ドレイパー氏、米ドル崩壊を警告
2025年6月1日、シリコンバレーの著名投資家で億万長者のティム・ドレイパー氏が自身のX(旧Twitter)で、米ドル崩壊の警告とともに、小売業者によるビットコイン(BTC)決済が増加するとの見解を示しました。
投稿の中でドレイパー氏は「ドルは絶滅しつつある」と述べ、ビットコインが小売決済で主流となる未来が来る可能性を示唆しました。
The dollar is going extinct.
People will rush to spend it as it loses value.
Retailers will soon prefer Bitcoin. And when they do, that’s when people will start spending Bitcoin. https://t.co/nSBGfAkEMK
— Tim Draper (@TimDraper) May 31, 2025
ドルは消滅しつつあります。
その価値が失われていく中で、人々は急いでドルを使い切ろうとするでしょう。
やがて小売業者もビットコインを好んで受け入れるようになり、その時に人々はビットコインを本格的に使い始めることになるでしょう。
なお、ドレイパー氏は過去にも仮想通貨業界における強気発言で知られており、今回の発言もこれまでの姿勢を裏付けるものと見られています。
関税「ビットコインにとって好材料」
ドレイパー氏が示すビットコイン経済圏
ビットコイン「究極の基軸通貨」になる可能性
ドレイパー氏は長年にわたりビットコインに強気な姿勢を示してきた人物であり、今回の投稿もその信念に基づくものです。
同氏は今年3月のインタビューで「ビットコインはドルに対して無限の価値を持つ」と発言し、1BTC=25万ドル(約3,600万円)という価格予測は「始まりに過ぎない」と強調しています。
この発言は、今後法定通貨ドルの価値が下落し続け、一方でビットコインの価値が際限なく上昇し得るとの見解を示したものです。
ドレイパー氏は将来的にビットコインが世界経済を席巻し、法定通貨が徐々に衰退すると予測しています。
同氏は、人々が法定通貨の米ドルが無価値になる前にビットコインへ急いで交換する未来や、あらゆる支払いがビットコインで行われる時代さえ想定しており、ビットコインが将来の「究極の基軸通貨」になる可能性を示唆しています。
「ビットコインは究極の基軸通貨へ」
ビットコイン決済の優位性と慎重論
こうした見解の背景には、ビットコインの利用者数増加や決済インフラの整備など、仮想通貨の普及拡大があると見られています。
ドレイパー氏は以前から「小売業者はクレジットカード手数料を削減できるためビットコイン決済を受け入れるメリットがある」と指摘しており、ビットコイン決済では購入毎に約2%の手数料を節約できるため、小売業者の利益が倍増し得ると述べています。
こうした理由から「小売業者は最終的にビットコインを選ぶようになり、ビットコインが世界中に広く普及するだろう」とも予測していました。
一方で、経済専門家の中には米ドルは依然として世界の基軸通貨であり、ビットコインが短期間でその地位を奪うのは難しいとの見方もあります。
こうした慎重な見方があるものの、ドレイパー氏はビットコイン受容の拡大と米ドル安定性への懸念から、いずれビットコインが小売決済を支配するとの信念を崩していません。
BTC決済によるパナマ運河通行特典
米ドル不安と仮想通貨決済の拡大
インフレと国家債務による米ドルの信認低下
ドレイパー氏の警告は、現在の米国経済や世界の通貨システムを取り巻く不安とも重なります。
米国では近年、インフレ率の高止まりや度重なる利上げを背景に国家債務が増大し続けています。
米国の連邦債務残高は2024年時点で34兆ドル(約4,800兆円)を超えており、専門家からは「このまま国債増発への対策を取らなければドルは無価値になってしまう」との指摘も出ています。
テスラCEOのイーロン・マスク氏も2024年5月、Xで「国家債務について何らかの対策を講じなければ、ドルは価値を失うだろう」と警鐘を鳴らしており、米ドルへの信頼低下を懸念する声が著名実業家からも上がっています。
世界で広がるビットコイン決済導入
こうした状況下で、世界各国の小売業界でもビットコインなど仮想通貨を決済に取り入れる動きが徐々に広がりつつあります。
次世代の仮想通貨決済基盤を開発するAEON(イーオン)は5月に、AIを活用した仮想通貨自動決済システム「AI Payment」を導入すると発表し、オンライン店舗と実店舗の両方でAIが自律的に仮想通貨決済を完結できる基盤を構築しました。
このシステムは複数のブロックチェーンに対応して高速・低コストの取引を実現しており、VisaやMastercardとの提携により、世界市場での導入拡大を進める予定です。
また欧州でも、スイスの小売大手SPARが2025年4月に同国ツーク市の店舗でビットコイン決済の試験導入を開始しました。
SPARはフィンテック企業と提携し、ライトニングネットワーク対応の決済システム「OpenCryptoPay」を用いることでレジでの即時ビットコイン支払いを可能にしています。
オンライン・実店舗決済を自動化
ビットコインはドルに取って代わるのか
このように一部の先進的な小売事業者は既にビットコイン決済を実用化しており、ドレイパー氏の指摘する「小売業者がビットコインを好む未来」の兆しとも言える動きが出始めています。
ドレイパー氏の米ドル崩壊の警告やビットコイン台頭予測は強気とも言える内容ですが、現状では米ドル体制への不安と仮想通貨の普及が同時に進行しているのも事実です。
今後、米ドルの地位や小売決済の主流がどのように変化していくか、世界の投資家や市場関係者が注視しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=142.72円)
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Source:ティム・ドレイパー氏X投稿
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用































