米保険会社、仮想通貨投資家向けに「誘拐・身代金保険」を提供予定=報道

米保険会社、仮想通貨投資家向けに「誘拐・身代金保険」を提供予定=報道(U.S. insurance firm plans to offer kidnap and ransom insurance for crypto investors)
目次

仮想通貨富裕層向けの新たな保険

2025年5月31日、複数の米保険会社が仮想通貨投資家向けに誘拐・身代金保険(K&R保険)の提供を検討していることが明らかになりました。

米NBCニュースの報道によると、ビットコイン(BTC)など仮想通貨を大量に保有する富裕層を狙った誘拐や暴力事件が増加していることを受け、保険各社はそうした物理的脅威への新たな対策としてこの保険商品の開発を進めているとのことです。

現在、3社の仮想通貨保険・セキュリティ専門企業が対象顧客の誘拐や身代金要求に備えたオーダーメイド保険を準備中であり、仮想通貨富裕層の「誘拐リスク」に着目した動きが進んでいます。

なお、こうしたK&R保険は、従来は企業幹部や富裕層向けに提供されてきた商品で、頻度は低いものの一度事件が起きると被害が非常に大きくなるため、保険会社にとっては利益性の高い保険商品とされています。

仮想通貨業界で注目される「誘拐・身代金保険」

AnchorWatch、誘拐保険を今秋に提供予定

米ワシントン州を拠点とする仮想通貨保険会社AnchorWatch(アンカーウォッチ)は、今年秋にも仮想通貨投資家向けの誘拐・身代金保険を正式提供する予定です。

同社COO(最高執行責任者)のレベッカ・ルーベンフェルド氏は、5月末にラスベガスで開催されたビットコインカンファレンスで「参加者は皆、神経質になっている」と述べており、仮想通貨保有者の間で暴力被害への不安が大きな話題になっていたと報じられています。

仮想通貨保有者を狙った襲撃事件は過去10年以上にわたり断続的に発生しており、米Casa社共同創業者のジェイムソン・ロップ氏が公開したデータによれば2014年以降で100件以上の誘拐・強盗事件が世界各地で記録されています。

こうした背景を踏まえ、専門家の間では従来は企業向けだったK&R保険への仮想通貨分野からの需要が高まっていると指摘されています。

仮想通貨富裕層に高まる警備需要

他の保険業界関係者も仮想通貨分野のリスクに注目しています。

大手保険ブローカー会社Hylant Capitalの副社長アンドリュー・カート氏は「誘拐・身代金保険は請求件数は少ないものの1件あたりの被害額が大きく、保険会社にとって非常に収益性の高い商品」と述べ、仮想通貨分野でも発生頻度自体は高くないものの深刻な被害につながる可能性があると分析しています。

また、仮想通貨保険会社Relm Insuranceのジョゼフ・ジオルコウスキーCEOは、自社でも現在K&R保険商品の最終調整を行っていることを明らかにしました。

同氏によると、保険料の算定には顧客の物理的セキュリティとサイバーセキュリティ対策の水準を詳しく評価する必要があるといい、例えば「24時間体制のボディーガードが付いている顧客であれば保険料は割引要因になる」と述べています。

さらに、仮想通貨富裕層の間では保険だけでなく身辺警護サービスへの需要も急増しています。

オランダの警備会社Infinite Risks International(インフィニット・リスクス・インターナショナル)は5月18日、仮想通貨業界の著名人からボディーガード契約の依頼が増えていると報告しており、実際に複数の投資家や経営者が自費で常時警備を付け始めている状況が明らかになっています。

また、米メディアの報道によれば、業界の一部では「レンチ攻撃保険」と呼ばれる保険商品も登場しており、万が一襲撃犯に脅されても”パスワードを渡す方が安全だ”と判断できるよう、盗まれた仮想通貨を補償する仕組みが用意されているといいます。

専門家は、こうした保険によって被害者が無理に抵抗して危害を加えられるリスクを減らせる可能性があると指摘しています。

仮想通貨富裕層を狙う誘拐事件が多発

最近発生した事件として、2025年5月に米ニューヨークで仮想通貨投資家の男性が身代金目的で約3週間にわたり監禁・拷問される事件発生しました。

犯行グループは被害者にビットコインウォレットのパスワード開示を要求し、電気ショックを与えたり階段から突き落とすと脅迫するなどの手口で金銭を奪おうとしました。

幸いにも被害者は逃げ出し、命に別状はありませんでしたが、この事件では5月末までに容疑者2名が誘拐致傷などの容疑で起訴されています。

またフランスでも同様の脅威が現実化しており、パリでは5月13日に仏大手取引所PaymiumのCEOピエール・ノワザ氏の娘と孫が誘拐されかける事件発生しました。

フランス当局はその後の捜査で未成年6名を含む25人の容疑者グループを摘発し、5月31日付で一連の誘拐・未遂誘拐事件に関与した疑いで起訴しています。

欧米で相次ぐこうした誘拐事件を受け、仏国内では仮想通貨業界関係者が「常に標的にされているようだ」と不安を訴えており、フランス政府は治安当局と業界が連携して富裕層の安全対策を強化する方針を示しています。

各国で物理的な脅威への警戒が高まる中、仮想通貨業界における安全対策として新たな保険サービスの必要性が高まっていることが明らかになっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

Source:NBCニュース報道

サムネイル:AIによる生成画像

  • URLをコピーしました!

Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

仮想通貨ニュース|新着

仮想通貨入門 - 基礎知識

市場分析・価格予想

目次