ピーター・ティール氏、イーサリアム財務企業BitMine社に出資|ETH市場の追い風に

ピーター・ティール氏、イーサリアム財務企業Camp Networkに出資|ETH市場の追い風に(Peter Thiel invests in Ethereum financial firm Camp Network, boosting ETH market sentiment)
目次

ティール氏、ETH財務戦略企業に資本投入

米国の著名投資家でPayPal共同創業者でもあるピーター・ティール氏が、イーサリアム(ETH)財務戦略を採用するBitMine Immersion Technologies(ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ)社に出資したことが明らかになりました。

SEC(米国証券取引委員会)に提出された報告書によれば、ティール氏は同社の発行済株式の9.1%に相当する約509万4,000株を取得しており、現時点で同社の筆頭株主となっています。

この開示を受けてビットマイン社の株価は一時15%以上上昇し、市場ではティール氏の出資が企業評価の押し上げ要因として注目されました。

また、イーサリアム市場全体でも強気の動きが広がっており、イーサリアム価格は機関投資家の参入を背景に過去3カ月間で約2倍に上昇するなど、上昇基調が鮮明となっています。

イーサリアムのチャート画像ETH/USDのチャート画像(画像:TradingView)

こうした動きから、一部の市場アナリストは、イーサリアムが過去最高値(ATH)に向けて大きく上昇する可能性があるとの見解を示しています。

ティール氏が注目するビットマイン社のイーサリアム財務戦略

ティール氏の仮想通貨への一貫した姿勢

ピーター・ティール氏はかねてより仮想通貨分野に積極的な姿勢を示しており、ビットコイン(BTC)を「素晴らしい通貨だ」と公言するなど高く評価してきました。また自身が設立したベンチャーキャピタル「Founders Fund」を通じて、ビットコインの初期段階から投資を行ってきた経歴もあります。

イーサリアムにおいても、2014年に共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏へ10万ドルの資金援助を行い、大学を中退してプロジェクトに専念する後押しをしたことでも知られています。

ビットマイン社は、もともとビットコインマイニングや、その設備のホスティング事業を展開していた企業です。2023年末には方針を転換し、イーサリアムを財務準備資産として大量に保有する戦略へと移行しました。

Founders Fundなど著名投資家が集結

2025年6月末、同社は約2億5,000万ドル(約370億円)の資金を新たに確保し、その資金を用いてイーサリアムを追加取得する方針を明らかにしました。

このプライベートプレースメント増資には、ティール氏のFounders Fundのほか、Pantera Capital(パンテラ・キャピタル)、Galaxy Digital(ギャラクシー・デジタル)、大手仮想通貨取引所Kraken(クラーケン)などの有力投資家が参加しました。

また、Fundstrat社の著名アナリストであるトム・リー氏がビットマイン社の取締役会長に就任したことも明らかになっています。

ティール氏ら出資グループは増資引受によって1株あたり4.50ドルで合計509万4,000株を引き受けており、これにより持株比率は約9.1%となりました。

SECに提出された書類によると、この9.1%という比率により、ティール氏が同社の筆頭株主とされています。

民間最大規模のイーサリアム保有企業が誕生

ビットマイン社は増資で取得したイーサリアムを企業財務資産として長期保有する方針を打ち出しており、ビットコインを大量保有した米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)社の戦略を、イーサリアムで再現することを目指しているとされています。

同社は6月の資金調達直後、時価約5億ドル(約790億円)に相当する16万3,142 ETHをバランスシートに計上したと発表しました。加えて、154 BTCも保有しており、イーサリアムの保有量では民間企業として世界最大級の規模に達しました。

トム・リー氏は米CNBCの番組で「米国でステーブルコイン規制が進めばJPモルガンやゴールドマン・サックスといった大手金融機関がETHを大量保有・ステーキングする可能性が高い。我々はそれに先行してイーサリアムを蓄積し、ネットワーク支配力を高めたい」と戦略の背景を語っています。

現在、ステーブルコインの市場は約2,500億ドル(約37兆円)とされており、米財務省関係者は今後数年で2兆ドル(約297兆円)規模へ拡大する可能性があると予測しています。

これに伴い、基盤インフラを担うイーサリアムには大きな恩恵がもたらされるとの見方も示されています。

ティール氏出資表明後の株価急騰と市場の期待

ティール氏による出資も、こうした将来性を見据えた「イーサリアムへの本格的な機関投資の幕開け」を先取りする動きとして、市場から好意的に受け止められています。

実際、ビットマイン社の株価はイーサリアム財務戦略の発表後、わずか1週間で3,000%超の急騰を記録した期間も確認されました。

その後、株価は乱高下を繰り返しているものの、依然として年初来で1,600%を超える高水準を維持しており、投機的な過熱感と将来への期待が入り混じる状況が続いています。

トム・リー氏は「流通株が極端に少ないことで短期的な株価急騰が生じるリスクには注意が必要だ」と指摘する一方で、「企業によるイーサリアム大量保有の流れは、市場基盤の強化につながる可能性もある」との見解を示しています。

イーサリアム市場に広がる機関投資家の動き

今回のティール氏の出資表明に象徴されるように、イーサリアム市場には機関投資家の動きが活発化しています。

直近ではイーサリアム価格が急騰し、7月中旬には1 ETHあたり3,500ドル(約52万円)前後まで上昇しており、約5カ月半ぶりの高値水準となりました。

米国市場でイーサリアムへの資金流入が加速したことにより、ETH価格は24時間で約9%、過去1週間で約23%上昇し、同期間のビットコインの約9.6%上昇を大きく上回るパフォーマンスを示しています。

上場企業が進めるイーサリアム財務戦略

こうした動きの中、ビットマイン社のようにイーサリアムを財務資産として保有する企業が増加しています。

7月15日、SharpLink Gaming(シャープリンク・ゲーミング)社が約2億2,500万ドル(約330億円)相当のETHを取得し、業界でも最大級の準備高を確保したことを発表しました。

また米国では、Bit Digital社やBTCS社など複数の上場企業が企業資産にイーサリアムを組み入れる戦略を採用し始めており、こうした動きは「仮想通貨版の企業財務戦略」として注目を集めています。

イーサリアム現物ETF上場後の市場変化

規制面でも前向きな動きが進んでおり、SECは2024年7月にイーサリアム現物ETFの初承認を行いました。これを受けて、同月23日には21Shares、フィデリティ、ブラックロック系ファンドなどが運用する5本のイーサリアムETFが米市場に上場しています。

これらのETFが取引を開始した後、機関投資家からイーサリアム市場への資金流入が継続的に確認されています。実際、米ミシガン州の公的年金基金が数百万ドル規模のイーサリアム現物ETFを取得した事例も報告されています。

著名な仮想通貨アナリストであるAsh Crypto氏は「2025年末までにETH価格が1万ドル(約148万円)に到達する可能性がある」との見解を示しており、イーサリアムの中長期的な成長性に対する期待が高まっています。

こうした状況を踏まえ、市場では「イーサリアムがビットコインに次ぐ“デジタルオイル”として機関投資ポートフォリオに組み込まれる時代が到来しつつある」との声も上がっており、今後の価格推移と市場での普及拡大に注目が集まっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.32 円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:SEC提出書類
サムネイル:AIによる生成画像

  • URLをコピーしました!

Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

仮想通貨ニュース|新着

仮想通貨入門 - 基礎知識

市場分析・価格予想

目次