公共サービスへのブロックチェーン活用を推進「ガバナンスチーム」発足:韓国・ソウル
韓国の首都ソウルでブロックチェーン技術の利点を公共サービスに活用していくための「ガバナンスチーム」が立ち上げられたことが現地メディアの報道で明らかになりました。韓国政府は先日、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)に対して厳しい姿勢を維持する方針を明らかにしたものの、これらの技術を適切に取り入れていくための活動を続けています。
こちらから読む:韓国政府が公共サービスに活用する「ブロックチェーン技術」とは
積極的な情報共有で「サービス改善」図る
韓国の首都ソウルで立ち上げられた「ガバナンスチーム」は、21〜77歳にかけての学生、開発者、協会役員、企業の代表などといった様々な職種のメンバー100人で構成されていると伝えられています。
報道によると、これらのメンバーは「オンライン投票システム」を含む、様々な公共サービスにおけるブロックチェーン技術の活用方法を調査すると伝えられています。
ブロックチェーン技術の活用に向けた具体的な取り組み内容としては、
・マイレージサービスの総合管理
・デジタル化された資格の検証
・下請け代金の自動決済システム
などに取り組むとされており、試験運用では情報共有を積極的に行い、多くの人々の意見を取り入れてサービスの改善を行っていく予定とされています。
委嘱状の発行はブロックチェーン技術をベースとしたモバイル端末向けのアプリケーションで発行される仕組みとなっており、携帯電話で発行・照会を行うことができます。また、発行履歴はブロックチェーン上に記録・保存されるため、偽造・改ざん・虚偽発行を防止することができるとも説明されています。
韓国政府は「ICOの禁止」を継続
韓国の金融委員会(FSC)は、2019年1月30日に発表したイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関する調査報告の中で「ICOの禁止」を継続していく方針を示しました。
この調査は2018年9月〜11月にかけて行われており、合計22社を対象に調査が行われています。報告によると、これらのICOは韓国国外の発行元を通じて行われていたものの、実際には韓国の投資家から資金を調達しており、同国の規制を迂回するために海外を通していると指摘されています。
また、ICOプロジェクトの情報開示に関する指摘もされており、投資を行う際に必要となる情報が欠如しているだけでなく「プロジェクトの開発チームの情報が明確に記されていないもの」や「偽の情報が記載されている疑いのあるもの」なども見つかったと報告されています。
韓国政府は、2017年9月にICOの禁止を発表した際に「価格の安定性が欠如していること」や「相場操縦が容易なこと」などを問題点としてあげています。今回の発表の中でも「ICOは投資リスクが高く、国際的な規制も確立されていない」と説明されており、政府がICOのガイドラインを定時した場合には「政府がICOを後押ししている」といった誤解を招き、被害が拡大する可能性も考えられるため「今後もICOに関しては慎重な姿勢を維持していく」ということが記されています。
ICOに関しては投資家保護のために厳しい姿勢を維持しているものの、韓国政府はブロックチェーン技術の活用に積極的に取り組んでおり、仮想通貨の利用も含めた幅広い分野で適切な環境構築に取り組んでいます。このようなプロジェクトはここ数ヶ月間だけでも数多く発表されているため、2019年末までにはブロックチェーン技術と仮想通貨の導入はかなり進んでいることが予想されます。