Instagramなどへの「Libra活用」も計画|Facebook CEOが語る今後の展望
Facebook(フェイスブック)のCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は2019年7月25日、同社が2019年第2四半期決算の発表を行なったことに伴い、仮想通貨「Libra(リブラ)」などを含めた同社の関連事業について説明する文章をFacebook上に投稿しました。
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罰金5,400億円でFTCと和解|プライバシー保護に注力
マーク・ザッカーバーグ氏は初めに、同社が「ユーザーの個人情報流出」や「数年前に起きたデータ漏えい」に関する問題で連邦取引委員会(FTC)と和解し、50億ドル(約5,400億円)の罰金を支払うことに同意したことを報告しており、"特に重要な点"として同社が「サービスの構築方法」や「会社の運営方法」に大きな変更を加えたということを説明しています。
FTCはFacebookに対して「取締役会内に"独立したプライバシー委員会"を設立して、ザッカーバーグ氏が握っていたプライバシーに関する決定権の一部を移すこと」によって、プライバシー管理の監査プロセスを強化することを求めています。
ザッカーバーグ氏は今回の投稿の中で「プライバシーは私たちが提供するサービスにとって非常に重要である」と語っており、時間はかかるものの、プライバシー保護のための対策をすべてのシステムに組み込んでいく予定だと説明しています。
Instagram・Facebookへの「Libra統合」も計画
商取引や決済が自分自身が特に興奮している分野であると語っているザッカーバーグ氏は、「"決済"の分野がFecebookにとって長期的に最も重要な分野になるかもしれない」と語っており、仮想通貨「Libra」を自社サービスでも活用していく意思を表明しています。
具体的には、現在はメッセンジャーアプリである「WhatsApp(ワッツアップ)」を用いた決済サービスのテストをインドで行なっており、今後はその他の国でも展開していく予定であると説明しています。またこの他にもInstagram(インスタグラム)やFacebookなどで"同じ支払い用アカウント"を使用して、誰でも簡単にお金を送金することができるようにすることも計画していると語っています。
将来的には「WhatsApp」で友人や企業にお金を送ったり、「Instagram」で買い物したり、「Facebook」で取引を行ったりする際に、同じ支払い用アカウントを使用できるようになります。
写真を送るのと同じくらい簡単にお金を送ることができるようにすることによって、新しいビジネスチャンスを切り開くことができるでしょう。
Libra協会は「独立した団体」だと強調
ザッカーバーグ氏は今回の投稿の中で、仮想通貨リブラの主体となっている「Libra協会」は"Facebookやその他の参加企業とは独立した団体である"ということを改めて強調しています。
Libra協会の参加企業リストにはFacebookだけでなく、
・VISA(ビザ)
・MasterCard(マスターカード)
・Coinbase(コインベース)
・PayPal(ペイパル)
・Spotify(スポティファイ)
・Uber(ウーバー)
・eBay(イーベイ)
などといった大手企業を含む27団体の名前が記されていますが、協会自体はFacebookやその他の企業と独立しているため、Facebookも自社のサービスを通じて「仮想通貨Libra」をサポートしていく予定だと説明されています。
なお、VISAのCEOであるAlfred Kelly(アルフレッド・ケリー)氏は、23日に行われた決算電話会見の中で「Libraへの参画が正式に決定している企業は1社もない」と語っており、正式に参加するかどうかは「Libraが規制面の課題をクリアすることができるかどうかにかかっている」と説明しています。
規制当局とも協力「全ての懸念」に対処
最終的に仮想通貨Libra(リブラ)が"今後どうなっていくのか"は「規制上の問題点」や「現在挙げられている懸念点」を解決していくことができるかにかかっていると考えられますが、ザッカーバーグ氏は「Facebook」や「Libra協会」は、Libraを正式に公開する前に"すべての懸念"に対処するために規制当局と協力するとも説明しています。
この件に関してはFacebookのブロックチェーン研究チームを率いているDavid Marcus(デビッド・マーカス)氏も、先日開かれた公聴会の中で『規制面での懸念をクリアしない限り、Libraは提供しない』と語っています。
ホワイトペーパーが公開された時点では「Libraは2020年前半までには正式に立ち上げられる予定」だとされていましたが、世界各国の規制当局はここ最近で"Libraの規制"に関する取り組みを開始しているため、実際に国際的な規制が決定してそれにLibra側が対処するまでにはもう少し時間がかかる可能性があります。
米国では"大手企業の仮想通貨発行を禁止する提案"がなされたことも報告されていますが、ザッカーバーグ氏は長期的な視野で決済関連のサービス提供に向けた取り組みを行なっていく意思を語っているため、最終的には規制に準拠した上で「Libra」が発行されることになると予想されます。