イラン最大手仮想通貨取引所、設立に最高指導者一族が関与|制裁回避疑惑も

イラン最大手仮想通貨取引所、設立に最高指導者一族が関与|制裁回避疑惑も

この記事の要点

  • ロイター調査報道でNobitex設立に最高指導者一族関与判明
  • 制裁対象機関の資金移動や回避疑惑が浮上、米議会・規制対応が焦点に
目次

Nobitex、設立背景に権力中枢一族が浮上

2026年5月1日、イランの最大手仮想通貨取引所「Nobitex(ノビテックス)」が、故アリー・ハメネイ前最高指導者の一家と深い関係を持つハラジ家の兄弟2人によって設立されていたことが、ロイターの調査報道で明らかになりました。

同取引所は1,100万人以上の顧客を抱える国内最大規模の事業者であり、制裁対象の国家機関による資金移動にも利用されていたことが報じられています。

さらに報道によれば、設立者のアリー・ハラジ氏とモハンマド・ハラジ氏は企業登記や経歴において「アグハミル」という別姓を使用し、ハラジ家との関係を伏せてきたとされています。

ハラジ家の系譜とNobitex制裁関連取引の実態

3代の最高指導者と結びつくハラジ家の系譜

ハラジ家はイランの権力中枢と世代をまたいだつながりを持つ名門一族で、現最高指導者モジュタバー・ハメネイ師を含む歴代3人の最高指導者すべてと婚姻関係にあるとロイターは報じています。

設立者2人の祖父は、最高指導者の任命権を持つ機関「専門家会議」の委員を務め、モジュタバー・ハメネイ師の家庭教師も担っていたといいます。

父親のアーヤトッラー・バーゲル・ハラジ師は「ヘズボラ」という名称を冠するイランの政治団体を設立し、1979年のイラン革命後には革命防衛隊(IRGC)の初期人事にも関与したと伝えられています。

分析各社が示すNobitex関連資金の規模

こうした政治的背景のもとで設立されたノビテックスをめぐっては、制裁対象企業やウォレットとの取引を処理していた可能性が複数のブロックチェーン分析企業から指摘されており、関与する資金規模に大きな幅があることが確認されています。

Elliptic(エリプティック)は疑わしい資金流通額を約3億6,600万ドル(約574億円)と算定しています。

一方、Chainalysis(チェイナリシス)は約6,800万ドル(約107億円)と算定しています。

Crystal Intelligence(クリスタル・インテリジェンス)は制裁対象ウォレットからの直接送金を約2,200万ドル(約34億5,000万円)と示しており、算定範囲や手法の違いが数字に表れています。

またエリプティックの分析では、こうした推計とは別に、イランの中央銀行に関連するウォレットが2025年前半に約3億4,700万ドルの仮想通貨をノビテックスに送金していたと報告されています。

このほかロイターは、詐欺罪で有罪判決を受けたイランの億万長者バーバック・ザンジャーニ氏が公開したウォレットアドレスの分析結果にも言及しており、少なくとも2,000万ドル(約31億4,000万円)の国家資金がノビテックスを経由して別のウォレットへ移転されたと報じられています。

ネット遮断下でもNobitexが取引処理を継続

これらの資金フローが指摘される一方で、ノビテックスはイランとイスラエル・米国が関与する武力衝突下でも稼働を継続しました。

クリスタル・インテリジェンスはロイターに対し、全国的なインターネット遮断下においても1億ドル(約157億円)超の取引が処理されたと報告しています。

一方でノビテックスは政府との関係を否定し、違法取引は全体の取引量のごく一部にすぎないとの立場をとっています。

こうした状況の中、米国は4月25日、対イラン制裁の一環としてOFAC(外国資産管理局)を通じイラン関連ウォレット2件を制裁対象に指定しました。

同局はTether(テザー)社と連携し、合計3億4,400万ドル(約547億円)相当のUSDTを凍結しています。

Nobitexをめぐる制裁回避疑惑、米議会も注視

ノビテックスをめぐる制裁回避の動きは、今回のロイター調査のほかにも複数の独立した調査で裏付けられています。

2026年1月にはブロックチェーン分析企業TRM Labsが、IRGCが2023年以降に約10億ドル(約1,570億円)相当の仮想通貨を英国登録の取引所経由で移動させていたとする報告を公表しました。

さらに同年2月末の米イスラエルによるイラン空爆直後には、ノビテックスからの仮想通貨流出量が通常の約700%に急増したとの分析が報告されています。

今回の調査について、米上院銀行委員会のエリザベス・ウォーレン議員はロイターへの声明で「これは点滅する赤信号だ」と述べ、デジタル資産が敵対国に利用されていると警告しました。

ハラジ家やノビテックスはいずれも西側諸国の制裁リストには記載されておらず、米財務省が同取引所を直接的な制裁対象に加えるかどうかが今後の焦点となっています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=156.89 円)

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Source:ロイター調査報道
サムネイル:AIによる生成画像

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