都心不動産のWeb3トークン化計画
不動産総合サービスを手がけるGATES株式会社(東京・新宿)は2025年7月11日、都心の不動産約110億円分をブロックチェーン上でトークン化し、RWA(現実資産)分野への本格的な参入を発表しました。
この取り組みは、同社がブロックチェーンプロジェクト「オアシス(Oasys/OAS)」と締結した戦略的パートナーシップの一環として進められます。
公式発表によると、RWAトークンの活用により海外投資家が日本の不動産へ円滑にアクセスできる環境を整え、グローバルな資産流動性を高めることを目的としていると説明されています。
一方で、オアシスもゲーム特化型チェーンからRWA分野へと事業領域を拡大しており、今回の提携は国内不動産のトークン化によって新たな投資機会を創出するための重要な一歩とされています。
「RWA(現実資産)のトークン化」とは?
GATESとOasysが仕掛ける不動産トークン化
GATESとOasys、RWA展開を支える強み
GATESは2012年創業以来、不動産の取得・運用・売却まで一貫したサービスを提供して成長してきた企業で、2024年の年間売上高は220億円に達しています。
同社は現在、米ナスダック上場に向けた準備を進めており、Form-F1を提出してロードショーも実施中です。
提携先のオアシスは、2022年にメインネットを立ち上げた日本発のレイヤー1ブロックチェーンであり、セガやスクウェア・エニックスをはじめとする国内外の大手企業がバリデーターとして参画しています。
当初はゲーム領域を中心に展開していましたが、近年はRWA分野にも事業領域を広げており、特に日本の不動産を含む「日本資産」のトークン化において優位性を持つと説明しています。
約110億円の都心不動産をトークン化
初期段階として、日本国内の不動産市場規模の約1%に相当する約30兆円分の資産トークン化を目指し、世界中の投資家が日本の不動産へシームレスに投資できる仕組みの構築を進めるとしています。
都心部を中心とした収益不動産において、すでに110億円相当のトークン化対象資産の組成準備が完了しており、早期のサービス開始に向けた運用体制も整えられています。
ロードマップの第一フェーズでは、総額5兆円規模のRWAトークンを発行し、資産の流動化を図る計画が示されています。第二フェーズ以降は、米国やフィリピン、欧州などの海外市場にも対象資産を広げていく方針です。
将来的には不動産に加え、日本のゲーム、アニメ、マンガなどの無形資産(IP)も取り入れ、複数のアセットクラスを統合した投資ポートフォリオの構築を目指す方針が示されています。
規制対応とグローバル展開の計画
GATESの関野雄志CEOは公式発表で「日本発のオアシス社と提携し、日本の不動産をRWAとして世界に届ける新たな挑戦に共に取り組めることを大変光栄に思います」と述べています。
また同氏は、国内で必要な不動産関連免許は取得済みであり、本プロジェクトは海外に設立したSPV(特別目的事業体)を通じて実施する計画であることも明らかにしています。
オアシス代表の松原亮氏も「日本資産をRWAとして提供する取り組みは、日本にルーツを持つOasysの強みを活かせる分野だと考えています」と述べ、柔軟な利回りを提供しつつ日本ならではの本源的価値を有するユーティリティモデルの構築を模索する考えを示しました。
今回の不動産トークンの流通開始に伴い、オアシスのエコシステムには新たな投資家層の参加が見込まれており、OASトークンの流動性向上にもつながると期待されています。
DeFiとRWAが市場効率を向上
日本におけるRWAトークン化の最新動向
日本国内においても、RWA(現実資産)のトークン化をめぐる官民の取り組みが本格化しています。
暗号資産協会がRWA活用ガイドラインを発表
2025年3月には日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が、RWAトークンの利活用促進に向けた業界ガイドラインを発表しました。
同ガイドラインは、経済産業省が主導するブロックチェーン実証事業の一環として策定され、トークンの移転に伴う課題や権利関係の整理、中長期的な検討テーマが示されています。
特に、金融規制の対象外となる暗号資産型およびNFT型のRWAトークンを主な対象とし、発行プラットフォーム向けの利用規約モデルも併せて公開されています。
大手金融がRWA市場に参入
大手金融機関も、実物資産のデジタル証券化事業への本格的な参入を開始しています。
三井物産デジタル・アセットマネジメントは、三菱UFJ信託銀行や野村證券と連携し、不動産を裏付けとするセキュリティトークンの公募発行を行いました。
また、ソニー銀行も三井住友信託銀行との協業でグリーンボンド(環境債)をデジタル化し、小口投資向けに提供する取り組みを進めています。
金融庁、RWAトークンの登録要件見直しへ
金融当局も制度整備を進めており、金融庁は2025年を目処に、デジタル証券やRWAトークンに関連する法改正案の策定を検討しています。
投資家保護強化のための開示義務や、取引所の登録要件明確化などが議題に挙がっており、行政機関や金融業界を中心に、日本国内でのRWA市場拡大に向けた制度整備が加速しています。
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Source:GATES公式発表
サムネイル:AIによる生成画像



























