金融庁、FATF暗号資産報告書を公表「法あれど運用なし」6割が未執行

金融庁、FATF暗号資産報告書を公表「法あれど運用なし」6割が未執行

この記事の要点

  • 金融庁、FATF暗号資産基準の第7回実施報告書を公表
  • 各国の規制状況やDeFi・ステーブルコインなど新たなリスクを整理
目次

FATF暗号資産基準の実施報告書を公表

金融庁は2026年7月27日、FATF(金融活動作業部会)が暗号資産(仮想通貨)と関連サービス・プロバイダー(VASP)に係るFATF基準の実施状況をまとめた報告書を公表したと発表しました。

今回公表されたのは、VACG(暗号資産コンタクト・グループ)が取り纏めた7度目の年次モニタリング報告書で、トラベルルールを含むFATF基準の実施状況や各国の規制整備・監督体制の進捗がまとめられています。

報告書では、詐欺事案や北朝鮮による不正な暗号資産関連活動に加え、ステーブルコインDeFi(分散型金融)を巡る新たなリスクも整理されました。

金融庁は、この報告書の取り纏めにあたり、FATFのPDG(政策企画部会)とVACGの共同議長国として貢献したことも明らかにしました。

進む法制化と広がる暗号資産リスク

金融庁主導で続く年次モニタリング

報告書を取り纏めたVACGは、暗号資産に関するFATF基準が2019年6月に採択されたことを受け、業界との対話や各国の基準遵守をモニタリングする組織としてPDG傘下に設けられました。

設立後は業界との対話やモニタリングだけでなく、基準実施の現状と課題を整理した報告書の作成や暗号資産ガイダンスの改訂にも活動の幅を広げてきました。

金融庁はVACGの議長職を設立以来務めてきたほか、PDGの共同議長国としても報告書の取り纏めに関与しており、同庁はVACGについて「FATFにおける暗号資産の基準実施促進のハブとして機能している」と説明しています。

金融庁が議長を務める体制のもとでFATFは2020年から毎年モニタリング報告書を公表しており、今回の報告書では各国の法整備や執行の進捗が具体的な数値で示されました。

トラベルルール導入83%、運用に課題

報告書では、暗号資産の送金時に送金元・送金先の情報を交換業者間で共有するよう求めるトラベルルールの各国での導入・運用状況について詳しく点検しています。

同報告書によると、このルールを法制化した法域は2026年の調査で回答した109法域のうち91法域と83%に達し、2025年の73%から上昇しました。

一方で、法制化を済ませた91法域のうち約6割にあたる55法域は監督・執行に取り組めておらず、法律はあっても運用が追いついていないと報告書は指摘しています。

トラベルルールを含む勧告15全体でみても、「概ね遵守」の評価を得たのは149法域のうち34%と、2025年の29%から小幅な改善にとどまりました。

詐欺・北朝鮮・DeFiなど新たなリスク

報告書では法整備や執行状況の点検に加え、暗号資産をめぐる新たなリスクも整理しており、とりわけカンボジアを拠点とする組織犯罪グループが仕掛ける「豚の屠殺」と呼ばれる投資詐欺を深刻な脅威として取り上げています。

北朝鮮もVASPやDeFiの脆弱性を突いた暗号資産の窃取を繰り返しており、盗んだ資金を大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発に充てていると報告書では指摘されています。

犯罪組織や国家による悪用に加え、ステーブルコインの不正利用やアンホステッド・ウォレット(利用者が自ら管理する暗号資産ウォレット)を介した個人間取引のリスクも報告書は取り上げています。

DeFiについては規制の対象となる管理主体の特定自体が難しく、登録や監督の要件を実際に適用できている法域はごく少数にとどまっているといいます。

報告書では、管理主体の特定が難しいという点でオフショアVASPについても言及しており、登録地の外から国境を越えてサービスを提供する事業者への実効的な監督を課題として挙げています。

こうしたリスクへの対応として、報告書はVASPなどの民間事業者にアンホステッド・ウォレット関連取引の監視強化やDeFi関連リスクの評価と対策の実施を勧告しました。

FATF一覧表更新、日本は全項目対応

報告書ではリスクの整理に加え、FATF加盟法域や取引量・ユーザー数の基準に該当する法域を対象に、勧告15の実施状況を各国の自己申告に基づいて一覧化した表も更新しました。

金融庁によると、この一覧表は暗号資産に係るFATF基準のグローバルな実施を促すため、各法域の法整備や監督体制の状況を可視化する目的で作成されています。

その一覧表では、日本はリスク評価の実施からトラベルルールの法制化、VASPへの監督・執行措置に至るまで、対象となる全項目で実施済みと回答しました。

こうした対応の背景には、金融庁が2021年3月に業界団体へトラベルルールの導入体制整備を要請するなど、暗号資産交換業者による対応が早い段階から進められてきたことがあります。

FATFは今後も重要な暗号資産活動がある法域を対象に、勧告15の実施状況や新たなリスクの監視を継続する方針を示しています。

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Source:金融庁発表 / FATF発表資料
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

仮想通貨ニュースメディア「BITTIMES(ビットタイムズ)」編集長。2016年にBITTIMESを創業し、暗号資産・ブロックチェーン・Web3領域の取材・執筆を10年近く継続。ビットコイン・イーサリアムをはじめとする主要銘柄の動向から、国内外の規制・税制・DeFi・NFTまで幅広くカバー。

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