この記事の要点
- 米財務省が対イラン新制裁を発動、仮想通貨など5分野が対象に
- 制裁は世界の仮想通貨事業者にも拡大、二次制裁の対象に
仮想通貨含む5分野に対イラン制裁を発動
米財務省は2026年8月24日、イラン経済の孤立を狙う新たな制裁作戦「Operation Economic Outcast(経済的追放作戦)」の開始を発表しました。
ベッセント財務長官は24日を「経済Dデイ」と呼び、仮想通貨・テクノロジー・金(ゴールド)・航空・海運の5分野を対象とする分野別制裁を打ち出しています。
大統領令13902号に基づく今回の措置により、財務省外国資産管理局(OFAC)は所在地を問わず、イラン経済の対象5分野で活動する外国の個人・法人を新たに制裁指定できるようになりました。
制裁対象が仮想通貨分野にも広がったことで、イランの制裁回避や資金移動に関与する仮想通貨(暗号資産)事業者は、米国外に拠点を置く場合でも二次制裁によって米国の金融システムから遮断されるリスクを抱えることになります。
設立背景に権力中枢一族が浮上
仮想通貨を主要制裁対象へ、約60件をリスト化
イランの制裁逃れ資金、仮想通貨経路を封鎖
財務省は仮想通貨を主要な制裁対象に加えた理由として、イラン政権が仮想通貨を制裁回避の手段として利用している実態を挙げています。
こうした資金の流れを断つため、OFACは同日、核・ミサイル技術の調達やサイバー工作、石油収入に関与した約60の個人・団体・船舶をSDNリストに追加しました。
工作員の仮想通貨アドレスを特定
新たな制裁対象には、イラン情報省(MOIS)の指揮下で米国の重要インフラへの侵入を繰り返してきたサイバー集団のメンバーも含まれると財務省は説明しています。
メンバーの一人であるアルマン・カザディアン氏は仮想通貨の窃取にも関与し、2023年夏には3万ドル(約480万円)相当のビットコイン(BTC)を保有するウォレットを不正に掌握したとされています。
OFACはカザディアン氏を含む複数の工作員について、ビットコインやイーサリアム(ETH)、トロン(TRX)のブロックチェーン上のウォレットアドレスをSDNリストに記載しました。
イランの「影の艦隊」に仮想通貨決済網
財務省はサイバー工作員に加え、イランの石油密輸ネットワークで資金移動や決済処理を担ったとされる人物も、一連の指定の対象に加えました。
このうち、UAEを拠点とするイワン・オブホフ氏は、2023年以降にIRGC傘下のコッズ部隊のために1億ドル(約160億円)を超える仮想通貨決済を処理したと財務省は説明しています。
オブホフ氏はイランの「影の艦隊」と呼ばれる石油輸送船の仲介にも携わっており、OFACはUAEの企業Foscom FZEを同氏の関連企業として指定しました。
今回の制裁では、サイバー攻撃を通じた仮想通貨の窃取に加え、石油収入などの資金移動に仮想通貨を利用する行為も取り締まりの対象となっています。
「保険料」強要のイラン企業を制裁
対イラン制裁、取引所から仮想通貨分野全体へ
米財務省は今回の措置に先立つ2026年6月2日にも、イラン最大の仮想通貨取引所Nobitex(ノビテックス)を含む4取引所をSDNリストに指定しており、仮想通貨を利用した制裁回避への圧力を強めてきました。
仮想通貨を含む5分野へ対象を広げた今回の作戦について、ベッセント長官は「ゼロ漏洩のアプローチを実施する」と述べ、イラン政権がテロを実行する能力を再建する余地を一切残さない方針を強調しました。
取引所への個別指定から仮想通貨分野全体へと制裁対象が広がったことで、取引所やステーブルコイン発行体を含む世界の事業者も、イランに関連する取引やウォレットを巡る二次制裁のリスクに直面することになります。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=159.15 円)
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