この記事の要点
- リップルCEOがドージコインを「消えない存在」と評価
- 過去の否定的な発言を「判断ミスだった」と認める
- ドージコインが仮想通貨エコシステムで重要な役割
- ミームコイン全体には依然として否定的な立場
リップルCEO、ドージコインは消えない存在と評価
Ripple(リップル)社のブラッド・ガーリングハウスCEOは2025年6月11日、シンガポールで開催された開発者向けイベント「Apex 2025」のパネルディスカッションに登壇し、仮想通貨ドージコイン(DOGE)に対する自身の過去の見解は「判断を誤っていた」と述べました。
同氏はドージコインについて「なくなることはないでしょう。エコシステムの一部であり、役割を果たしています」と述べ、特に高い市場流動性を持つ点を評価しています。
これは、同氏が以前「ドージコインは文字通り冗談から生まれたコインだ」として同コインを否定的に語り、ジョークから生まれた通貨が業界の信用を損ねると批判していた姿勢から大きな変化です。
ガーリングハウス氏は当時、ドージコインのようなミームコインが伝統的金融機関との架け橋を築くうえで障害になるとの見解を示してきましたが、今回の発言で自身の判断の誤りを認めた形となりました。
「ミームを超えて主流の資産になりつつある」
ドージコイン評価を転換した背景|リップルCEO談話
ミームコインは過大評価か過小評価か
この談話セッションでは、まず仮想通貨ミームコインは「過大評価か過小評価か」という問いが投げかけられました。
リップル社の事業を統括するモニカ・ロング氏は「詐欺的なプロジェクトも多いが、投機熱によって奇跡的に実用的な市場が生まれた」と指摘し、ミームコインがウォレットや資本、人材など業界インフラの構築につながった側面を強調しています。
ガーリングハウス氏はこれに対し「ミームコインは総じて極めて過大評価されている」と異を唱え、多くのプロジェクトは「持続可能ではない」とし、投機的な風潮が規制当局の懐疑を煽っていると述べました。
同氏は長期的視野で実需向けのプロダクト開発に取り組むリップル社の立場から、短期的な投機に終始するミームコインに否定的な見解を示していた経緯があります。
過去のドージコイン否定から一転した理由
しかし議論がドージコインに及ぶと、ガーリングハウス氏は自身のこれまでの見解が誤りであったと語りました。
同氏は「公の場での私の発言を追ってきた人なら知っていると思いますが、私はかつてドージコインをあまり好意的に語っていませんでした」と率直に認めています。
ドージコインが柴犬のインターネットミームをきっかけに冗談半分で誕生した経緯から、同氏は長らく「ジョークから生まれた資産が、機関投資家を惹きつける産業の顔になってしまうのは好ましくない」と考えを示していました。
現在では世界で8番目の時価総額(約280億ドル/約4.3兆円)を持つ主要仮想通貨に成長している現実を踏まえ、同氏は「ロング氏が指摘した”投機熱から生まれた実用的な市場”という点には同意でき、私のそれに対する見方は間違っていたと思う」と述べています。
また同氏は、イーロン・マスク氏がドージコインに注入した圧倒的な資金流動性によって「ドージコインはもはや消えることなく、仮想通貨エコシステムの一部となって役割を果たしている」と付け加えました。
同氏は自らの判断ミスを認める形で、ドージコインが業界から消えない「恒久的な存在」へと昇華したことを強調しています。
米企業、ドージコインを財務戦略に
リップルCEOが語るミームコインの光と影
一方で、ガーリングハウス氏はミームコイン全般に対する厳しい見方も改めて示しました。
同氏は「大半のミームコインは手っ取り早く儲けて逃げるためのラグプル(開発者が資金を持ち逃げする詐欺的手法)」と指摘し、そのようなプロジェクトが乱立することは「本物のプロダクトを開発している業界関係者にとってマイナスの影響を及ぼす」と懸念しています。
ガーリングハウス氏自身「ミームコインは一度も購入したことがない」と明かしており、依然カテゴリー全体としては「過大評価だ」という評価を崩していません。
それでも今回ドージコインに関しては「カオス(混沌)の中に生まれた予想外の成功事例とも言える」とこれまでの見解を覆し、次々に登場する後発の模倣ミームコインでは追随できないほどのネットワーク効果を築いた点を認めています。
ドージコインがBaseに進出
ドージコイン(DOGE)の最新動向と市場評価
DOGEはジョークから資産へ、21Sharesが示す成長の兆し
スイスの暗号資産運用会社21Sharesは今年4月に発表したレポートの中で「柴犬をマスコットに持つジョークコインが主要資産へと成長しつつある」と指摘し、ドージコインが新規投資家の入門通貨として機能し始めていると分析しました。
同レポートによれば、ドージコインは過去10年間で累計13万%を超える驚異的な価格上昇を遂げており、テスラ社や米映画館AMCなどによる採用を通じて少額決済やチップなど実需での利用も広がっています。
こうした背景から、21Sharesはドージコインについて「古参の犬(oldest dog)が本格的な資産への転換期を迎えている」と評価し、ジョーク通貨から本格的な資産へ移行する可能性に言及しています。
ブリッジ技術でドージコイン活用拡大
また、ドージコインの技術的な実用化に向けた動きも進んでいます。
2025年5月にはブロックチェーン企業Psy社が第三者の仲介を必要としないブリッジ技術を世界で初めて発表し、ドージコインとソラナ(SOL)ブロックチェーンを直接接続しました。
このブリッジによって、高速処理で知られるソラナのDeFi(分散型金融)やNFTプラットフォーム上でドージコインを直接利用できるようになると報告されています。
市場データでもドージコインは依然上位にあり、執筆時点での価格は0.20ドル(約29円)前後で推移しています。
ガーリングハウスCEOの考え方の変化や、各種データ・事例が示すように、ドージコインは単なる冗談の産物から仮想通貨業界の一角を占める恒久的存在へと着実に歩みを進めています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=144.03 円)
ドージコイン関連の注目記事はこちら
Source:Apex 2025
サムネイル:AIによる生成画像



























