この記事の要点
- SECが2026年3月23日、NYSE Arcaの規則改正を公示
- 仮想通貨ETFオプションの25,000枚上限を全面撤廃
- 米主要取引所すべてで規制統一、初の完全解禁
- 機関投資家の大規模運用・ヘッジ環境が拡大
仮想通貨ETFオプション、米国全取引所で枚数制限が全廃へ
SEC(米証券取引委員会)は2026年3月23日付の連邦官報(Federal Register)において、ニューヨーク証券取引所(NYSE)傘下のNYSE Arcaが同年3月10日に提出した規則改正届を公示しました。
今回の改正により、ビットコイン・イーサリアム関連ETFのオプション取引に課されてきた25,000枚のポジション上限が撤廃され、米国の主要オプション取引所すべてで仮想通貨ETFオプションが一般の株式ETFと同等の規制水準に移行する見通しです。
これまでの25,000枚という上限は、機関投資家が大規模なヘッジや戦略的ポジションを組む際の実質的な障壁となっており、他のコモディティETFオプションと比べて明らかに制約の大きい扱いが続いてきました。
今回の撤廃により、対象11本のETFオプションのポジション上限は取引量・残高に基づく標準フレームワークへ移行します。これにより、流動性の高いETFでは最大25万枚超の上限が適用される見込みで、機関投資家によるヘッジや裁定戦略の本格活用が可能となります。
また、Nasdaq ISE・Nasdaq Phlx・MIAX・MEMX・Cboeに続き、NYSE Arcaの届出完了によって米国の主要オプション市場全体での規制統一が達成された形となり、今後の機関資金の動向に市場の注目が集まっています。
対象となる仮想通貨ETF(上場投資信託)は以下の計11本に及びます。
- グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)
- グレースケール・ビットコイン・ミニ・トラスト(BTC)
- ビットワイズ・ビットコインETF(BITB)
- iShares Bitcoin Trust(IBIT)
- フィデリティ・ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド(FBTC)
- ARK21Shares Bitcoin ETF(ARKB)
- グレースケール・イーサリアム・トラスト(ETHE)
- グレースケール・イーサリアム・ミニ・トラスト(ETH)
- ビットワイズ・イーサリアムETF(ETHW)
- iShares Ethereum Trust ETF(ETHA)
- フィデリティ・イーサリアム・ファンド(FETH)
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25,000枚制限の導入から撤廃まで、仮想通貨ETFオプションの変遷
2024年11月の上場から始まった段階的な規制緩和の起点
NYSE Arcaは2024年11月、仮想通貨ETFを原資産とするオプション取引の上場を開始しています。
当初はポジション・行使上限を25,000枚に設定し、FLEX(フレキシブル・エクスチェンジ)オプションの取引を制限する条件付きでの導入となりました。
その後、SECは2025年7月29日、グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)のオプションについて25,000枚の上限撤廃を承認し、通常のポジション制限ルール(Rule 6.8-O)への移行を認めました。
同日、ビットコイン・ミニ・トラストとビットワイズ・ビットコインETFについても同様の承認がなされています。
ビットコイン・イーサリアム双方で初めて規制水準が揃う
一方、iShares Bitcoin Trust(IBIT)は2025年中にFLEXオプションとしての取引が解禁されたものの、ポジション上限の25,000枚制限は維持されたままでした。
また、イーサリアム系の5本——グレースケール・イーサリアム・トラスト、グレースケール・イーサリアム・ミニ・トラスト、ビットワイズ・イーサリアムETF、iShares Ethereum Trust ETF、フィデリティ・イーサリアム・ファンド——についても、2025年4月の上場認可後も同様に上限が残されていました。
こうした未解消の制限に対し、今回の届出によってすべての上限が正式に撤廃され、IBITを含む全11本のETFが他の一般オプションと同等の規制水準に揃うこととなります。
ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)双方の仮想通貨ETFオプションが初めて統一された規制水準のもとに置かれる形となり、市場では制度面の整備が一段と進んだとの見方が出ています。
改正された3つのルールと全取引所統一の意味
規則上の変更としては「Rule 5.32-O(FLEXオプション条件)」「Rule 5.35-O(FLEXオプションのポジション制限)」「Rule 6.8-O(ポジション制限)」の3つが改正されます。
FLEXオプション関連では、これまでGBTC・BTC・BITB・IBITのFLEXポジションを同一原資産の非FLEX建玉と合算して計算することが義務付けられていましたが、今回の改正でこの合算ルールも廃止されます。
SECは今回の届出について、改正内容が他の取引所の規則と整合するものであり新たな規制上の問題を生じさせないとの判断を示した上で、30日間の施行待機期間の免除を認めており、規則変更は届出と同時に発効しています。
Nasdaq ISEが1月21日、Nasdaq Phlxが同日、MIAXが1月29日にそれぞれ届出を完了し、MEMXが2月19日、Cboeが3月に同様の届出を完了しており、NYSE Arcaの対応をもって米国の主要オプション市場における仮想通貨ETFオプションの特別制限が全廃されたことになります。
全取引所での規制統一は、仮想通貨ETFオプションが上場から約1年半で一般の株式ETFオプションと同等の地位を確立したことを意味しており、市場構造の転換点として制度面での成熟が一段と鮮明になっています。
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制約が消えた仮想通貨ETFオプション市場の次の焦点
一連の規制緩和により、ビットコイン・イーサリアムに連動する米国上場ETFのオプション市場は、一般の株式ETFオプションと同等の条件で取引できる環境が整いました。
25,000枚というポジション上限の撤廃は市場流動性の向上につながるとみられており、機関投資家が大規模なヘッジや戦略的ポジションを組む際の実質的な制約が取り除かれた形となります。
満期日や行使価格を柔軟に設定できるFLEXオプションの制限解除は、機関投資家向けのリスク管理手段をさらに多様化させるもので、仮想通貨ETFを活用した高度な運用戦略への道が広がります。
2024年の現物ビットコインETF上場承認に始まり、イーサリアムETFの解禁、オプション取引の開始、そして今回の上限撤廃と全取引所統一へと制度整備は段階的に積み上がってきており、この環境整備が機関資金の本格流入にどう結びつくかが次の焦点となっています。
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Source:SEC公示
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