この記事の要点
- SBI証券が2026年4月24日、STのDVP決済検証完了を発表
- DCJPY活用で証券と資金を同時決済、国内初の実発行検証
- 決済タイミングのズレによるリスク解消の実現可能性を確認
- ST二次流通の決済基盤整備に向けた実装段階への進展
国内初、DCJPYを使ったST実発行DVP検証が完了
SBI証券は2026年4月24日、トークン化預金「DCJPY」を活用したセキュリティトークン(ST)のDVP決済で、国内初の実発行検証を完了したと発表しました。
検証には、SBI証券に加えて大和証券・SBI新生銀行・BOOSTRY・大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)・ディーカレットDCPの計6社が参加しています。
今回の検証では、「証券の受け渡し」と「資金決済」をブロックチェーン上で同時に完結させるDVP(Delivery Versus Payment)の実現可能性が確認されました。
従来のST取引では、証券の移転はブロックチェーン上で即時に処理される一方、資金側は銀行振込に依存しており、決済のタイミングのズレがリスクとして指摘されてきました。
今回の取り組みは、この構造的な課題の解消に向けた具体的な一歩として位置づけられています。
検証は2026年3月、ディーカレットDCPが発行したデジタル社債を対象に実施され、大和証券からSBI証券への売却(二次取引)と、SBI証券から大和証券への売却(三次取引)の2取引で業務フローが確認されました。
預金連動型デジタル通貨で新展開
デジタル債発行から5年、ST決済はDVP実装段階へ
銀行振込依存の時間差、DCJPYで解消へ
SBI証券によると、国内のST市場は2020年の初のデジタル債発行以降、商品の多様化と取扱金融機関の拡大が進んできました。
その一方で、証券の受け渡しはブロックチェーン上で即時に処理されるのに対し、資金決済は従来の銀行振込に依存する構造が続いています。
この時間差により、一方の決済が完了しても他方が未完了となるリスクが生じ、証券会社の事務負担の増大にもつながってきたといいます。
この課題を解消する仕組みとして位置づけられるのがDVP決済で、証券の引き渡しと代金の支払いを相互に条件付け、一方が実行されない限り他方も実行しないルールで運用されます。
今回決済手段として採用されたDCJPYは、SBI新生銀行の預金と1対1で紐づいたトークン化預金です。銀行預金と同等の価値安定性と会計処理を維持しつつ、ブロックチェーン上でプログラマブルに移転できる点が特徴とされています。
ST仮移転からDCJPY償却までの実証フロー
今回の実証では、DVP決済を実運用に近い形で検証するため、BOOSTRYが開発を主導するibet for Finと、ディーカレットDCPのDCJPYネットワークを連携させ、一連の証券・資金決済オペレーションが確認されました。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① | 売方証券会社がSTを仮移転(本移転前の準備) |
| ②③ | 決済情報をシステム間で連携し、買方がDCJPY発行を依頼 |
| ④⑤ | 買方がDCJPY移転を指図し、ディーカレットDCPが決済情報を照合 |
| ⑥⑦ | DCJPY移転と同時にST本移転が実行され、売方がDCJPYを償却 |
この結果、資金と証券の移動がシステム上で同時に完結し、どちらかが未実行のまま残るリスクを構造的に排除できることが確認されました。
また、6社は発行体・証券会社・銀行・システム提供者として役割を分担しており、実際の発行体と通貨を用いた検証としては国内初の事例と位置づけられています。
商用化へ残る自動化・UI改善・運用ルールの課題
ただし、実証の成立と同時に、商用導入に向けた課題も明らかになりました。ibet for FinとDCJPYネットワーク間のデータ連携や決済照合、指図処理のさらなる自動化に加え、UI/UXの改善が主な論点として挙げられています。
さらに、証券会社や銀行の既存システム、市場インフラとの接続に加え、会計・資金管理・権限管理を含む業務運用ルールの整備も不可欠とされています。
6社はまず、限定的な参加者によるスモールスタートを想定しており、証券会社間のDVP取引と資金清算業務の効率化を軸に、運用モデルの具体化を進める方針です。
中長期的には、参加主体の拡大や既存市場インフラとの接続、標準化に向けた環境整備も視野に入れているとしています。
マイナンバー×JPYC決済、第2弾実証へ
官民で進むデジタル通貨整備、ST決済を後押し
こうした国内の取り組みと並行して、デジタル資産の決済インフラ整備は各国でも加速しています。シンガポール金融管理局(MAS)の「プロジェクト・ガーディアン」は、債券・ファンド・外為など複数分野で実用段階に入っています。
国内でも2026年4月、金融庁がPIP第3弾としてトークン化預金・ステーブルコイン決済の実証実験を支援すると発表しており、銀行間決済に関する法的論点の整理が進められています。
自治体レベルでも、東京都が円建てステーブルコインの社会実装を後押しする補助金公募を開始しており、官民双方でデジタル通貨の実用化環境が整いつつあります。
こうした環境整備が進むなか、6社は今後、証券会社間のスモールスタート開始時期と、ODXが運営するPTS(私設取引システム)の決済への接続協議を並行して進める方針です。
スモールスタートの開始時期やPTS接続協議の進展は、ST二次流通の決済基盤が実装段階へ移行するタイミングを見極めるうえで、重要な指標として注目されています。
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Source:SBI証券発表
サムネイル:SBI証券発表より使用




























