この記事の要点
- 中国がCBDC決済網「Mbridge」の商業展開を準備、国際利用拡大へ
- SWIFT半額以下の手数料を掲げ、人民元決済圏の拡大を目指す
SWIFT半額以下、中国がMbridge展開へ
2026年6月14日、中国政府が国際決済システム「Mbridge(エムブリッジ)」の商業展開に向けた準備を進めていることが明らかになりました。
英フィナンシャル・タイムズの報道によると、中国はブロックチェーン上で各国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)を決済するMbridgeを使い、SWIFT(国際銀行間通信協会)の半額以下とされる手数料で国際展開を進める方針です。
普及先として想定されるのは、米ドルやSWIFTに依存しない送金手段を求める新興国などで、中国は人民元の国際利用拡大も視野に入れているとみられています。
Mbridgeはこれまでの実証段階で累計4,700億元(約11.1兆円)相当の決済を処理しており、BISなどとの共同開発を経て商業運用へ移行する準備が進められています。
「中国に覇権奪われる」ルミス議員が警鐘
11兆円処理のMbridge、BIS離脱後も前進
BISが運営移管、中国中心の体制へ
Mbridgeは2021年、BIS(国際決済銀行)の主導で、中国・香港・タイ・UAE(アラブ首長国連邦)の4つの中央銀行が参加して開発が始まりました。
2024年にはサウジアラビアの中央銀行も新たに加わり、システムは実用最小限の製品(MVP)と呼ばれる段階に達したとされています。
その後2024年10月にはBISがプロジェクトの運営を参加各国へ引き継ぐと発表し、開発の主導権は中国を中心とする参加国へと移りました。
実証の過程では、UAEの中央銀行が5,000万デジタルディルハム(約1,360万ドル)を中国へ送る、デジタルディルハムによる初の国際送金も実施されています。
SWIFT半額を武器に国際普及へ
中国はMbridgeを、SWIFTの半額以下という手数料で各国に提案する方針で、香港に新たに設ける専門組織が国際展開の窓口を担うと報じられています。
背景には、2015年に稼働した人民元の国際銀行間決済システム「CIPS」を通じた取引拡大があり、中国は既存の人民元決済網をデジタル通貨による国際決済へ発展させようとしているとみられています。
ドル非経由の決済拡大で通貨秩序に変化
こうした戦略についてGuosen Securities(国信証券)でチーフ金融アナリストを務めるワン・ジエン氏はFTに対し「Mbridgeの普及が資金の回転を速め、流動性不足のリスクを下げる」と説明しました。
ワン氏は「より広い意味では、中国の国際通貨秩序における発言力を高め、人民元の国際化を支える」と述べており、Mbridgeを通じた決済網の拡大が中国の通貨戦略を支えるとの見方を示しています。
ドルやSWIFTを経由しない決済経路が拡大すれば、新興国を中心に国際送金の選択肢が広がることになり、各国の通貨政策にも新たな選択肢をもたらすことになります。
融資審査基盤にBC活用を推進
Mbridge商業化で米中の覇権争い激化
中国がMbridgeの商業展開を進めるなか、国際決済をめぐる主導権争いへの警戒感は米国でも強まっています。
デジタル通貨を使った国際決済の主導権をめぐっては、米国でもデジタル資産を対象とした法整備を急ぐべきだとの声が議会を中心に広がっており、ドル基軸体制への影響を懸念する意見もみられます。
共和党のシンシア・ルミス上院議員は「中国は待たない」と警鐘を鳴らし、仮想通貨市場構造法「CLARITY(クラリティ)法案」の早期成立を訴えています。
Mbridgeへの参加国が増えれば、ドルやSWIFTを介さない決済ルートが広がることになり、デジタル通貨を活用した国際決済をめぐる各国の競争も一段と活発化することになります。
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Source:フィナンシャル・タイムズ報道
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