仮想通貨業界は近年大きく発展してきていますが、ブロックチェーン技術の専門家や暗号通貨アナリストたちはこの分野はまだ開発段階であり、インターネットが広く普及する前の1990年代に良く似ていると考えています。彼らはIT業界が急成長を見せた「インターネットバブル」と今を比較した上で、一部の詐欺行為のために「Bockchain」や「Cryptocurrency」の発展を諦めるべきではないと語っています。
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仮想通貨はまだ未熟である
アメリカ・カリフォルニア州のベンチャーキャピタル「Andreessen Horowitz(アンドレッセン・ホロウィッツ)」のパートナーであるBenedict Evans(ベネディクト・エバンス)氏は、現在の仮想通貨市場は1993年と1999年のインターネットと非常に似ているとツイートしました。
Looking at crypto and only seeing the scams is like looking at the internet in 1999 and only seeing the bubble.
Looking at crypto and seeing no use cases is like looking at the internet in 1993, when the web was 3% of traffic— Benedict Evans (@benedictevans) 2018年10月29日
仮想通貨を見て詐欺だと判断するのは、1999年のインターネットを見てバブルだと判断するのと同じようなものであり、仮想通貨を見てユースケースを見ないのは、ウェブがトラフィック(*1)の3%だった1993年にインターネットを見るようなものです。
(*1)トラフィック:通信回線上で一定期間内に流れる情報量のこと
エバンス氏はインターネットがまだ成長段階であった1990年代には、まだ具体的なユースケースは開発されていなかったものの、大きな可能性が秘められていたことを説明しています。仮想通貨業界でもこれと同様に多くの専門家たちが『仮想通貨はまだ未熟である』と語っており、その一方でこれらの技術の将来に大きな可能性があるということを語っています。
その他の多くの仮想通貨アナリストやブロックチェーン開発者たちも『ブロックチェーン業界はまだ初期段階である』と語っており、「マサチューセッツ工科大学(MIT)メディア・ラボ」のデジタル通貨イニシアチブ研究部長であるNeha Narula(ネハ・ナルラ)氏は、『仮想通貨の分野やそれらの技術は、1990年代のインターネットに比べるとまだ十分に開発されていない』と述べています。
ナルラ博士は、現在の分散型台帳技術(DLT)とそれに関連するインフラストラクチャは、インターネットの基盤技術が普及する以前である1970年(昭和45年)頃のインターネット発達段階に匹敵すると考えています。
バブルに伴う「詐欺行為」の増加
インターネットが世の中で注目を集め始めた初期の頃も、近年の仮想通貨業界のように非常に多くの新興企業が立ち上げられており、それらの企業は多額の資金調達に成功しました。しかしこれらの一部の企業は「プロジェクトそのものが成功していないにもかかわらず、集まった資金で盛大なパーティーを頻繁に開催していた」とも報告されています。
その結果、バブルの崩壊と同時に多くの企業が倒産に追い込まれる結果となり、人々にも詐欺の印象を与え大きな問題となりました。現在の仮想通貨業界でも同様に「ICO詐欺」などの問題が起きており、複数の詐欺やハッキングなどの行為の影響から”仮想通貨そのものが悪い”という印象を持つ人も出てきています。
たとえどんなに優れた技術であっても、その技術に関連するその他の事例で「詐欺行為」や「ハッキング事件」などの問題が発生していた場合には業界が成長することは難しくなります。すでに数多くのプロジェクトが立ち上げられている現代では、それらのプロジェクトや技術に関連する詐欺などの問題は業界の成長を妨げる重要な問題となる可能性があります。
インターネットバブルから学ぶべき教訓
ブロックチェーンに関連する研究開発はまだ未熟であり、仮想通貨関連の詐欺事件なども複数報告されているものの、エバンス氏は現時点でも優れたユースケースを持つブロックチェーンがすでに複数存在していると述べています。
またエバンス氏の雇用主である「Andreessen Horowitz」の共同設立者Ben Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏は、仮想通貨の開発・成長・採用の面をインターネット誕生初期の頃と比較し、”一部の詐欺行為のためにインターネットや仮想通貨そのものを否定するのは馬鹿げている”という意見を語っています。
ホロウィッツ氏は、
・Google(グーグル)
・Amazon(アマゾン)
・Microsoft(マイクロソフト)
・YouTube(ユーチューブ)
・Facebook(フェイスブック)
などの大成功を収めた企業は、インターネットバブルの直接的な結果として立ち上げられたことを説明しており、このようなことから学べる重要な教訓として、”詐欺に投資するべきではない“ということや”そのような理由で仮想通貨やインターネットを諦めるべきではない“ということなどを挙げています。
同氏があげたこれらの大手企業は、その他のIT企業と同様にインターネットバブル崩壊の影響を受けているもの、設立当初からの堅実な取り組みによって現在では世界的大企業へと成長しています。今後の仮想通貨業界でもこのような動きがこれから起こることになることも十分あり得ると考えられます。
ビットコイン時価総額に表れる類似点
ビットコイン:時価総額の変化(引用:coingecko.com)
ビットコイン(Bitcoin/BTC)のこれまでの時価総額の変化とインターネットバブルを乗り越えた大手IT企業のデータを見比べると、インターネットバブル後と類似しているように見られます。仮想通貨がこれらの大手IT企業の株式時価総額と同じように変化すると言い切ることはできませんが、このようなデータの共通点が仮想通貨の将来を示していると考えている投資家も存在します。
ビットコイン強気派の億万長者として知られるTim Draper(ティム・ドレイパー)氏は、大手IT企業のように仮想通貨市場はさらに成長し、15年後には仮想通貨全体の時価総額が8,800兆円まで増加すると語っています。
大きな可能性を秘めていることへの高い期待やそれがもたらした一時的に急激な価格高騰、複数の詐欺行為などといった、いくつかの共通点が見られる「仮想通貨」と「インターネット」の過去のデータは、仮想通貨の将来を予想する上で注目に値するデータの一つとも言えるでしょう。
ティム・ドレイパー氏が語る仮想通貨の未来予想はこちら



























