イスラエル・イラン紛争激化、ビットコイン価格が一時急落|安全資産の評価に再び議論も

イスラエル・イラン紛争激化、ビットコイン価格が一時急落|安全資産の評価に再び議論も(Bitcoin price briefly plunges amid escalating Israel-Iran conflict; safe-haven asset debate reignites)
目次

イスラエル空爆報道で仮想通貨市場が動揺

2025年6月13日、イスラエルによるイランへの大規模な空爆作戦が実施されたとの報道を受け、仮想通貨市場は一時的に急落する局面を迎えました。

イスラエル政府は同日、イラン中部のナタンズ地下核施設を含む核関連施設や、ミサイル製造拠点を標的とした空爆を開始したと発表しており、複数のイラン軍高官が死亡したと伝えられています。

この先制攻撃はイスラエルにとって過去最大規模とされ、中東の地政学リスクが急激に高まる中で、世界の金融市場にも動揺が広がりました。

原油価格は一時9%近く上昇し、国際金価格も1%超の上昇を記録。米株式市場の主要指数は軒並み1%以上下落して取引を終えるなど、安全資産への資金シフトが加速しました。

仮想通貨市場でも同様にリスク回避の売りが強まり、ビットコイン(BTC)は24時間高値の10万8,500ドル(約1,560万円)から一時10万3,000ドル(約1,490万円)付近まで約4%下落しました。

ただしその後は投資家の警戒感が和らぐにつれて価格も回復に転じ、13日夜には10万5,000ドル(約1,510万円)付近まで戻しています。

地政学リスクが広がる中でもビットコインは前日比ほぼ横ばいの水準で推移しており、市場の底堅さを示す展開となりました。

ビットコイン下落の背景に中東不安

仮想通貨市場が揺れ動いた背景には、中東地域における地政学リスクの急速な高まりがありました。

今回のイスラエルによるイラン空爆は、長年続いてきた両国の緊張関係が初めて大規模な軍事衝突に発展したもので、市場心理に大きな影響を与えました。

イスラエル政府は、イランが核兵器開発を進めており、それが国家の存亡を脅かすと判断した上で、核関連施設やミサイル拠点に対して「予防的措置」として攻撃を開始した説明しています。

イラン核問題が軍事衝突の引き金に

国際原子力機関(IAEA)は6月12日、イランが核不拡散義務に違反し、高度濃縮ウランの制限を20年ぶりに超えたと発表しており、これが軍事行動の引き金となったと伝えられています。

イスラエルのネタニヤフ首相は「脅威が除去されるまで攻撃を継続する」と述べ、イランの核能力とミサイル開発網の無力化を目指す姿勢を示しました。

この先制攻撃を受け、イランも即座に報復として、同13日夜にイスラエルへ向け数百発の弾道ミサイルを発射しました。エルサレムやテルアビブの上空では爆発が確認され、市民生活にも影響が出ています。

米国政府はこれを受けて、中東地域に駐留する米軍や外交官への攻撃を警戒し、一部部隊の配置を見直すと発表しました。

ビットコイン回復も紛争の行方に警戒

市場関係者からは「イランがペルシャ湾の原油施設を攻撃したり、周辺国が紛争に介入したりしなければ、世界経済や金融市場への影響は一時的」との見方も出ています。

実際、仮想通貨市場でも急落後の反発が見られるように、過度な悲観が後退しつつあり、特にビットコインはリスク資産としての売られやすさを見せつつも、比較的早期に価格を回復しています。

現時点では両国ともに全面戦争には慎重な姿勢を示しており、第三国を介した水面下での調整や停戦交渉の可能性も浮上しています。

仮想通貨市場では、今後の地政学的な展開次第で短期的な変動が続く可能性がある一方、中長期的には基調トレンドが維持される見通しとなっています。

中東情勢緊迫でビットコイン一時急落、短期調整へ

紛争激化で仮想通貨市場から資金流出

世界的な緊張の高まりを受け、仮想通貨市場ではリスク資産と見なされるビットコインや主要アルトコインが売られました。

実際、イスラエルの空爆報道直後にビットコイン価格が急落したのは、投資家が資金を一時的に米国債や米ドルなど安全度の高い資産へ移したことが背景にあります。

過去にも地政学リスクが高まると株式や仮想通貨から資金が流出し、金や安全通貨へと資金が移動する傾向があります。今回も同様に、急報を受けて金価格がオンス当たり3,437ドル(約42万円)まで上昇し、米ドル指数や円・フラン相場も上昇しました。

一方でビットコインを含む仮想通貨市場全体にも短期的な売り圧力が強まり、仮想通貨主要20銘柄の価格指数(CoinDesk 20 Index)は当日4%超の下落を記録しています。

地政学リスク下でビットコインが反発

しかしビットコインは同日夜までに下落分のほとんどを回復し、依然として高値圏にあります。

この動きについて、マーケット分析では「ビットコインは短期的には株式などリスク資産と同様の値動きを示すが、中長期的には金を凌駕するパフォーマンスを見せている」という指摘があります。

実際、今回のような地政学的ショックでもビットコインは株式市場とほぼ同調して下落した後、素早い反発力を示しました。

米ナティクシス投信の投資戦略担当者は「この種の地政学的な出来事では、市場は初めに過剰に反応するが、長期的な影響は限定的になる」と述べ、仮想通貨市場も冷静さを取り戻せば元の価格トレンドに戻るだろうとの見解を示しています。

ビットコインの資産的性質に議論広がる

一方で、一部のアナリストはビットコインの短期的な値動きについて慎重な見方も崩していません。

経済評論家ピーター・シフ氏は、イスラエルによるイラン攻撃後の市場で金が0.85%上昇する中、ビットコインは2%下落したことから「この行動が示すのは、ビットコインは危機時に金代わりにはならないということだ」と述べています。

今回も金が避難先として買われる一方、ビットコインが売られたことで「デジタルゴールド」としての安全資産性を疑問視する声もあがっています。

しかし市場全体としては最悪期を脱しつつあるとの見方があり、仮想通貨市場がこれまでの回復基調を維持できるかが注目されています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.14 円)

>>最新の仮想通貨ニュースはこちら

サムネイル:AIによる生成画像

  • URLをコピーしました!

Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

仮想通貨ニュース|新着

仮想通貨入門 - 基礎知識

市場分析・価格予想

目次