暗号資産(仮想通貨)「テザー(Tether/USDT)」に関する基本情報や特徴をなどをわかりやすく解説するとともに、取扱う暗号資産取引所・価格・チャート・関連リンクなどの情報もまとめて掲載しています。
テザー(Tether/USDT)とは?
テザー(Tether/USDT)とは、Tether社によって2015年2月に発行された米ドル(USD)と同等の価値を持つように設計された仮想通貨です。テザーのように”安定した価格を実現するように設計された仮想通貨”は「ステーブルコイン」と呼ばれていますが、USDTはステーブルコインの中でも時価総額ランキングTOP5以上をキープしている代表的なステーブルコインとして知られています。
当初のテザーは、ビットコインのブロックチェーン上でトークンを発行するためのソフトウェアレイヤーである「オムニレイヤー」を通信プロトコルとして使用していましたが、現在はイーサリアム・イオス・トロンなどのブロックチェーン上で発行されています。
ビットコインのような価格変動の激しい仮想通貨とは対照的に、米ドルと連動して「1USDT=1USD(約100円)」の価値を保っているテザーは、世界中の暗号資産取引所で”基軸通貨”としても採用されているため、取引所間の資金移動などにも利用されています。
「USDTの裏付け資産に関する疑惑」について
テザー(Tether/USDT)は、”発行額と同額の米ドルを準備金としてTether社が蓄えた上で、必要に応じてUSDT利用者の引き出し申請に対応できるようにしておく”という「カレンシーボード制」をとることによって通貨の信頼性を確保していますが、『テザーが本当に額面通りの裏打ちを持っているか』に関しては議論が交わされています。
Tether社は大手暗号資産取引所「Bitfinex(ビットフィネックス)」と近い関係にありますが、両社の関係には様々な疑問が投げかけられており、『裏打ちの無いUSDTが大量に発行されてBitfinexへと流れ込み仮想通貨バブルを後押ししているのではないか』といった声も出ています。
Tether社は元々『USDTは100%会社の準備金によって調達されている』と主張していましたが、2019年4月には同社の弁護士らが『USDTの74%のみが”現金や現金同等物”によって裏付けられている』と公表しました。しかし同社はその後2019年11月に”207年のビットコインバブル”についてUSDTを非難した学術論文に反論する形で『USDTは完全に裏付けられている』と述べています。
もしもTether社が資産の裏付け無しにUSDTを発行していた場合には「Tether社は好きなだけ通貨を発行できる」ということになるため、仮想通貨業界ではこれらの問題が重要視されています。裏付け資産が準備されていなかった場合には、USDT保有者が一斉に米ドルへの換金を求めた場合に”換金できない”という問題が発生しますが、USDTは”仮想通貨の購入”にも使用されているため、USDT以外の仮想通貨の価格・時価総額などにも影響を与えている可能性があると懸念されています。
Tether・Bitfinex「ニューヨーク司法当局と和解」
(追記:2021年2月24日)
「Bitfinex(ビットフィネックス)」と「Tether(テザー)」は2021年2月23日に、同社を訴えていたニューヨーク州司法長官事務所との和解に達したことを発表しました。
「テザー問題」をめぐっては約2年半にもわたって調査や書類提出などが行われていましたが、この発表の中では「1,850万ドル(約19億5,000万円)の損害賠償金支払い、準備金に関する報告書の定期的な提出、Bitfinex社とTether社間の取引開示、ニューヨーク居住者へのサービス提供停止」などの条件のもとで和解に達したということが報告されています。
なお、Tether社とBitfinexは和解金を支払うことによって一連の裁判に決着をつけることとなりましたが、公式発表の中では『私たちは不正行為を行なったという点は認めていない。今回の和解金額は”この問題を解決して私たちの事業に集中したい”という私たちの願いの強さを示すものだと見なされるべきだ』と説明されています。
USDT準備金などに関する報告書公開
(追記:2023年5月11日)
Tether社は2023年5月10日に、2023年3月31日付の準備資産に関する報告書を公開し、金やビットコインの保有量を初めて明らかにしました。
