テザー、米規制準拠の新ステーブルコイン「USA₮」を発表|CEOにボー・ハインズ氏任命

テザー、米規制準拠の新ステーブルコイン「USA₮」を発表|CEOにボー・ハインズ氏任命(Tether launches new US regulatory-compliant stablecoin "USA₮" and appoints Bo Hines as CEO)
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Tether、米国で新ステーブルコイン「USA₮」を展開へ

世界最大のステーブルコイン発行企業であるTether(テザー)社は2025年9月12日、米国規制準拠のドル連動型ステーブルコイン「USA₮(USAT)」を新たに発行する計画を発表しました。

同社の発表によると、この新たなステーブルコインは米国居住者を主な対象としており、2025年末までのローンチ(発行開始)を目指しています

USA₮は7月に成立した米国のステーブルコイン規制法「GENIUS法」に完全準拠する設計で、裏付け資産の100%を現金および米国短期国債で保有し、月次で準備金を開示するなどの厳格な要件に適合する予定です。

また、同プロジェクトのCEOに、元ホワイトハウス仮想通貨評議会の事務局長であるボー・ハインズ氏を任命したことも報告されています。

テザー社CEOのパオロ・アルドイーノ氏は「競合他社が米国で独占環境を作ろうとしている中で、今回の発表は非常に刺激的な瞬間だ。われわれはテザーが市場で最も優れたプロダクトだと信じている」と述べています。

米金融法に準拠した新ステーブルコイン「USA₮」戦略

テザー社が示すUSA₮の透明性とガバナンス体制

テザー社の公式発表によれば、USA₮は米国規制下で運用される完全準拠のステーブルコインで、透明性の高い準備金と厳格なガバナンス体制の下で運営されます。

USA₮は、企業や機関投資家に向けて現金や決済手段のデジタル代替を提供することを目的とし、米国の安定した金融規制に基づく新たな業界基準を打ち出すと強調しています。

発行にはテザー社のトークン化プラットフォーム「Hadron」が活用され、Anchorage Digital Bank(米通貨監督庁(OCC)認可の信託銀行)がGENIUS法に準拠した発行主体を担い、準備金はCantor Fitzgerald社が管理するとしています。

こうした仕組みにより、テザー社は米規制準拠のデジタルドルを提供し、自社のグローバルな流通ネットワークを生かして広範なユーザーに届ける方針です

ホワイトハウス出身ボー・ハインズ氏をCEOに起用

今回CEOに任命されたボー・ハインズ氏は、法律・ビジネス・政策に通じ、ホワイトハウスの仮想通貨評議会で事務局長を務めた経歴を持つ人物です。

同社は米国拠点のリーダーシップの下でUSA₮を展開し、規制当局の優先事項を踏まえたコンプライアンス運営を徹底する姿勢を示しています。

アルドイーノCEOも「テザーは米国債の大口保有者になるほどドルの持続的な力を信じており、USA₮はデジタル時代にドルの支配力を維持・強化するためのわれわれのコミットメントだ」と述べています。

USDTで築いた世界最大級の利用者基盤

テザー社は、世界で最も広く利用されているステーブルコイン「テザー(USDT)」の発行体として、時価総額約1,690億ドル(約25兆円)と5億人近い利用者基盤築いてきました。

特に新興国では「デジタルドル」として機能しており、2024年には130億ドル(約1.9兆円)を超える純利益を計上したことを明らかにしています。

こうした背景を踏まえ、同社は今回のUSA₮発表を「ステーブルコイン業界を創造してきた当社にとって次なる自然な一歩」と位置付けています。

実際、アルドイーノCEOは今年5月に「米国で法規制が整えば年内にも米国内向けステーブルコインを立ち上げる」と述べており、今回の発表は規制整備に沿った計画的な戦略展開とされています。

テザーが描く「USDT・USA₮」の二本柱戦略

USA₮の本社は米ノースカロライナ州シャーロットに置かれる予定で、アルドイーノCEOはニューヨークでの記者会見で「今後12〜24か月で米国市場における事業拡大を飛躍的に進めていく」と述べています。

テザー社は「USDTとUSA₮という二本柱で新興国と先進国双方にデジタルドルを提供する」と強調しており、既存のUSDTについても引き続きGENIUS法に沿った運用を継続し、国際的な役割を維持していく方針です。

大手金融と新興国が牽引するステーブルコイン需要

規制明確化による金融業界のビジネス転換

米国で成立したステーブルコイン包括規制(GENIUS法)は、テザー社のみならず金融業界全体に大きな影響を与えています。

同法成立を受け、米大手銀行シティグループは、高品質な資産で裏付けられたステーブルコインの発行・保管サービス提供を第一の選択肢として検討していることを明らかにしました。

さらに、世界最大の資産運用会社BlackRock(ブラックロック)は、米国での明確な規制整備により「米ドルの基軸通貨としての地位が一段と強まり、ステーブルコインの本格普及が加速する」と分析しています。

金融インフラとして進化するステーブルコイン

こうした見方を裏付けるように、新興国を中心にステーブルコイン需要は増加傾向にあります。

米送金大手Western Union(ウエスタン・ユニオン)のデビン・マクグラナハンCEOも「ステーブルコインは脅威ではなく新たなチャンスであり、自社サービスに積極活用していく」と表明しました。

こうした動きと規制環境の整備を背景に、ステーブルコインは米国主導で金融インフラの一角を担う存在へと進化しつつあります。

テザー社によるUSA₮の発表は、ドルのデジタル市場における優位性維持を示す象徴的な一歩となっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=147.67 円)

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Source:Tether公式発表
サムネイル:AIによる生成画像

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BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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