オンライン決済事業を手がけるメタップスは、グループ会社が提供するウォレットアプリ『pring(プリン)』を通したQRコード決済に対応する加盟店の募集を開始することが明らかになりました。決済手数料は業界最安値となる0.95%を予定しているとされています。
pring(プリン)とは
pring(プリン)は、pring社が提供するデジタルウォレットアプリです。みずほ銀行の口座からワンタッチで電子マネーにチャージすることができる機能や、個人間の送金、店頭での決済、キャッシュアウトなどの機能を備えたスマホ上のウォレット決済アプリであり、AndroidとiOSで利用することができます。
pringは、2017年10月から実証実験を開始しており、SNSや電話番号を用いた送金機能や、加盟店でのQRコードを用いた決済などでの運用を意識した検証を行っています。
2018年2月には、三井住友銀行の決済サービスを導入し、三井住友銀行の口座からpringへのチャージが可能になったことを発表しました。
現在はQRコード決済に対応する加盟店の募集を開始するとしています。同社は決済手数料を業界最安値となる0.95%に設定することによって、QRコード決済市場の覇権争いで大きく前に出ようとしています。
キャッシュレス業界の競争
これまでは、QRコード決済を利用する場合に加盟店側は一定の決済手数料を支払う必要があったため、この導入コストなどによって実店舗への十分な導入が進んでいないと言われてきました。
2018年3月には、LINEが『LINE Pay(ライン・ペイ)』を開始し、支払い可能な加盟店を年内に100万店舗まで増やす計画を発表しました。その後4月には、NTTドコモが『d払い』を開始しており、年内にはローソンやマツモトキヨシホールディングスなどの全国の約1万9000店舗で使えるようになるとされています。6月に入ってからは、ヤフーも参入し『Yahoo!ウォレット』にスマホ決済機能を追加しました。ヤフーは家電量販店の上新電機の店舗や、白木屋、魚民などモンテローザが運営する飲食店から導入を進めるとしています。
LINEや楽天などのような、その他の事業者が提供するQRコード決済の手数料は”3%台前半”となっていますが、pringはの決済手数料はわずか”0.95%”と圧倒的安値に設定されているため、加盟店の負担を従来の3分の1以下に減らすことができます。
飲食店や小売店など実店舗であれば、その事業規模に関係なく加盟できますが当初は法人格を条件としており、準備が整い次第個人事業主にも拡大していくとのことで、サービスを利用するための初期費用と月額費用は無料となっています。
pringは、銀行口座と直結しているためアプリへのチャージや口座に戻した後の現金化をスムーズに行うことができ、送金や支払い、口座からアプリへのチャージ、アプリから口座への戻し入れにも一切手数料がかかりません。
さらに店舗側が提示するQRコードをユーザー側のアプリで読み取って決済する方式を採用しているため、実際に店舗に導入するための設備投資や初期費用なども必要ありません。店舗側はQRコードをタブレットなどのデバイスに表示したり、紙に印刷するだけで簡単に店頭に掲示することができます。
アプリ直結で利用できる銀行は、2017年春に業務提携したみずほ銀行や、2018年2月に接続した三井住友銀行に加えて、三菱UFJ銀行との接続も時間の問題であるとみられています。さらに、現在キャッシュレス決済を促進するための実証実験を共同で行っている福島県の東邦銀行などのような地方銀行との接続も順次可能になるとされています。
みずほフィナンシャルグループは、以前に日本のキャッシュレス化に関して次のように述べています。
「他の先進国と比べてキャッシュレス化が十分発展しておらず、現金決済比率が高い状況。決済の利便性・効率化の向上と、現金取扱等に係る社会コストの削減を図ることが急務。統一規格の『QRコード決済』を促進することにより、日本におけるキャッシュレス社会を2020年までに進展させることを目指す」
また、pringの広報担当者は、Business Insider Japanのに対して「キャッシュレス社会を早期に実現するため、利用者や加盟店にとって最も適切なサービスのあり方を検討しており、近いうちに具体的な内容を明らかにしたい」とコメントしています。
pringに関する詳しい情報やアプリのダウンロードはこちらからどうぞ
公式ホームページ:pring.jp
Google Play:play.google.com
App Store:itunes.apple.com
カルダノエイダコイン(ADA)とメタップス
カルダノエイダコイン(ADA)は、今年の5月に韓国最大手のモバイル決済プラットフォームであり、メタップスの子会社であるメタップスプラスと提携を結んでいます。
このパートナーシップによって、ADAはメタップスプラスのモバイルマーケティングとモバイル決済プラットフォームで取り扱われることになりました。メタップスプラスのアプリダウンロード・プラットフォームでは、モバイルアプリが5月の時点で10億以上ダウンロードされており、4万店以上の店舗でモバイル決済手段として年間1,000万回も利用されています。
ADAは2018年第三四半期までに、33,000店以上のメタップスプラスのパートナーである店舗での決済や、店舗との提携プロモーションで使用されることを予定しています。
チャールズ・ホスキンソンのコメント
CARDANO(カルダノ)の創設者でありEthereum(イーサリアム)の共同創設者でもあるCharles Hoskinson(チャールズ・ホスキンソン)氏は、当時次のようにコメントしています。
「Cardanoや仮想通貨の熱心な支持者のいる韓国で、日常的な購入に仮想通貨ADAを使用できるようになるのは素晴らしいことです。これによって、仮想通貨の利用がさらに加速することを望んでいます。」
ADAのATMは日本でも展開予定
ADAのATMは以前から日本にも設置される予定であると言われてきました。これから本格的にエイダがATMで利用できるようになった場合には、もしかするとpringの決済サービスでもADAを利用できるようになるかもしれません。
これに関しては、まだ当面の間は現実化することはないと考えられますが、メタップスやpringの普及はどの可能性を高めることになるでしょう。
カルダノ・エイダコイン(ADA)に関する記事はこちら
圧倒的に安い送金手数料で、対量子コンピュータなどのような優れた機能を非常に多く備えているADAを利用できるようになる日が来ることを祈りつつ、今後の日本のキャッシュレス化に期待しましょう。