準備資産の内容は変化するため注意が必要ですが、今回の発表では連結資産総額・連結負債総額・USDT準備金・準備資産などの保有割合などについて詳しく説明が行われています。
Tether社の発表内容はこちら
テザー(Tether/USDT)の特徴
テザー(Tether/USDT)の特徴としては以下のようなことが挙げられます。
価値が安定している
テザー(Tether/USDT)の最も大きな特徴の1つとしては「価値が安定している」ということが挙げられます。ビットコインなどの暗号資産は価格変動幅が大きいため、比較的頻繁に値動きを気にしておく必要がありますが、USDTは常に1ドル前後の価格をキープしているため、不安定な相場でも”強い安心感”を持っています。
「仮想通貨/法定通貨」の取引ペアが提供されている取引所であれば、利確時に仮想通貨を法定通貨に交換することによって安心感が得られますが、法定通貨の取引ペアが提供されていない取引所などの場合は、仮想通貨をUSDTに交換することによって一定の安心感を得ることができます。
暗号資産取引所間の資金移動に適している
テザー(Tether/USDT)は日本の暗号資産取引所では取り扱われていないものの、海外取引所では広く採用されており、USDTを基軸通貨として取り扱っている取引所も多いため、「取引所間で資金を移動する際の手段」としても活用されています。
USDTで資金を移動すれば、送金中の価格変動などもあまり気にせずに送金することができ、送金後も直接他の仮想通貨に交換できる可能性が高いため、取引の手間や取引手数料などの面でも煩わしさを解消できると期待されます。
時価総額ランキング上位の代表的なコイン
テザー(Tether/USDT)は2020年12月時点で時価総額ランキング4位に位置付けられている代表的なステーブルコインです。米ドルに価値が連動したステーブルコインは「USDT」の他にも複数存在していますが、それらのステーブルコインのラインキングは10位以下となっているため、時価総額の面ではUSDTとの間で大きな差がつけられています。
中央集権型であるためリスクもある
テザー(Tether/USDT)は”安定した価格”を維持するためにTether社によって非常に強い中央集権体制で管理されています。中央集権型の管理体制は必ずしも悪いものであるというわけではありませんが、Tether社が不正行為を行なっていたことが発覚したり、破綻してしまったりした場合には、USDTが一気に”無価値”になってしまうリスクがあります。
USDTの安定のためには「Tether社の信頼できるしっかりとした管理体制」が必要となるため、このような面でも先述した”USDTの裏付け資産”などの問題が重要となっています。
テザー(Tether/USDT)の基本情報
名称 | テザー(Tether) |
ティッカーシンボル | USDT |
発行日 | 2015年2月 |
最大供給量 | 無制限 |
管理者 | Tether社 |
テザー(Tether/USDT)の価格・チャート
テザー(Tether/USDT)を取扱う暗号資産取引所
テザー(Tether/USDT)は2020年12月時点では日本国内の暗号資産取引所に上場していませんが、海外では非常に多くの暗号資産取引所に上場しており、主要な基軸通貨の1つとなっています。
USDTを取り扱っている主要な暗号資産取引所としては以下のような取引所が挙げられます。
・BINANCE(バイナンス)
・Bitfinex(ビットフィネックス)
・FTX(エフティーエックス)
・Huobi Global(フォビグローバル)
・OKEx(オーケーイーエックス)
・Kraken(クラーケン)
テザー(Tether/USDT)対応のウォレット
テザー(Tether/USDT)を保管することができる代表的なウォレットとして以下のようなものが挙げられます。
・Trezor(トレザー)
・Ledger(レジャー)
テザー(Tether/USDT)関連リンク
・Tether公式サイト
・Tether公式Twitter
・Tether公式Facebook
・Tether公式LinkedIn
・ホワイトペーパー
・エクスプローラー①(Blockchair)
・エクスプローラー②(OmniExplorer)
・エクスプローラー③(Etherscan)
・エクスプローラー④(TokenView)