この記事の要点
- コインベース、アンソロピック限定AI「ミュトス」確保
- 仮想通貨企業初のグラスウィング参加で防御強化へ
コインベース、AI「ミュトス」で防御刷新
米仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)は、AI開発大手アンソロピックの一般非公開モデル「Claude Mythos(ミュトス)Preview」へのアクセス権を確保したと明らかにしました。
同社の最高情報セキュリティ責任者(CISO)ジェフ・ラングルホファー氏はX(旧Twitter)への投稿で、このモデルを活用し、自社システムや利用するOSS(オープンソースソフトウェア)の防御力を高めていく方針を示しています。
Coinbase has recently gained access to the Mythos preview. We will continue to use the latest AI models to harden the security of our systems and the Open Source Software we use.
— Jeff Lunglhofer (Lunglhofer.eth) (@JLunglhofer) June 9, 2026
Coinbaseは最近、Mythosのプレビュー版へのアクセス権を取得しました。
今後も最新のAIモデルを活用し、当社のシステムおよび利用しているオープンソースソフトウェア(OSS)のセキュリティ強化に取り組んでいきます。
対象となる「Claude Mythos(ミュトス)Preview」は、高度なサイバーセキュリティ用途を想定したAIモデルで、現時点では利用できる組織が厳しく限定されています。
コインベースがアクセス権を取得したことで、これまで大手テック企業などが中心だった提供先に仮想通貨(暗号資産)関連企業も加わり、取引所のセキュリティ対策へ最先端AIの活用が広がり始めました。
コインベースCEO、新金融構想を提示
ミュトスの実力と限定提供の背景
数千件の未知の欠陥を自律発見
コインベースがアクセス権を取得した「Claude Mythos(ミュトス)Preview」は、アンソロピックが2026年4月7日に発表したサイバーセキュリティ構想「プロジェクト・グラスウィング」の中核を担うAIモデルです。
構想の発表にあわせてアンソロピックは、ミュトスが直前の数週間で主要OSや主要ウェブブラウザを含む幅広い領域から、未知の欠陥(ゼロデイ脆弱性)を数千件特定したと明らかにしました。
その具体例として同社は、堅牢性で知られるOS「OpenBSD」に27年間潜んでいた脆弱性や、動画処理で広く使われる「FFmpeg」の16年前の欠陥を、ミュトスがほぼ自律的に発見したと説明しています。
こうした成果は性能評価にも表れており、脆弱性再現ベンチマーク「CyberGym」でミュトスは83.1%を記録し、既存モデル「Claude Opus 4.6」の66.6%を大きく上回りました。
能力拡散のリスクに備えた限定提供
アンソロピックは、こうした高い脆弱性発見能力を踏まえてミュトスへのアクセスを限定しており、AIモデルが脆弱性の発見と悪用の両面で、ごく一部の熟練者を除く大半の人間を上回る水準に達したと指摘しています。
同社は、AIの進歩によってこうした能力が遠からず広く拡散し、安全な運用に取り組む主体以外にも渡る可能性があると警告しました。
アンソロピックはこうしたリスクへの対応策としてグラスウィングを立ち上げ、高度なAIを攻撃側より先に防御側へ届ける枠組みを整備し、発足時にはAWS・アップル・グーグル・マイクロソフト・エヌビディア・JPモルガン・チェースなどが参加しています。
同社はこの企業群に加え、重要なソフトウェアを開発・保守する40を超える組織にもアクセスを広げ、最大1億ドル(約157億円)分の利用クレジットを提供すると明らかにしています。
これまで公表されてきた提供先に仮想通貨関連企業は含まれておらず、コインベースの投稿によって、この枠組みが仮想通貨分野にも広がったことが確認されました。
コインベースの被害経験とAI活用の意義
コインベースは2025年5月、海外のサポート担当者が犯罪者に買収され、氏名や連絡先など一部顧客データが盗まれた被害を公表しています。
同社は被害の公表とあわせて約2,000万ドル(約31億円)の身代金要求を拒否し、同額の報奨金を設けて摘発につながる情報提供を呼びかけました。
こうした被害は、暗号資産取引所が日常的に高度なサイバー攻撃の標的となっている実態を示しており、防御側が最先端AIを活用できるかどうかは、預かり資産の安全性にも関わる課題となっています。
今回確保したアクセス権を活用すれば、公開モデルでは難しい高度な脆弱性検証を自社システムやOSSにも展開できる可能性があります。
Coldcard被害拡大、約140億円に
ミュトス利用拡大へ、新たなセーフガードも
一方のアンソロピックは、この限定提供を段階的に拡大する方針を示しており、リサーチプレビュー(先行提供期間)の終了後には、参加企業が入力・出力100万トークンあたり25ドル・125ドルでミュトスを利用できると説明しています。
その前提として同社は、危険な出力を検知・遮断する新たなセーフガードを今後のClaude Opusモデルへ搭載し、ミュトス級モデルをより安全な形で提供できる環境の整備を進める方針です。
コインベースへの提供に続き、今後は対象組織の拡大にあわせて、ミュトスを利用できる企業も増えていく見込みです。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.71 円)
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Source:ジェフ・ラングルホファー氏X投稿 / Anthropic「Project Glasswing」
サムネイル:AIによる生成画像



























