日本暗号資産ビジネス協会「RWAトークンの活用促進」に向けたガイドラインを発表

by BITTIMES

JCBAが示すトークン化の新指針

一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は2025年3月13日に、RWA(現実資産)トークンの利活用に関するガイドラインを発表しました​。

このガイドラインは、経済産業省が主導する「Web3ブロックチェーンを活用したデジタル公共財等構築実証事業」の一環として策定されました。

ガイドラインは全4章で構成され、第1章で概要と事例紹介、第2章でトークン移転と現実資産移転に関する論点整理、第3章でトークンの権利義務関係の整理、第4章で中長期的課題が整理されています。

また、別添資料としてトークンおよびプラットフォーム用の利用規約ひな型も公開されています。

>> RWA(現実資産等)トークンの利活用に関するガイドライン
>> RWAトークンの利活用に関するガイドライン(補足説明資料)

注目を集めるRWAトークン

RWAトークンとは何か?

RWAとは「Real World Asset」の略で、現実世界の資産や権利をトークン化し、ブロックチェーン上で取引できるようにしたものを指します。一般的に、有形・無形を問わず、資産に関する権利を表すトークンが「RWAトークン」と呼ばれています。

具体例として以下のようなRWAトークンが存在します​。

  • 実物のコレクターズアイテムや酒類、貴金属(金など)を後で受け取れる権利をNFT化したもの
  • ホテルの宿泊券やスキー場・レストランの利用権をトークン化したもの
  • 不動産など収益を生む資産の持分をトークン化して配当を受けられるもの(セキュリティトークン)
  • 著作権など知的財産権をトークン化したもの

これらは形態によって金融商品取引法や資金決済法上の電子記録移転権利・電子決済手段(ステーブルコイン)・暗号資産・NFT(非代替性トークン)などに区分され、適用される規制も異なります​。

JCBAが今回発表した本ガイドラインでは、特に金融規制が直接適用されない「暗号資産型」や「NFT型」のRWAトークンを主な対象として論点整理がなされています。

RWAトークンのメリット

従来の資産をデジタル化したRWAトークンには、次のようなメリットがあります:

  • 移転・流通が容易になる(国境を超えた取引もスムーズ)
  • 分割(小口化)が容易になる(高価な資産を小さな単位に分けて保有可能)
  • 流通経路の追跡が容易になる(資産の由来や所有履歴を透明化)

こうした特徴により、現実資産とブロックチェーンを組み合わせることで、従来は困難だった形態での資産保有や取引が可能となり、新しい市場やビジネスモデルの創出が期待されています。

RWAトークンの法的課題

JCBAプレスリリースの画像JCBA補足説明資料

一方で、RWAトークンには法制度上の課題も存在します。例えば、トークン移転で現実資産の権利移転が法律上確実に担保されていなケースがあることや、トークンに紐づく権利関係・会計処理が不透明である点などです。

本ガイドラインでは、ブロックチェーン上のトークン移転を、紐づく現実資産等の移転とみなすための条件整理や、各種RWAトークンの権利・債務関係を実務上整理し、会計監査を円滑にするための利用規約ひな型の作成といった具体的な指針が示されています。

RWAトークンの活用事例

Sake World NFT:日本酒をデジタル資産に

Sake World NFTは、日本酒のボトルと交換できるNFT「酒チケット」を売買できるマーケットプレイスです。ユーザーはNFTを購入することで、実際の日本酒を後日受け取る権利を得られます。

購入した酒は提携の蔵元で熟成・保管され、NFTを通じて個人間で転売することも可能です。この仕組みにより、日本酒を愛飲するユーザーだけでなく、希少酒を資産として保有・取引したいユーザーにも新たな価値を提供しています。

NOT A HOTEL:別荘の所有権をシェアする

NOT A HOTELは「世界中にあなたの家を」をコンセプトに掲げ、別荘の宿泊利用権をNFTとして販売するサービスです。NFT会員券「NOT A HOTEL MEMBERSHIP NFT」を購入すると、提携する高級別荘に年間一定日数宿泊する権利が得られます。

従来は数千万円単位の資金が必要だった別荘のオーナー権を、小口化したNFTによってより多くの人が手にすることを可能にしています。高額な不動産の共同所有を実現するモデルとして注目されています。

デジタル資産時代の到来

日本でも近年、現実資産のトークン化が徐々に広がりを見せています。ウイスキー樽、美術品、不動産、小売商品など、さまざまな分野でRWAトークンのプロジェクトが立ち上がり、現実世界の資産をデジタル化して流通させる取り組みが注目されています。

一方、RWAトークンの普及が進むにつれ、法的枠組みの整備や市場の成熟が求められています。これを受け、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は、RWAトークンの利活用に関するガイドラインを策定し、制度的課題の解決を目指しています。

これらの取り組みにより、RWAトークンの活用が促進され、新たなビジネス機会の創出や市場の活性化が期待されています。

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Souce:JCBA公式発表
執筆・翻訳:BITTIMES 編集部
サムネイル:AIによる生成画像

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