「ビットコイン専用保険」という新しいジャンルの保険が続々と登場している。
保険を打ち出しているのは国内最大手取引所の「ビットフライヤーと三井住友海上火災保険」のタッグと国内二番手の取引所「コインチェックと東京海上日動火災」のタッグだ。
ビットコイン保険誕生の背景には、4月の仮想通貨法案成立後ビットコイン取引を行う個人や決済を導入する店舗が増加し、それに伴い「ビットコインにまつわるトラブル」が増加しているためだ。
最も多いのが「送金エラー」と「不正ログイン」によるビットコインの直接的な損失だ。
確かにビットコイン取引は「個人の自己責任」だが、ビットコイン業界全体のことを考えると、そうは言っていられない状況まで問題が大きくなったのだろう。
今回は「ビットコイン取引を保証する保険」についてレポートしていきたいと思う。
ビットコイン盗難保険【個人ユーザー用】
こちらの保険は「取引所アカウント」が第三者に悪用され、個人がビットコインなどが取引所ウォレットから盗難された場合に適用される保険だ。
こちらの保険はビットフライヤーユーザー、コインチェックユーザーどちらも 2段階認証設定済みのアカウントに自動適用されるようだ。
両取引所とも 6月から開始する予定と発表していたが、現状公式アナウンスは見当たらない。
ちなみに両取引所の保障の範囲は異なるので下記にまとめている。
ビットフライヤー
・保障適用ユーザー 2段階認証設定済みかつ日本円出金時、二段階認証ユーザー
・保証金 資産 100万円以下(最大 10万円)100万円以上(最大 500万円)
・保障対象 日本円
コインチェック
・保障適用ユーザー 2段階認証設定済みユーザー
・保証金 最大 100万円
・保障対象 なりすまし被害による日本円、BTC
両取引所の最も大きな違いは「ビットコインを保障対象」としているかどうかだ。
ビットフライヤーは「日本円が持ち出された場合にのみ」保障され、コインチェックは「日本円とビットコインが持ち出された場合」に保証する。としている。
ビットフライヤーは「ビットコインで被害が出た場合」は保障の “対象外” としている。
この保障の範囲は今後変わってくると考えられるので、公式のアナウンスを待ちたい。
ビットコイン送金エラー・ハッキング保険【事業者用】
事業者専用のビットコイン保険は、混雑時の送金エラーやハッキング被害にあった際に保証している。こちらは先ほどの保険内容とは違い、ビットコイン決済を導入している店舗や新しい取引所の保護を目的とした内容になっている。
特に「混雑時の送金エラー」に関しては、その店舗の商品売買時に「顧客は送金した」にもかかわらず「店舗が受け取れない」場合という最悪のケースの保障をしているので、事業者としても安心できる内容だ。
ビットコインの利用環境はまだまだ完全とはいえず、送金エラーが未だ起きていることを考えるとこ今回の保険はビットコイン取り扱い店舗増加の手助けになるだろう。
「ビットコインが使えるお店一気に57倍へ!ビックカメラも参入決定」でもお伝えしたが、ビットコインが使えるお店は増加傾向にあり、トラブルが増加することは当然考えられる。
ビットコインサイバー保険
こちらの保険はビットフライヤーと MS&ADインシュアランスグループの三井住友海上火災保険株式会社が提供する。ビットコイン事業者向けに、サイバー攻撃等を補償する専用保険だ。
同社は一般社団法人日本ブロックチェーン協会( JBA )を通じてビットコインの利用者保護の取り組みを推進してきたが、この保険は国内初となるビットコイン事業者向けのサイバー保険となった。
内容としては、「サイバー攻撃等によって発生したビットコインの盗難、消失等に対する損害賠償」「事故対応
に必要となる各種対策費用(見舞金費用・コンサルティング費用・原因調査費用・被害拡大防止費用など」までが補償対象となっている。
またサポート体制も整っており専門知識・技術を要する原因調査や証拠保全等の事故対応について専門事業者も紹介、被害を未然に防止するための情報漏えいリスク、サイバーリスク対策サービスを提供している。
これらの保険の存在がビットコイン決済導入店舗の増加につながり、結果としてビットコインユーザーの増加等につながればそれに越したことはない。
利用者・事業者保護は今後、ビットコインが通貨として利用が拡大していく上で非常に重要な要素になってきた段階に入っていると考えられる。