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ステーブルコイン:ジェミニドルの流通量「約80%」がHuobiに|集中化の理由と懸念点
暗号資産やブロックチェーン関連のニュースを配信している「The Block」は、現在発行されている「ジェミニドル(Gemini Dollar/GUSD)」の「78.6%」が仮想通貨取引所Huobi(フォビ)のウォレットに保管されていることを報告しています。このデータは「新しい通貨」として2019年注目の話題の一つとされている「ステーブルコイン」の問題点を示している可能性があります。
こちらから読む:様々な種類が発行される「ステーブルコイン」関連ニュース
GUSD流通量の「78.6%」がHuobiウォレットに
「The Block」が2019年1月5日に公開したデータによると、現在市場に出回っている「GUSD」の「78.6%」がHuobiのウォレットに保管されているとされています。このGUSDは約7,080万ドル(約77億円)に相当します。
GUSD保有者の割合(画像:theblockcrypto.com)
Huobiは「GUSD」以外のステーブルコインに関しては、3つのコインを合計しても700万ドル(約7億6,000万円)未満しか保有していないとも報告されているため、Huobiに「GUSD」で入金を行い、その他の資産で出金を行っている可能性があると考えられています。
このデータは複数の面で注目に値します。GUSDは米国の仮想通貨取引所Gemini(ジェミニ)が発行しているステーブルコインですが、今回のデータでは「Gemini」が保有するGUSDは全体のわずか「0.1%」であるとされています。「GUSD」が発表されたのは2018年9月であり「HUSD」が発表されたのは翌月10月となっているため、半年も経たないうちに発行されたGUSDの約8割がHuobiに集中したことになります。
Huobi Dollar(HUSD)の仕組み
仮想通貨取引所Huobi(フォビ)が昨年発表したHuobi Dollar(HUSD)は、Huobiが取り扱う、
・Gemini Dollar(GUSD)
・Paxos Standard Token(PAX)
・TrueUSD(TUSD)
・USD Coin(USDC)
という4種類のステーブルコインの利便性を高めるための"ソリューション"となっており、ユーザーは入金したステーブルコイン以外のステーブルコインでも出金を行うことができるようになっています。
例えばユーザーが「1GUSD」を入金した場合、一般的な取引所ではアカウント残高に「1GUSD」が追加されることになりますが、Huobiで「1GUSD」を入金した場合にはアカウント残高に「1HUSD」が追加されることになります。HUSDは上記4種類のステーブルコインを統合する通貨(ソリューション)となっているため、「GUSD」を入金して獲得した「HUSD」はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨だけでなく「USDC」で出金することもできます。
米ドル(USD)の価値に裏付けされた複数のステーブルコインを気軽に変換することができるこのソリューションは「リスク軽減」なども期待できる"新しいアイデア"として注目を集めていますが、
・連動する通貨の「過剰発行」による不安定化
・各発行者に対する「信頼」がもたらす影響
・各種通貨の「価格変動」に対する懸念
・「マネーロンダリング」への対処の難しさ
などといった複数の問題点を懸念する声も出ていました。今回報告されている「GUSDの集中化」はこれらの問題が絡んでいる可能性があると考えられています。
Gemini Dollar(GUSD)が「Huobi」に集まる理由
ジェミニドル(Gemini Dollar/GUSD)が「Huobi」に集中している理由としては、次のようなことが原因となっている可能性があると考えられます。
GeminiまたはGUSDに対する「信頼の低下」
ジェミニドル(Gemini Dollar/GUSD)やそれを発行する仮想通貨取引所Geminiに対する信頼が低下することによって、GUSDがその他の仮想通貨やステーブルコインに変換されている場合には、その仲介者となっている「Huobi」にGUSDが集まる可能性があると考えられます。
しかし今のところはGeminiなどの信頼を低下させるような報道は確認できていないため、この可能性は低いと考えられます。
各種ステーブルコインの「価格差」を利用したトレード
HUSDが統合しているステーブルコインは、米ドル(USD)の価格と連動して価値が変動するように設定されていますが、これら4種類の通貨全てが「完璧に米ドルの価格と一致している」というわけではありません。
CoinMarketCapのデータによると、記事執筆時点の各種通貨の価格は「1USD=108.53円」となっているのに対して、
1GUSD=108.58円
1PAX=109.33円
1TUSD=109.55円
1USDC=109.69円
となっており、それぞれの通貨の価格差が1円〜2円ほど開く場合があります。「GUSD」は最も米ドルの価格に近いものの、その他のコインはそれよりもやや高値になっているため、安値で購入した「GUSD」をHuobiを通じて「USDC」などに交換することによって、トレーダーはその差額分で利益を得ることができます。
このような手法をとるトレーダーは以前から複数存在しているため、今回の件に関しても価格の安い取引所で購入した「GUSD」をHuobiに移動させ、その他の通貨に変換している可能性があると考えられます。これら4種類のステーブルコインに関しては「GUSD」が最も価格が安いため、このようなトレードが実際に行われている可能性はあると考えられます。
ステーブルコインは「新たな通貨」となるのか?
現時点では、実際に何が原因となってHuobiに「GUSD」が集中しているのかを特定することは難しいですが、「新しい通貨」として2019年の発展に注目が集まっている「ステーブルコイン」の将来を考える上で、今回の動きは注目すべき一つの事例であると言えるでしょう。
Gemini Dollar(GUSD)が発表された当時、GeminiのCameron Winklevoss(キャメロン・ウィンクルボス)氏は、GUSDは「将来のお金」への架け橋を築くための必要なステップの一つであると語っていました。
これから各種ステーブルコインの「買い」と「売り」のバランスが保たれて価格差が縮まり、Huobiに集まった「GUSD」が分散化されることになるのであれば、大きな問題にはならないと考えられますが、Huobiの保有量がこのままさらに増加し続けていくことになれば、"価格差の影響"や"ステーブルコインに対する信頼"のなど問題が発生し、何かしらの対策が必要になる可能性も考えられます。
専門家たちの間では『2019年は"ステーブルコインの年"になる』とも言われているため、現在Huobiに集中化している「GUSD」がこれからどのような動きを見せるのかには注目が集まります。
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