仮想通貨カード決済「年間180億ドル」に、ステーブルコインが生活圏へ浸透

仮想通貨カード決済「年間180億ドル」に、ステーブルコインが生活圏へ浸透(Stablecoins are penetrating daily life with $18 billion annual crypto card payments)
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仮想通貨カード決済の急拡大で見える実用フェーズ

ブロックチェーン分析企業Artemis(アルテミス)は2026年1月16日、ステーブルコイン決済に関する最新レポートを公表しました。

同レポートによると、仮想通貨と連動したクレジットカードおよびデビットカードを通じた年間支出総額は約180億ドル(約2.8兆円)に達しており、ステーブルコインが日常的な決済手段として利用され始めている実態が示されています。

特に米ドル連動型ステーブルコインであるUSDコイン(USDC)テザー(USDT)がカード決済の大半を占めており、VisaやMastercardの決済インフラを通じた即時換金が利用拡大を支えているとArtemisは分析しています。

さらに、インドやアルゼンチンなど一部の新興国市場では、生活圏での支払い手段としてステーブルコインを用いたカード決済の利用が急速に広がっている点も指摘されています。

仮想通貨カードが牽引する決済市場の構造変化

月間15億ドル規模へ拡大した仮想通貨カード決済市場

Artemisの分析によれば、世界の仮想通貨カード決済額は2023年初頭時点では月間約1億ドル(約157億円)規模にとどまっていましたが、2025年後半には月間15億ドル(約2,360億円)を超える水準へと急拡大しました。

この期間における年平均成長率は約106%に達しており、仮想通貨カード経由の年間支出額は、P2P(個人間)で行われるステーブルコイン送金規模(約190億ドル)に近い水準まで拡大しています。

これに対し、P2P送金の増加率は同期間において数%程度にとどまっており、カード決済がステーブルコイン利用の主軸へと移行している構図が浮き彫りとなりました。

インフレ環境が押し上げるステーブルコイン利用

こうした急成長の背景には、新興国を中心としたインフレや自国通貨への信認低下を受けたステーブルコイン需要の高まりがあるとArtemisは分析しています。

加えて、従来のカード決済と同様の操作性を維持しながら利用できる点や、大手決済ネットワークを通じた処理による信頼性の確保が、普及を後押しした要因の一つと指摘しています。

仮想通貨カードは、ウォレットや取引所に保有するステーブルコイン残高を決済に利用でき、支払い時には即座に現地通貨へ換算されるため、加盟店は従来のカード決済と同様に法定通貨で代金を受け取ることが可能です。

取扱高90%超を占めるVisaの優位性

Artemisは、こうした仮想通貨カード市場において、Visaが取扱高の90%以上を占め、主要な地位を維持していると指摘しています。

RainやReapといった仮想通貨関連企業との提携を早期に進めた戦略が、この優位性につながったとされています。

さらに近年では、カード発行主体が中間銀行を介さずに直接決済を完結させる新興プラットフォームの動きも確認されています。

高インフレ国で支持されるドル連動型ステーブルコイン

国別ステーブルコインシェア率の画像国別ステーブルコインシェア率(画像:Artemisレポート)

ステーブルコインの内訳では、世界全体ではUSDTが最大シェアを維持していますが、インドやアルゼンチンではUSDCの利用比率が約47%に達し、USDTと拮抗する特徴的な構成となっていることが示されています。

インドでは仮想通貨利用者数が急増する中、国内のモバイル決済基盤であるUPIの普及と相まって、仮想通貨を担保としたクレジットカード型サービスが実用的な決済手段として注目されています。

アルゼンチンにおいても、慢性的な高インフレ環境を背景に、ドル連動型ステーブルコインへの需要が根強く、プリペイド型のステーブルコインカードが実質的な価値保全手段として機能していると分析されています。

仮想通貨カードが担う次世代決済インフラ

Artemisは、ステーブルコイン連動カードが今後の普及フェーズにおいて基幹インフラとして位置付けられる可能性があると結論付けています。

一方で、店舗が直接ステーブルコインを受け付ける決済形態については、利用者基盤や明確な利点が乏しく、短期的な普及は限定的になるとの見解を示しました。

こうした背景を踏まえ、VisaやMastercardの既存ネットワークに統合される形での活用が進み、カード決済の利便性とステーブルコインの価値安定性を組み合わせたモデルが市場拡大を支えるとArtemisは分析しています。

仮想通貨カードと直接決済で進む決済インフラの変化

Visaが示す仮想通貨カード決済の実利用フェーズ

こうした動向を受け、大手決済企業もステーブルコイン決済への対応を本格化させています。

Visaの仮想通貨部門責任者であるカイ・シェフィールド氏は1月14日、ロイターの取材に対し、Visaネットワーク上で処理されるステーブルコイン決済額が年間換算で約45億ドル(約7,100億円)規模に達していることを明らかにしました。

同氏は、この金額がVisa全体の年間決済高に占める割合は依然として小さいとしながらも「仮想通貨カード事業者を中心に利用が月次ベースで着実に拡大している」と述べています。

また、現時点ではステーブルコインを直接利用できる大規模な加盟店網は存在せず、新興企業にとっては既存のカードネットワークと連携する戦略が不可欠であるとの認識も示しました。

POS連携によるステーブルコイン決済の新たな選択肢

一方で、加盟店側がカード網を介さずにステーブルコイン決済を受け入れる動きも限定的ながら進んでいます。

フランスの決済端末大手Ingenico(インジェニコ)は1月13日、ウォレット接続サービスを提供するWalletConnectとの提携を発表し、同社のPOS端末上でステーブルコイン決済を可能にするソリューションを導入しました。

この仕組みでは、利用者が自身のウォレットから対応するステーブルコインで直接支払いを行い、取引はカードネットワークを経由せず、即時に加盟店側の口座へ送金されます。

Artemisの分析では、当面は仮想通貨カードを中心とした間接的な決済モデルが主流となる可能性が高い一方で、こうした動きが将来的な仮想通貨決済手段の多様化につながると指摘しています。

※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=157.48 円)

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Source:Artemisレポート
サムネイル:AIによる生成画像

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Written by

BITTIMES 編集長のアバター BITTIMES 編集長 仮想通貨ライター

2016年から仮想通貨に関するニュース記事の執筆を開始し、現在に至るまで様々なWeb3関連の記事を執筆。
これまでにビットコイン、イーサリアム、DeFi、NFTなど、数百本以上の記事を執筆し、国内外の仮想通貨ニュースの動向を追い続けている。

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