ビットコイン相場に見える4年周期変調の兆し
米オンチェーン分析企業CryptoQuantは2025年12月17日、ビットコイン(BTC)の4年周期サイクルに変化が生じつつあるとし、新たな長期強気相場「スーパーサイクル」が形成される可能性を示す分析レポートを公開しました。
同レポートでは、こうしたサイクル変調の背景にある新たな構造的要因として、BlackRock(ブラックロック)社などによる現物ビットコインETFを通じた「伝統金融からの安定需要の流入」が挙げられています。
オンチェーンデータの観点からも、取引所残高の減少やSOPR(平均売却益指標)の安定推移など、市場成熟の兆候が確認されています。
レポートはこれらの傾向を踏まえ「ビットコイン相場が従来の半減期サイクルに依存しない構造へ移行しつつある」との見解を示しました。
一方で、外部ショック発生時にはこの軌道が崩れるリスクもあるとして注意を促しています。
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BTC半減期依存からの脱却を下支えする市場構造の変化
IBITを通じた資金流入が示す市場の成熟
CryptoQuantのレポートでは、ビットコイン市場におけるファンダメンタルズの変化要因について具体的な分析が示されています。
その中で特に注目されているのが機関投資家の流入であり、ブラックロック社の現物ビットコインETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」が代表例として挙げられています。
IBITは2024年のローンチ以来順調に資金を集めており、現在のAUM(運用資産残高)は約680億ドル(約10.5兆円)に達していることが報じられています。
取引所残高減少が示す売り圧力の低下
一方、需給面では取引所保管のビットコイン残高が2025年後半に大幅に減少し、主要取引所の保有量が数日で約240万BTCから約183万BTCに減ったとの分析があります。
流動供給の減少は売り圧力低下につながり、SOPR(平均売却益指標)が「1」前後で安定している点も、投資家の過度な利確売りが起きていないことを示唆していると同レポートは指摘しています。
マクロ環境が後押しするビットコインの地位向上
こうしたオンチェーンデータによる内部要因に加え、地政学リスクの高まりや各国の金融緩和観測といった外部環境もビットコインへの追い風となっており、デジタルゴールドとしての地位が高まりつつあるとの見方が示されました。
他の機関も4年周期の変容を指摘しており、米Grayscale Investments(グレースケール)は、2026年にビットコインが新高値を更新し、従来の4年サイクルは崩れるとの強気予測を示しています。
同社は、代替資産需要の拡大や米国での規制整備を背景に「2026年も新規資本流入が続く」と分析しています。
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調整局面で問われるビットコイン相場の持続性
ビットコイン価格は2025年10月に史上最高値12万6,000ドル(約1,960万円)を付けた後、調整局面に入り、記事執筆時点では約30%下落した8万6,000ドル(約1,340万円)前後で推移しています。
この価格調整の過程では、ブラックロック社のビットコインETFから約5億2,300万ドル(約815億円)の資金流出が確認されました。
一方、中長期的な視点では、大学基金や政府系ファンドによるビットコイン投資参入も明らかになっており、ビットコインが投機資産から主流アセットへ移行しつつある兆しとされています。
こうした長期的な資金流入への期待を背景に、2026年にビットコインが再び最高値を更新する可能性も指摘されています。
半減期後も弱気相場へ移行せず上昇基調を維持できるかどうか、資金動向や市場参加者の動きが今後の注目点となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=155.53 円)
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Source:CryptoQuantレポート
サムネイル:AIによる生成画像






















