この記事の要点
- MUFG、270兆円の国債レポをブロックチェーン化へ
- 27年度にも即時決済導入、資金拘束の軽減目指す
270兆円の国債レポ、ブロックチェーン化へ
2026年8月12日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、日本国債のレポ取引をブロックチェーン上で即時決済する仕組みの実証に乗り出し、2027年度にも導入する方針であることが明らかになりました。
日本経済新聞の報道によると、実証の対象は、金融機関が国債を担保に短期資金を借り入れるレポ取引で、金利上昇を背景に取引残高が増加し、2025年時点で270兆円に達しています。
こうした大規模な市場では現在も約定から決済まで1営業日を要する「T+1」が標準となっており、市場参加者は決済に備えて余剰資金を確保しておく必要があります。
MUFGが目指す即時決済が実現すれば、この資金拘束を抑えられるため、機関投資家は手元資金をより効率的に運用できるようになります。
同社は決済手段として、三菱UFJ銀行が発行を検討するトークン化預金や、3メガバンクが準備を進めるステーブルコインの活用を想定しており、2027年度から2029年度中の商用化を目指す方針です。
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Progmat採用で年内実証、米国に追随
実取引データでブロックチェーン決済を検証
報道によれば、実証では三菱UFJモルガン・スタンレー証券が実際に手がけたレポ取引のデータをもとに、決済指示をブロックチェーンへ送信して処理の流れを検証します。
この決済処理には、デジタル資産インフラを手がけるProgmat(プログマ)のシステムと、米Digital Asset(デジタルアセット)社のブロックチェーン技術を組み合わせた基盤を使用する計画です。
一方、国債そのものをトークン化して発行する手法は法的な論点が整理されていないため採用されず、今回はレポ取引の決済にブロックチェーンを活用する手法が採用されたと報じられています。
この実証を担う三菱UFJモルガン・スタンレー証券は2025年度の国債入札で落札総額のトップとなっており、MUFGは今回の取り組みが国債の安定的な消化に寄与するとの見方を示しています。
3メガら39組織がWG参画、10月報告書
MUFGが単独で実証を進める一方、業界横断で商用化を検討する枠組みも立ち上がっており、Progmatは2026年5月8日、トークン化国債・オンチェーンレポのワーキンググループ(WG)を設置したと発表しました。
このWGには3メガバンクや大和証券、SBI証券、ブラックロック・ジャパンなど39の組織が名を連ね、技術や制度面の課題を整理したうえで、同年10月に報告書を公表する予定です。
こうした共同検討と並行して、みずほフィナンシャルグループや野村ホールディングスなど4社も4月20日、日本国債をデジタル担保として扱う仕組みの実証を9月末まで進めると発表しています。
米国では実証超え商用化、日本に先行
日本で商用化に向けた実証や検討が相次ぐなか、米国でも国債取引のオンチェーン化が進んでおり、米証券保管振替機関(DTCC)は2025年12月、SEC(米証券取引委員会)の容認を受けて米国債などのトークン化計画を公表しました。
DTCCがトークン化を計画する一方、米JPモルガンはすでに自社基盤「Kinexys(キネクシス)」上で日中のレポ取引を商用化しており、累計3,000億ドル(約48兆円)超の取引を処理したとしています。
JPモルガンは担保のやり取りをブロックチェーン上で完結させ、市場が閉じた時間帯でも即時に近い決済を可能にしており、米国では実証段階にある日本に先行して商用化が進んでいます。
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BOOSTRY参入で裾野拡大、制度整備が課題
国内では国債レポのブロックチェーン化に向けた動きが金融機関以外にも広がり、デジタル証券基盤を手がけるBOOSTRY(ブーストリー)は2026年8月4日、米Digital Assetと協業し、Canton Network対応のマルチチェーンウォレットを年内に提供すると発表しました。
BOOSTRYはレポ取引のブロックチェーン化にも取り組む方針を示す一方、日本国債のオンチェーン化には制度設計や法的論点が残されており、商用化に向けて技術と制度の両面で検討が続いています。
こうした制度面の論点が残るなか、MUFGは年内に実証を完了する計画で、Progmat主導のWGも2026年10月に報告書を公表し、年内に商用化の可否を判断する方針です。
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Source:日本経済新聞報道
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