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ベネズエラ独自の仮想通貨ペトロ(PTR)に厳しい意見相次ぐ

2月20日、ベネズエラ政府は独自の仮想通貨ペトロ(PTR)のプレセールを開始しました。ベネズエラ政府によると、国家が仮想通貨を発行するのは世界で初めてとのことです。

米国とEUの経済制裁による外貨不足を補い、財政破綻を防ぐのが目的とみられますが、裏付けの根拠とされているベネズエラの原油埋蔵量の信頼性を疑問視する声もあります。

ペトロの価格は、原油1バレルの価値に相当する1ペトロ当たり60ドル(約6400円)で、ICOを使って国外の投資家から資金を募っています。計画通り発行上限の1億ペトロを売り切れば、調達額は60億ドル(約6400億円)となります。

マドゥーロ大統領は、すでに790億円相当の購入の申し込みがあったことを明らかにしており「上々の滑り出しだ」と語っています。

しかし、英BBC放送(電子版)によると、ベネズエラが抱える対外債務は1400億ドル(約15兆円)規模とみられており、国債や国営ベネズエラ石油の社債の利払いなど大規模返済の期限が今年4月に迫っているため、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性が指摘されています。

制裁によって対外債務などの返済が遅れているうえ、新たな外貨調達ができず食料、医薬品などの輸入も滞っています。さらに外貨獲得の命脈である原油生産は設備の老朽化によって低下しており、石油輸出国機構(OPEC)によると、1月の原油生産量は日量160万バレルで前年同月比20%減と、過去15年間で最低となっています。

米財務省はペトロの取引が経済制裁に抵触するとしており、ベネズエラ政府への国際的な信頼が低下していることから、仮想通貨の取引事業者などからは、流通を疑問視する声が上がっています。

一部の専門家からは、

「原油の裏付けはなく仮想通貨ではない」

という声もあがっており、
ワシントンのシンクタンク大西洋協議会のベネズエラ専門家、マリアノ・デ・アルバ氏は

「ベネズエラの原油で通貨を担保すると言うが、政府の説明によると、政府は通貨と石油の交換を保証していない。交換できるのは、ベネズエラの通貨ボリバルだけで、ボリバルにはほとんど価値がない」

とコメントするなど、厳しい意見が相次いでいます。

通貨ボリバルの暴落により、ベネズエラ政府は経済を破綻から救う方策を模索せざるを得なくなりました。ベネズエラのインフレ率は過去12カ月で4115パーセントに達し、ボリバルがその価値の96パーセントを失ったことで、ベネズエラ経済は下降の一途を辿っています。