米Bit Origin、5億ドルでドージコイン(DOGE)を取得へ
ナスダック上場企業Bit Origin(ビットオリジン)は2025年7月17日、約5億ドル(約740億円)の資金を調達し、仮想通貨ドージコイン(Dogecoin/DOGE)を自社財務の中核資産に据える計画を発表しました。
この取り組みにより、Bit Origin社は主要な米国上場企業として初めて、ドージコインを財務資産の中核に据える方針を示しました。さらに同社は、認定投資家と合意のうえ、最大4億ドルのクラスA普通株式および1億ドルの転換社債を発行し、資金調達を進める契約を締結しています。
同社はすでに転換社債による初回分1,500万ドルの調達を完了しており、その資金の大部分をドージコインの初回購入に充てる方針であることも明らかにされました。
Bit Origin社はこの戦略を通じて、世界有数の上場企業ドージコイン保有者となることを目指しており、1株当たりの保有ドージコイン量(Doge-per-share)を増加させることで株主価値の長期的向上を図るとしています。
ドージコイン、恒久的な資産へと成長
ドージコインを中核に据えるBit Originの財務方針
CEOが語るDOGEの流動性と将来性
Bit Origin社はこれまで、米国を拠点に仮想通貨マイニング事業を展開してきました。今回の発表では「マイニングインフラの提供から一歩進み、仮想通貨の価値と実用性に直接関与していく」との意向を示しています。
同社CEO兼会長のジンハイ・ジアン(Jinghai Jiang)氏は、ドージコインについて「ジョークとして始まったが、現在では世界的に流動性があり、決済手段としても活用される資産へと進化した」との見解を示しています。
さらに同氏は、ドージコインの決済速度やコミュニティ規模が他の仮想通貨と比較して遜色がなく、ピアツーピア決済やオンライン商取引での採用も着実に広がっていると強調しました。
イーロン・マスク氏の構想に適合するDOGE戦略
ジアン氏は「ドージコインの性能やコミュニティは、イーロン・マスク氏が構想するグローバルスーパーアプリ『X』の決済基盤『X Money』に自然に適合する可能性がある」との見解を示しました。
ドージコイン支持者として知られる米テスラCEOのイーロン・マスク氏は、過去に同コインを「人民の仮想通貨(people’s crypto)」と称し、テスラ製品の決済手段にDOGEを採用する方針を示しました。
Bit Origin社は、マスク氏のビジョンを踏まえた形で、ドージコインの将来性に期待を寄せているとみられています。
ドージコインを活用したサービス展開も視野
Bit Origin社は、今回のドージコイン積立戦略について「手数料の安さや加盟店での受け入れが拡大している点は、ドージコインが持つ草の根的な強さと実用性への確信の表れである」と説明しました。
同社は、マイニング事業で構築したインフラ基盤を活用し、ドージコインのエコシステム内でマイナー向けサービスや決済アプリケーションの展開による収益化も視野に入れているとしています。
この発表を受け、市場ではドージコインの価格が一時的に前日比で約3〜4%上昇しました。また、Bit Originの株価も当日に25%を超える上昇を記録したことが報告されています。
これは、同社がドージコインを企業財務の柱に据えた戦略に対して、投資家や仮想通貨コミュニティが即座に関心を示した結果とみられています。
DOGEがソラナチェーン上で利用可能に
財務戦略でドージコインを採用する企業が増加
Bit Originのドージコイン財務戦略への本格的な参入は、ビットコイン以外の仮想通貨を企業の準備資産に組み込む動きの一例でもあります。
米Thumzup社がDOGE含む6銘柄を新規採用
7月9日には、米ナスダック上場のSNS広告企業Thumzup Media Group(サムザップ)が、ビットコイン以外の主要6銘柄を新たに財務戦略に組み入れる方針を発表しました。
これまで同社は、流動資産の最大90%をビットコイン(BTC)で保有してきましたが、新たな方針では、ドージコイン(DOGE)、ソラナ(SOL)、エックスアールピー(XRP)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)、USDコイン(USDC)の6銘柄を追加する予定としています。
仮想通貨ポートフォリオの多様化を通じて財務基盤の強化を図ることが目的であり、仮想通貨の活用が企業戦略の中でより広範囲に検討され始めていることを示しています。
カナダ企業NeptuneがDOGE100万枚を財務に追加
2月には、カナダのブロックチェーン企業Neptune Digital Assets(ネプチューン・デジタル・アセット)も、ドージコインを準備資産に加える方針を明らかにしました。
同社は、2月4日付の公式発表において、仮想通貨準備金戦略の一環としてドージコイン100万枚を取得したことを明らかにしています。
Neptune社はこれまでビットコインを中心に準備資産を運用してきましたが、この100万DOGE(当時約37万ドル相当)の取得により、ビットコイン以外の仮想通貨を活用する準備資産戦略の方向性を明確にしました。
同社CEOのケール・ムーディ氏は「引き続き慎重にリスクと債務水準を管理しながら資産取得を進めていく」と述べており、分散化戦略の一環としてドージコインを明確に位置付けています。
ドージコインの実用性と企業活用の未来
2025年に入り、企業財務における仮想通貨の多様化が加速する中、Bit Originによるドージコイン重視の戦略や、Thumzup・Neptuneによる事例は、ビットコイン一極集中から主要アルトコインを含む分散型財務戦略への移行を示しています。
ドージコインは、インターネット・ミームを起源としたユーモア性を持つ仮想通貨として親しまれてきましたが、ユーザーコミュニティの熱量や手数料の低さから、実用的な決済通貨として注目を集めています。
企業がドージコインを財務の中核に据える動きはまだ初期段階にありますが、マスク氏のX(旧Twitter)での活用など、具体的なユースケースが広がれば、企業財務戦略におけるドージコインの存在感は一層強まると見られています。
各社の取り組みは、市場動向や規制環境の影響を受ける可能性がある一方で、仮想通貨を活用した企業財務戦略は、ビットコインにとどまらず多様な銘柄へと拡大しています。その動向には、業界全体から高い関心が寄せられています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=148.48 円)
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Source:Bit Origin公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用






























