この記事の要点
- 金融庁・財務省がトラベルルール対象に5法域を追加、8月3日から適用
- 対象は63法域へ拡大し、暗号資産交換業者の情報通知義務の対象も広がる
暗号資産トラベルルールに5法域追加
金融庁と財務省は2026年7月7日、暗号資産(仮想通貨)や電子決済手段の移転に関するトラベルルールの対象法域を追加する告示の改正を公布しました。
新たに追加されたのは、アンギラ・オマーン・キューバ・ドミニカ国・ボツワナの5法域で、対象法域は計63となります。
改正告示は2026年8月3日に適用され、国内の暗号資産交換業者は、これら5法域に所在する外国業者へ暗号資産を移転する際にも、送付人と受取人の情報を通知する必要があります。
海外SCを「電子決済手段」に
追加5法域の選定基準とパブコメで示された論点
追加対象は日本と同等の規制整備が条件
金融庁は今回の告示改正にあわせ、対象法域の追加基準も示しました。対象法域は、日本のトラベルルールに相当する通知義務が整備されているかを確認したうえで選定されています。
判断にあたっては、各国・地域のFATF(金融活動作業部会)相互審査の結果やフォローアップ報告書、関連法令などを参照し、日本の通知義務に相当する規制が整備されているかを確認したと説明しています。
トラベルルールでは、暗号資産交換業者(VASP)が利用者の依頼で暗号資産や電子決済手段を移転する際、送付人・受取人に関する情報を受取側のVASPへ通知することが義務づけられています。
この制度は犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)にもとづき2023年6月1日に施行されており、通知義務の対象となるには、相手国側にも日本と同等の制度が整備されている必要があります。
中国・ベトナム・ロシアの追加要望は見送り
対象法域の選定基準については、金融庁が2026年5月1日から31日に実施したパブリックコメントでも議論され、寄せられた2件の意見に対する回答が公表されました。
1件目ではアメリカを対象法域へ追加するよう求める意見が寄せられましたが、金融庁はアメリカ合衆国はすでに対象法域へ指定済みであり、追加の必要はないと回答しています。
もう1件では、中国・ベトナム・ロシアを対象法域へ追加すべきとの意見が示されました。
これに対し金融庁は、3カ国はいずれも現時点では日本の通知義務に相当する規制が整備されていないとして、今回の対象法域には含めない方針を示しています。
個人ウォレット宛でも情報収集義務あり
一方で、トラベルルールの対象外となるウォレットへの移転についても、暗号資産交換業者には送付人・受取人の所有者情報を収集・保存する義務が残ることを、金融庁は同じ回答のなかで説明しています。
今回の改正による対象法域の内訳は、次のとおりです。
| 区分 | 法域数 | 主な法域 |
|---|---|---|
| 既存の対象法域 | 58 | アメリカ・英国・シンガポール・韓国・ドイツ・フランス・香港など |
| 今回追加 | 5 | アンギラ・オマーン・キューバ・ドミニカ国・ボツワナ |
| 合計 | 63 | — |
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拡大続く対象法域、国内の制度見直しも並行
改正告示は2026年8月3日に適用され、国内の暗号資産交換業者が追加5法域の外国業者へ暗号資産を移転する際にも、送付人・受取人に関する情報の通知が必要となります。
金融庁は対象法域の指定にあたり、日本と同等の通知義務が整備されているかを確認しており、各国・地域で制度整備が進めば、対象法域は今後も追加される可能性があります。
一方、日本では暗号資産に関する制度全体の見直しも進められており、金融商品取引法(金商法)への移行を含む制度改正が検討されています。
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Source:金融庁公表
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