仮想通貨取引所の安全性ランキング「Coinbase Pro」が1位に ー ICORating
仮想通貨取引所のハッキング被害が相次いで報告されている今、それらの取引プラットフォームにはより強固なセキュリティが求められています。米国の格付け機関である「ICORating」は、安心して利用できる取引所を見分けるための一つの基準として、合計100社を対象として調査を行った上で「最も安全性の高い取引所」として「Coinbase Pro」を1位として発表し、その他の企業をランキング形式でまとめたレポートを公開しています。
こちらから読む:最も安全と評価された仮想通貨取引所「Coinbase」とは
安全な仮想通貨取引所は「一つもない」
アメリカの格付け機関である「ICORating」は、1日の取引高が100万ドルを超えている世界各国の主要な仮想通貨取引所100社の「セキュリティの強さ」をランキング形式でまとめたレポートを公開しました。この報告書は、仮想通貨の調査および格付け機関によって実施された調査結果に基づいて作成されています。
10月2日に公開されたこのレポートによると、トップにランクインする仮想通貨取引プラットフォームの半数以上はセキュリティが不十分であるとされています。つまり現時点では、非常に多くの人々がハッキングの犠牲になる可能性があるということになります。
このレポートでは、過去8年間に渡って31の仮想通貨取引プラットフォームから13億ドル(約1,480億円)相当の仮想通貨が盗み出されたと報告されており、現在は仮想通貨取引所の数が増加していることから、1つの仮想通貨取引所がハッキングされることによって「仮想通貨市場全体が低迷する」といった問題には発展しないものの、ハッキング被害を確実に防止できるだけのセキュリティを備えている仮想通貨取引所は1つもないと指摘されています。
2018年は、1月に約580億円相当の被害をもたらしたCoincheck(コインチェック)のハッキング騒動から始まり、Bitgrail、Coinrail、Bithumb(ビッサム)、Zaif(ザイフ)といった数々の大手仮想通貨取引所が被害を受けています。
仮想通貨取引所の安全性ランキング|ICORating
今回の調査では、仮想通貨取引所のセキュリティの脆弱性を
・コンソールエラー
・ユーザーアカウントの安全性
・レジストリーとドメインの安全性
・ウェブプロトコルの安全性
という4つの面を基準として分析が行われています。
今回発表されたランキングのトップ30位の評価結果は次の通りです。
Rank | Name | Console Errors | User Security | Registrar & Domain Security | Web Security | Score |
1 | Coinbase Pro | 2/2 | 4/4 | 3,5/5 | 5/5 | 89 |
2 | Kraken | 2/2 | 4/4 | 2/5 | 5/5 | 80 |
3 | BitMEX | 2/2 | 4/4 | 2/5 | 5/5 | 78 |
4 | GOPAX | 2/2 | 4/4 | 2/5 | 5/5 | 78 |
5 | CPDAX | 1/2 | 4/4 | 2/5 | 5/5 | 74 |
6 | Bitlish | 2/2 | 3/4 | 2/5 | 5/5 | 74 |
7 | BtcTurk | 2/2 | 3/4 | 2/5 | 5/5 | 74 |
8 | Cobinhood | 0/2 | 4/4 | 4/5 | 3/5 | 71 |
9 | Hotbit | 2/2 | 3/4 | 3/5 | 4/5 | 69 |
10 | Coinut | 1/2 | 2/4 | 2,5/5 | 5/5 | 69 |
11 | Luno | 1/2 | 4/4 | 1/5 | 5/5 | 68 |
12 | Ethfinex | 2/2 | 4/4 | 2/5 | 4/5 | 67 |
13 | Bittrex | 2/2 | 3/4 | 2,5/5 | 4/5 | 66 |
14 | UEX | 2/2 | 2/4 | 3/5 | 4/5 | 65 |
15 | Bancor Network | 1/2 | 4/4 | 2/5 | 4/5 | 65 |
16 | Coinhub | 1/2 | 4/4 | 3/5 | 3/5 | 64 |
