別する方針に関連して、自身のウォレット間の送金やスマートコントラクトとのやり取り、異なるブロックチェーン間の移動についても、経済的な所有権とリスク負担が変わらない限り非課税とするよう求めました。
報告義務をカストディ型に限定、濫用防止策も提示
取引そのものへの課税に加え、ブロックチェーン協会は税務報告義務の見直しも求めており、ステーブルコインをフォーム1099-DAの報告対象から除外する措置を提案しています。
同協会は、報告対象を経済的に重要な取引へ絞り込むことで、納税者の事務負担を軽減するとともに、IRS(内国歳入庁)が重要な取引の把握に集中できるようにする考えを示しました。
報告義務を負う事業者についても、顧客資産の保管・管理権を持つ仲介者に限定し、非カストディ型の開発者やインフラ参加者を除外することで、税務執行と利用者のプライバシー保護を両立させるよう求めています。
こうした報告義務の軽減に対し、課税上の濫用防止では規制の拡大を支持しており、損失計上を目的とした売却と短期間での買い戻しを制限する「ウォッシュセール規則」を、日常的な取引や従来の金融資産との公平性を損なわない範囲でデジタル資産にも適用するよう提案しました。
退職口座での保有や税制優遇措置の整備を要請
取引や税務報告に関する改革に加え、同協会はデジタル資産への投資機会を広げるため、米国民が退職口座でデジタル資産を保有できるよう求めています。
ステーキングについては、信託やパートナーシップ、規制対象の投資ビークルにとって禁止される事業活動に該当しないことを明確化し、その報酬を認められた投資収入として扱うよう提案しました。
投資資産の保有・運用に伴う税務上の取り扱いについても、市場価格を容易に把握できるデジタル資産への時価評価による会計処理の選択制を提案し、慈善寄付の際には定期的に取引される資産の第三者鑑定を不要とするよう求めています。
こうした国内の投資・資産管理に関する改革に加え、米国市場の競争力を維持するため、外国人投資家向けの法的セーフハーバーの設置や、ブロックチェーン開発を研究開発(R&D)税額控除の対象として明確に認める措置も要請しました。
| 原則 | 概要 |
|---|---|
| 実務性と管理可能性 | 少額取引のデミニマス免税、ステーブルコインの現金に準じた税務上の扱い |
| 機能的一貫性 | マイニング・ステーキング報酬の処分時課税、居住地に基づく所得源泉判定 |
| プライバシーと安全性 | 報告義務を顧客資産の保管・管理権を持つ仲介者に限定 |
| グローバル競争力 | 外国人投資家向けセーフハーバーの設置 |
| 濫用防止 | ウォッシュセール規則のデジタル資産への拡大 |
| 経済的所有権 | 所有権や経済的リスクが変わらない資産移動の非課税 |
| 平等なアクセス | 退職口座でのデジタル資産保有、ステーキング収入の取り扱い明確化 |
| 市場連動型会計処理 | 時価評価による税務上の会計処理の選択制導入 |
| 実用性 | 慈善寄付時の第三者鑑定要件の緩和 |
| イノベーション推進 | ブロックチェーン開発をR&D税額控除の対象に明確化 |
仮想通貨税法案が前進
クラリティ法案は否決も税制改革法案は前進
米国では仮想通貨の法整備をめぐる議論が続いており、市場構造を定めるCLARITY法案(クラリティ法案)は9月15日、上院での審議入りに向けたクローチャー動議が49対50で否決され、必要な60票に届かず審議入りが阻まれました。
市場構造法案の審議が停滞する一方、税制改革を対象とするH.R.10357は翌16日に下院歳入委員会を通過しており、同委員会は公式発表で、納税者の報告負担軽減や従来の金融資産との税務上の公平性を確保する方針を示しています。
ただし、H.R.10357は下院本会議での採決に至っておらず、委員会での可決から法律の成立までには、さらに議会での審議が残されています。
ブロックチェーン協会は書簡の末尾で、議員や議会スタッフとの協力に応じる姿勢を表明しており、提示した税制原則を今後の立法に反映するよう働きかけを続けています。
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Source:Blockchain Association書簡
サムネイル:AIによる生成画像





























