この記事の要点
- トランプ米大統領が3月22日、イランの発電所攻撃を48時間以内に警告
- 開戦4週目で初の民間エネルギーインフラへの直接攻撃を明言
- ビットコインが68,000ドル台に急落、市場全体で約3億ドル清算
- FRBの利上げ確率が1週間でゼロから12.4%に急上昇
トランプ氏が発電所攻撃を警告、仮想通貨市場に直撃
ドナルド・トランプ米大統領は2026年3月22日、自身のSNSへの投稿で、「イランがホルムズ海峡を48時間以内に全面開放しなければ最大のものから順にイランの発電所を攻撃・壊滅させる」との強硬姿勢を示しました。
トランプ氏によるイランへの最終警告は、米イラン開戦から4週目に入り初めて民間エネルギーインフラへの直接攻撃を明言したもので、出口の見えない戦況が仮想通貨(暗号資産)市場にとって最大のリスク要因として浮上しています。
イランが48時間以内に脅威を伴わずホルムズ海峡を完全に開放しない場合、アメリカはイランの発電所を攻撃し破壊する。
まず最大規模の発電所から攻撃する予定だ。
イランは即座に米国・イスラエルの湾岸資産への反撃と海峡の完全封鎖を宣言しました。この応酬により地政学リスクの再燃を警戒した投資家がリスク資産の売却に動き、8日連続の上昇でロングポジションが積み上がっていた仮想通貨市場を直撃しています。
価格下落が引き金となったロングポジションの強制清算はビットコイン関連だけで2億5,000万ドル(約397億円)超に達し、CoinGlassのデータによると仮想通貨市場全体の清算総額は約3億ドル(約477億円)規模に上っています。
ビットコイン(BTC)は過去24時間で2%超下落し68,000ドル台(約1,082万円前後)まで値を下げており、月曜日夜に迫るデッドラインへの対応が仮想通貨市場の短期的な値動きを直接左右する局面となっています。
「強気回復は2027年持ち越し」
原油高・株安・ビットコイン急落の三重苦、地政学リスクの代償
原油輸送の2割を握る海峡、封鎖の市場インパクト
ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約20%が通過する主要な輸送路であり、封鎖が現実となれば世界的なエネルギー供給に深刻な影響を与えるとされています。
この懸念を反映し、WTI原油は月曜日の早朝取引で急騰した後に乱高下しており、国際指標のブレント原油も大幅高の水準を維持したまま推移しています。
エネルギー市場の不安定化はリスク資産全体に波及し、アジア株式市場ではオーストラリアとニュージーランド市場がそれぞれ0.8%下落、日本市場も4%超の下落となるなど、地政学リスクの影響が広範に顕在化しています。
こうした環境下で仮想通貨も例外ではなく、仮想通貨取引所BTC Marketsのアナリスト、レイチェル・ルーカス氏はコインテレグラフに対し「仮想通貨は今、避難資産としてではなく株式と完全に連動して取引されている」と指摘しました。
また同氏は「センチメントは歴史的な低水準にあり、恐怖・強欲指数は『極度の恐怖』圏内の8まで落ち込んでいる」と述べており、原油高が続く限りこの連動が深まるリスクが市場全体に意識されています。
利上げ確率が急上昇、原油高が仮想通貨に二重の逆風
原油高が続けばエネルギーコストを通じてインフレ率を押し上げる経路が働き、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融緩和を先送りするどころか追加利上げに踏み切る観測も浮上しています。
ルーカス氏は、ブレント原油の急騰がインフレ期待を高め、FRBの利上げ確率はわずか1週間でゼロから12.4%へと跳ね上がったと指摘し、「これは仮想通貨市場が両面で明確な方向性を得るまで反映し続ける、重大なマクロ的価格変動だ」との見解を示しました。
FRBをめぐっては、2026年3月のFOMCでジェローム・パウエル議長がインフレの高止まりリスクを強調し、利下げ転換への期待が後退しています。
原油高によるインフレ再燃リスクが加わったことで、金融緩和の見通しはさらに遠ざかっており、BTCにとって逆風となるマクロ環境が続いています。
急落後のBTC、次に意識される価格水準
こうしたマクロ環境の悪化を受け、ビットコインの価格動向にも下押し圧力がかかっています。
ルーカス氏は68,000ドル(約1,082万円)を直近の重要なサポート水準として位置づけており、この水準を明確に下回った場合、65,800ドル(約1,047万円)が次の支持線になると分析しています。
上値については「71,500ドル(約1,138万円)を回復するまでは、どんな回復シナリオも信頼性を持たない」との見解を示しました。
一方、同氏は機関投資家の動向には楽観的な見方を維持しており、3月のビットコインETFへの純流入額が13億ドル(約2,069億円)に達していることを根拠に「タイミングは不透明ではあるものの、歴史は回復への条件が整いつつあることを示唆している」と述べています。
地政学ショック下でも機関資金の流入が続く構図は、ビットコインが短期的な投機資産から中長期的な保有対象へと性格を変えつつあることを示すものとして、市場参加者の間で関心が集まっています。
ヘイズ氏「来る好機を待つ」
イランとFRBの二重圧力、仮想通貨が自律回復できる条件
米国とイランの緊張は4週連続で高まりを見せており、交渉の対話相手も出口の時期も見えない状況が続いています。
ルーカス氏は「イラン情勢が緩和すれば、仮想通貨は最も早く回復するリスク資産の一つになる」としつつも、短期的にその判断を下すのは難しいと慎重な見方を示しています。
また、原油高を起点としたインフレ再燃と金融政策の不透明感が重なることで、仮想通貨市場は株式市場との高い相関状態に置かれています。
イラン情勢の展開とFRBの政策判断という二つの変数が同時に不透明感を増すなかで、仮想通貨市場が株式との連動から抜け出し独自の値動きを取り戻せるかどうかが当面の焦点となっています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.13 円)
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Source:ドナルド・トランプSNS投稿
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