米FDIC、ステーブルコイン規制「GENIUS法実装」の規則案を承認

米FDIC、ステーブルコイン規制「GENIUS法実装」の規則案を承認

この記事の要点

  • FDICが2026年4月7日、GENIUS法実装の規則案を承認
  • 銀行系ステーブルコインの基準が初めて連邦レベルで明文化
  • 準備資産・償還・資本・AML対応の詳細要件を提示
  • 60日間のパブリックコメント後に最終規則化へ
目次

米銀のドル連動デジタル資産、発行条件が明文化

FDIC(米連邦預金保険公社)は2026年4月7日、GENIUS法に基づくステーブルコイン監督枠組みの規則案を承認しました。

この規則案により、FDIC監督下の銀行子会社が発行するステーブルコインに対して、準備資産・償還・資本・流動性・サイバーセキュリティの基準が初めて連邦レベルで明文化されます。

FDICのトラビス・ヒル委員長は「規則案がGENIUS法の条項を実装し、ステーブルコインとトークン化預金に対する方針を明確化する」と説明しています。

これにより、米国の銀行が子会社を通じてドル連動デジタル資産を合法的に発行する条件が具体化し、銀行系ステーブルコインの本格運用に向けた制度整備が動き始めました。

規則案は連邦官報掲載後、60日間のパブリックコメント期間に入り、正式採択を経て最終規則として発効する見通しです。

準備資産・償還・資本、規則案が定める実務基準

1対1裏付け、適格資産は7種類に限定

FDICは規則案の中核として、発行済みステーブルコインを適格準備資産で常に100%裏付ける「1対1ルール」を打ち出しています。

適格資産として認められるのは、米ドル現金・連邦準備銀行への預け金・保険対象銀行への要求払い預金・残存93日以内の米国債・93日以内の米国債を担保とする翌日物レポ取引・適格な政府系マネー・マーケット・ファンドなどに絞り込まれました。

発行者はこれらの資産を日次でモニタリングし、自社の他の業務資産とは分別して管理する必要があると同公社は説明しています。

さらに規則案は、特定のカウンターパーティへの集中を避けるため、単一の適格金融機関への準備資産配分を40%以下に抑えるよう求めています。発行者は準備資産を即座に現金化して償還に応じる運用能力の確保も並行して問われることになります。

償還は2営業日以内、大口は即時報告義務

FDICは準備資産ルールに加え、償還の手続きについても具体的な基準を打ち出しました。発行者は明確な償還方針を公表したうえで、原則として2営業日以内にリクエストを処理することが求められます。

大口引き出しへの対応として、24時間以内に発行残高の10%を超える引き出し要求が生じたケースを「重大償還請求」と定義し、発行者にFDICへの即時報告を義務付けるとともに、償還期限延長の申請を認めると規則案は明記しています。

ただし延長の可否はFDICの裁量に委ねられており、同公社は10%・24時間という基準そのものについてもパブリックコメントで意見を募っているとしています。

500万ドル自己資本、預金保険は対象外

FDICは財務面の要件に加えて、発行者の運営体制についても具体的な義務を打ち出しました。

規則案によると、新規PPSIは設立後3年間にわたり最低500万ドル(約7億9,500万円)の自己資本を保有する必要があり、その後は監督審査に応じて追加要件が課される可能性があります。

継続的な自己資本は、銀行規制で最も質が高いとされる普通株式等Tier1(中核的自己資本)と、それに準じるその他Tier1資本で構成することが条件とされています。

これに加えて、準備資産とは別枠で12か月分の運営費用に相当する流動性バッファー(operational backstop)の積み立ても発行者に求められています。

同公社は、このバッファーが発行済みステーブルコインの裏付けである準備資産とは目的が異なり、発行者自身の事業継続を支えるための手元資金だと位置付けています。

サイバー対策と年次AML/CFT認証を義務化

FDICは財務面の要件と並行して、発行者の運営体制についても具体的な義務を打ち出しました。

サイバーセキュリティ面では、秘密鍵管理・分散型台帳の監視・インシデント対応・独立したテストの各体制整備が必要だと規則案は指摘しています。

マネーロンダリング対策(AML)および対テロ資金供与防止(CFT)プログラムについても、発行者は年次でコンプライアンス認証を提出することになります。

一方、利用者側に直結するのが預金保険の取り扱いです。FDICは今回の枠組みの下で発行されたステーブルコインについて、預金保険(上限25万ドル=約3,975万円)の対象外とする方針を示しました。

準備資産として銀行に預け入れられた資金は、個々のステーブルコイン保有者ではなく発行者の法人預金として扱われ、保有者へのパススルー保険は適用されないと同公社は明記しています。

ただし、銀行預金の法的定義を満たすトークン化預金については、技術形式にかかわらず通常の預金と同じ扱いとなり、預金保険の対象になり得ると規則案は付記しています。

FDIC・OCC・機関投資家、3方向で制度が前進

GENIUS法をめぐっては、2025年12月16日にFDICが第一弾として銀行子会社のPPSI申請手続規則を提案しており、今回の規則案は事業開始後の運営基準を定める第二弾という位置づけです。

他の主要規制当局も並行して動いており、OCC(米通貨監督庁)は2026年2月25日に同様の規則案を公表しています。FDICは今回の案を多くの点でOCC案と整合させたと説明しており、銀行系ステーブルコインの連邦規制が当局間で歩調を合わせる形で形成されつつあります。

機関投資家側からも明確な制度整備を求める動きが出ており、フィデリティが米SECに対してDeFi(分散型金融)トークン化証券の規制枠組みを求める意見書を提出するなど、銀行・規制当局・運用業界の三方からステーブルコインを取り込む環境整備が進んでいます。

今回の規則案は60日間のパブリックコメントを経て最終規則が策定される見通しで、Hill委員長は規則案の中で144の具体的論点について業界からの意見を求めています。

銀行業界・フィンテック事業者・機関投資家からの意見がどこまで内容に反映されるかが、米国における連邦ステーブルコイン監督体制の実効性を決める焦点となります。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=158.70 円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:FDIC声明
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

  • URLをコピーしました!

Written by

BITTIMES編集部のアバター BITTIMES編集部 仮想通貨ニュースメディア BITTIMES編集部

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集部です。2016年の創業以来、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域のニュースを毎日配信しています。国内外の公式発表・プレスリリース・規制当局の情報を基に、正確性・速報性・中立性を重視した報道を行っています。記事15,000本超の実績。

仮想通貨ニュース|新着

仮想通貨入門 - 基礎知識

市場分析・価格予想

目次