17 | Binance | 1/2 | 4/4 | 2/5 | 4/5 | 63 |
18 | HitBTC | 2/2 | 3/4 | 2/5 | 4/5 | 63 |
19 | ABCC | 1/2 | 4/4 | 2,5/5 | 3/5 | 61 |
20 | DSX | 2/2 | 4/4 | 0.5/5 | 4/5 | 61 |
21 | Coinroom | 2/2 | 4/4 | 2/5 | 3/5 | 59 |
22 | Bitbank | 1/2 | 3/4 | 2/5 | 4/5 | 59 |
23 | xBTCe | 1/2 | 4/4 | 2/5 | 3/5 | 58 |
24 | Bibox | 0/2 | 3/4 | 4/5 | 2/5 | 56 |
25 | DragonEX | 2/2 | 4/4 | 1,5/5 | 3/5 | 56 |
26 | DigiFinex | 1/2 | 3/4 | 4/5 | 1/5 | 55 |
27 | YoBit | 1/2 | 4/4 | 2/5 | 3/5 | 55 |
28 | Livecoin | 2/2 | 4/4 | 2,5/5 | 2/5 | 54 |
29 | CoinEx | 1/2 | 2/4 | 3/5 | 3/5 | 53 |
30 | Rfinex | 1/2 | 2/4 | 2,5/5 | 3/5 | 53 |
最も安全な仮想通貨取引所は「Coinbase Pro」
「ICORating」が発表した今回のレポートでは、米国の大手仮想通貨取引所であるCoinbase(コインベース)が今年新たに発表した「Coinbase Pro」が最も安全性の高い取引プラットフォームとして選ばれています。
日本の仮想通貨取引所としては、以前からセキュリティ面で高い評価を受けていたbitbank(ビットバンク)が22位にランクインしています。
しかしながら、日本のその他の仮想通貨取引所は30位以内には入っておらず、
・bitFlyer(ビットフライヤー)ー37位
・Zaif(ザイフ)ー89位
という結果になっています。
また世界的にも有名な大手仮想通貨取引所の順位としては、
・BINANCE(バイナンス)ー17位
・Huobi(フォビ)ー47位
・Bitfinex(ビットフィネックス)ー54位
・Gemini(ジェミニ)ー55位
となっており、取引量のランキングに比べるとやや低め評価となっている仮想通貨取引所が数多く見られています。
仮想通貨取引所の主な問題点
ユーザーアカウントのセキュリティに関連する問題のほとんどは、
・パスワードの強度
・電子メールによる承認
・二段階認証(2FA)
となっており、8文字以内のパスワードを認めている仮想通貨取引所が全体の41%、アルファベットもしくは数字のみでのパスワードを認めている取引所が37%となっており、パスワード設定の基準が低い傾向が明らかになっています。
しかし「電子メールによる確認」を行っていない仮想通貨取引所は5%、「二段階認証」を実施していない仮想通貨取引所は3%となっているため、これらの面に関しては以前に比べると状況が大幅に改善していることが示されています。
重要な問題点としては「ドメインのセキュリティ」の面が目立っており、調査対象となった100の仮想通貨取引所のうちドメインの安全性の面で"満点"を獲得した取引所「ゼロ」という結果になっています。
仮想通貨の保管は「自分自身で」しっかりと
仮想通貨取引所の安全性の欠如については、以前から度々指摘する意見が出ています。基本的には取引する予定のない仮想通貨は取引所のウォレットで保管するのではなく、コールドウォレットなどの自分自身で管理することができる安全なウォレットへと移すべきだという指摘はこれまでにも数多く語られてきました。
今回のレポートからも"自分自身で仮想通貨を安全に管理すること"の重要性がはっきりと示されているため、仮想通貨取引所に預けたままの仮想通貨がある方は今回のレポートも参考にしながら、改めて大切な資産の管理方法を検討されてみてください。
今回「ICORating」から発表された仮想通貨取引所の調査に関するレポートの詳細は以下のリンクからどうぞ。
>ICORatingが公開したレポートはこちら
資産管理に関する記事はこちら
bitbankの登録方法はこちらで詳しく解説しています